幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)

雪月 桜

小さな願いと極振りステータス

その後、図書館であっさりとログアウトの仕方や各種メニューの使い方を調べ終わった、みのりんは、他にも興味を惹かれる情報に心残りを感じつつ、疲れた脳を休めるため、しぶしぶログアウトするのだった。

このとき既に、謎の場所の事は、頭から抜け落ちていた。

そして翌日、すっかり回復した、みのりんは再び図書館にこもって、情報収集に努める。

「なるほどねぇ。やっぱりチュートリアルは受けないとダメだねぇ。これは、みんなにも教えてあげないとなぁ」

本人は、こう言っているが、初見でチュートリアルをスキップするのは、みのりんくらいだろう。

若干、的外れな気遣いを発揮しつつ、みのりんは更に役立つ情報を求めて、図書館の資料をあさりまくった。

そうして蓄えられた知識は、みのりんの好奇心や探求心、常人とは少しずれた感性と化学反応を起こし、この世界を揺るがす大きな起爆剤の糧になっていく。

そして、それは、やがて彼女の仲間たちにも伝染し、パーティの強さを根底から支える礎となる物でもあった。

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「よーしっ、始めるよぉ……!」

太陽が沈み、すっかり暗くなった夜の森。

周囲のモンスターを刺激しないよう、みのりんは小声で小さく気合を入れる。

あれから結局、昼間の時間は全て図書館での調べものに費やし、夜になって、ようやく外での活動を開始したのだ。

情報収集を終えた、みのりんが、まず最初にやろうと決めたこと。

それは、この世界での体の動かし方に慣れることである。

というのも、この世界ではステータスという数値が、体の動きに様々な影響を及ぼすのだ。

特に顕著なのが機動力というステータスで、この数値が高いほど、素早く体を動かせるようになる。

しかし、同時に体の操作も難しくなるため、慣れるまでは練習が必要なのだ。

ちなみに、みのりんの現在のステータスは、このような構成になっている。

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Name:みのりん
Level:1
Job:冒険者
HP 10/10
MP 10/10
攻撃力 1
耐久力 1
技術力 1
機動力 73
魔法力 1
運命力 1
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パッと見ただけで想像はつくと思うが、このステータスは一般のそれではない。

本来、レベル1のステータスは、どの職業でもHPとMPが100、他が10で統一されている。

では、何故こんな非常識なステータスになっているのか。
一言で言えば、みのりんが非常識だからである。

もう少し詳しく説明すると、これは冒険者の能力によるものだ。

冒険者は、覚えられるスキルや魔法が少ない代わりに、ステータスを任意で調整することができる。

それを使って、他のステータスを削り、その分を機動力に集中させたのだ。

ちなみに、ステータスを弄ってから、ここへ着くまでに、10回ほど転び、5回ほど木にぶつかり、3回ほどモンスターにやられている。

そうまでして、機動力特化のステータスに拘る理由は、【現実では足が遅いから、思いっきり速く動いてみたい】というもの。

その夢を実現するべく、みのりんは地道な訓練を開始したのだった。

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