幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)
楽園の裏側
「それでは、定刻となりましたので会議を始めたいと思います。皆様、【ネバーランド】のさらなる発展のため、忌憚なき意見をお願い致します」
日本の某所に存在する、とあるビル。
その最上階のフロアに設けられた会議室で、一人の男が声を発した。
仕立ての良いスーツに身を包んでいる男は、このビルを所有する会社の社長だ。
なぜ会社のトップに君臨する男が、下手に出て会議の司会・進行を担っているのか。
その理由は単純で、この場に顔を見せる面々の立場が男よりも上だからだ。
円卓上にホログラムで、姿が投影されるメンバーは、いずれも各国に散らばる著名人ばかり。
ある者は世界でも五本の指に入る大富豪。
ある者は某国で絶大な影響力をもつ政治家。
ある者はゲーム業界を半世紀は先に進めたと言われる天才プログラマー。
ここでは、政治、経済、軍事、教育、科学、医療、スポーツ、工業、繊維、絵画、料理などなど、様々な分野の一流達が一堂に会していた。
ところで、彼ら、彼女らには、とある共通点がある。
それは——、
「それでは、皆様、ご唱和ください。【全ては穢れ無き幼女のために!】」
「「【全ては穢れ無き幼女のためにッ!】」」
そう、こいつらは皆、幼女をこよなく愛する変態である!
富も、名声も、社会的な地位も、何もかも手に入れた変態。
己がもつ全てを、幼女に対する情熱に注ぐ変態。
自分達にとって、そして幼女にとっての楽園を築くために集まった変態である。
そして、この場にいるのは今の地位を築くために、後ろ暗いことにも手を染めた者ばかり。
しかし、だからこそ、穢れなき【無垢】に至上の価値を見いだし、渇望しているのだ。
そんな変態どもを見渡して、司会の男は小さく呟いた。
「世も末だ……」
そして、こんな会社は早く辞めたいとも。
男は、この狂気に染まってはいなかった。
彼はただ、どこにでもある普通の会社で、普通に仕事していただけだった。
それが、ある日、突然、どんな人とも上手く付き合えるからというだけの理由で、この地位を与えられた。
彼に与えられた役割はただ一つ。
この変態どもの舵取りをすることだけ。
普段の通常業務は、優秀な専属秘書がサポートしてくれるため、彼の仕事は、せいぜい書類にサインするくらいだ。
比較的、楽な仕事で大金を得られるからと飛び付いた男だが、やはり世の中、うまい話には裏がある。
前任者は1ヶ月も耐えられなかったという。
常人が、この狂気の集団と付き合うのは、それほど骨が折れるのだ。
とはいえ、一線を越えないためのブレーキ役には一般人の感覚がないといけないらしいので、仕方ないと言えば仕方ない。
「では、まず議題に移る前に、報告があります。◯◯さん、あなたは昨日、【ネバーランド】のサーバーに不正アクセスして、とあるプレイヤーの本名と住所を調べた。間違いありませんね?」
「な、なんのことだ?」
「惚けてもダメです。証拠は挙がってます。現時刻を以て、あなたの全権を剥奪します。お疲れ様でした」
「よ、よせ! ほんの出来心だったんだ! 俺はあの子のサンタクロースになりたかっただけなんだぁぁぁ!」
プッツリと回線が切断され、叫んでいた男のホログラムが消える。
「【ネバーランド】は全ての穢れから解放された健全な世界でなければならない。それは、かの世界と関わる我々、変態紳士、変態淑女も同様です」
男の言葉に、うんうんと頷く、他の出席者たち。
ちなみに、【ネバーランド】とは、15歳以下の少女のみがプレイできる、VRMMOのことだ。
とある天才ゲームプログラマーの活躍により、現代では、もう一つの現実と呼べるほどに完成されたゲーム体験が可能になった。
そして、この会社は、その技術と世界各国の変態の援助によって【ネバーランド】を産み出したのだ。
【ネバーランド】は、莫大な資金力と各業界に対するコネや影響力を大人げない程つぎ込んでいるせいで、他のVRMMOとは比べ物にならないほどクオリティが高い。
その上、幼少期にしかプレイできないという稀少価値から、全世界で圧倒的な人気を博している。
毎月行われる大規模イベント、通称【体育祭】では、その様子が動画配信され、全世界で累計100億を越える再生数を叩き出すほどだ。
「だから、何度も言わせるな! 次の体育祭のユニフォームはブルマで決まりだ!」
「いいえ、新たにプールステージを増設し、水中種目に適した装備、すなわち、スクール水着を追加すべきかと。予算は私のポケットマネーから出して差し上げますわ」
「やれやれ、お二人とも、煩悩が溢れ過ぎておりますぞ。ここは、敢えて露出を減らし、【ネバーランド】の健全さを、より世間にアピールすべきです。よって、ユニフォームは動物の着ぐるみなどで如何でしょう? もちろん、ウサミミやネコミミカチューシャなども用意します」
「「それだっ!」」
そして、今まさに、その体育祭について議論が交わされているのだが、ノリが完全にアホな男子高校生のそれだ。
男は、頭の痛い会話に顔をしかめつつ、どこでブレーキを掛けるべきかと、今日も慎重に議論の行く末を見守るのだった。
——さて、そんな生々しい現実の話は横に置き、そろそろ楽園の話へ移ろう。
大人達が自らの性癖と情熱を遺憾なく発揮している頃、また一人、新たな幼女がネバーランドへと降り立った。
彼女の名は——。
日本の某所に存在する、とあるビル。
その最上階のフロアに設けられた会議室で、一人の男が声を発した。
仕立ての良いスーツに身を包んでいる男は、このビルを所有する会社の社長だ。
なぜ会社のトップに君臨する男が、下手に出て会議の司会・進行を担っているのか。
その理由は単純で、この場に顔を見せる面々の立場が男よりも上だからだ。
円卓上にホログラムで、姿が投影されるメンバーは、いずれも各国に散らばる著名人ばかり。
ある者は世界でも五本の指に入る大富豪。
ある者は某国で絶大な影響力をもつ政治家。
ある者はゲーム業界を半世紀は先に進めたと言われる天才プログラマー。
ここでは、政治、経済、軍事、教育、科学、医療、スポーツ、工業、繊維、絵画、料理などなど、様々な分野の一流達が一堂に会していた。
ところで、彼ら、彼女らには、とある共通点がある。
それは——、
「それでは、皆様、ご唱和ください。【全ては穢れ無き幼女のために!】」
「「【全ては穢れ無き幼女のためにッ!】」」
そう、こいつらは皆、幼女をこよなく愛する変態である!
富も、名声も、社会的な地位も、何もかも手に入れた変態。
己がもつ全てを、幼女に対する情熱に注ぐ変態。
自分達にとって、そして幼女にとっての楽園を築くために集まった変態である。
そして、この場にいるのは今の地位を築くために、後ろ暗いことにも手を染めた者ばかり。
しかし、だからこそ、穢れなき【無垢】に至上の価値を見いだし、渇望しているのだ。
そんな変態どもを見渡して、司会の男は小さく呟いた。
「世も末だ……」
そして、こんな会社は早く辞めたいとも。
男は、この狂気に染まってはいなかった。
彼はただ、どこにでもある普通の会社で、普通に仕事していただけだった。
それが、ある日、突然、どんな人とも上手く付き合えるからというだけの理由で、この地位を与えられた。
彼に与えられた役割はただ一つ。
この変態どもの舵取りをすることだけ。
普段の通常業務は、優秀な専属秘書がサポートしてくれるため、彼の仕事は、せいぜい書類にサインするくらいだ。
比較的、楽な仕事で大金を得られるからと飛び付いた男だが、やはり世の中、うまい話には裏がある。
前任者は1ヶ月も耐えられなかったという。
常人が、この狂気の集団と付き合うのは、それほど骨が折れるのだ。
とはいえ、一線を越えないためのブレーキ役には一般人の感覚がないといけないらしいので、仕方ないと言えば仕方ない。
「では、まず議題に移る前に、報告があります。◯◯さん、あなたは昨日、【ネバーランド】のサーバーに不正アクセスして、とあるプレイヤーの本名と住所を調べた。間違いありませんね?」
「な、なんのことだ?」
「惚けてもダメです。証拠は挙がってます。現時刻を以て、あなたの全権を剥奪します。お疲れ様でした」
「よ、よせ! ほんの出来心だったんだ! 俺はあの子のサンタクロースになりたかっただけなんだぁぁぁ!」
プッツリと回線が切断され、叫んでいた男のホログラムが消える。
「【ネバーランド】は全ての穢れから解放された健全な世界でなければならない。それは、かの世界と関わる我々、変態紳士、変態淑女も同様です」
男の言葉に、うんうんと頷く、他の出席者たち。
ちなみに、【ネバーランド】とは、15歳以下の少女のみがプレイできる、VRMMOのことだ。
とある天才ゲームプログラマーの活躍により、現代では、もう一つの現実と呼べるほどに完成されたゲーム体験が可能になった。
そして、この会社は、その技術と世界各国の変態の援助によって【ネバーランド】を産み出したのだ。
【ネバーランド】は、莫大な資金力と各業界に対するコネや影響力を大人げない程つぎ込んでいるせいで、他のVRMMOとは比べ物にならないほどクオリティが高い。
その上、幼少期にしかプレイできないという稀少価値から、全世界で圧倒的な人気を博している。
毎月行われる大規模イベント、通称【体育祭】では、その様子が動画配信され、全世界で累計100億を越える再生数を叩き出すほどだ。
「だから、何度も言わせるな! 次の体育祭のユニフォームはブルマで決まりだ!」
「いいえ、新たにプールステージを増設し、水中種目に適した装備、すなわち、スクール水着を追加すべきかと。予算は私のポケットマネーから出して差し上げますわ」
「やれやれ、お二人とも、煩悩が溢れ過ぎておりますぞ。ここは、敢えて露出を減らし、【ネバーランド】の健全さを、より世間にアピールすべきです。よって、ユニフォームは動物の着ぐるみなどで如何でしょう? もちろん、ウサミミやネコミミカチューシャなども用意します」
「「それだっ!」」
そして、今まさに、その体育祭について議論が交わされているのだが、ノリが完全にアホな男子高校生のそれだ。
男は、頭の痛い会話に顔をしかめつつ、どこでブレーキを掛けるべきかと、今日も慎重に議論の行く末を見守るのだった。
——さて、そんな生々しい現実の話は横に置き、そろそろ楽園の話へ移ろう。
大人達が自らの性癖と情熱を遺憾なく発揮している頃、また一人、新たな幼女がネバーランドへと降り立った。
彼女の名は——。
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