鬼がたむろする世界に転生したけど、何とかやってます

ノベルバユーザー417806

第二話

第二話
「ハァァァァァァァァァァァァ」
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁいぃぃぃぃ!」
必死に逃げた。これでも高校で、陸上部のエースやってんだ。足には自信がある。が、それは人間相手の話だ。化け物相手じゃあねぇ。てか、ここどこよ?見たところさっきと同じで原っぱの様だけど、空は曇ってるし。さっきのところに戻って、あのジジイぶっとばしてやらないと。
「ハァァァァァァ」
ヤバイ。囲まれた!どーしよー。俺は必死に辺りを見回した。
「ごめんなさい。ごめんなさい。俺、何がなんだかわかんなくて。追いかけんならあの、ジジイにしてくれ。てゆうか、そこに君!カッコいいね!僕を見逃してくれたら、たぶんもっとカッコいいと思うよ!」
「ハァァァァァァァァァァァァァァァァ」
クッソ!聞く耳なしか。今度死んだら、あのジジイ死ぬまで殴ってやる。
「0に何かけても0だよ。カッコよくなるわけないじゃん。」
とても美しく、気高い声が聞こえた。俺がそう認識も出来ないうちに、ビュッと、風を切る音がした。目の前にいた無数の鬼たちは、全て矢で射抜かれていた。
「誰だ?」
「失礼だね。君の命の恩人だよ」
長く綺麗な黒髪に綺麗な二重。モデルの様なスタイルをした美少女が、弓と矢を持って立っていた。
「君が俺を助けてくれたのか?」
「見て分かんない?私はユミ。君は?」
「ありがとうごさいまぁぁぁす!あのクソジジイのせいで死ぬとこだった。俺、ホントに怖くて。しかも君の様な美少女に救われるなんて。生きててよかったぁぁぁ!」
「ちょっ、分かったから抱きつかないで!涙と鼻水で服が汚れちゃうじゃない!この服、九尾の毛で織った貴重な服なの!」
10分は泣き続けたであろう後、俺はようやくユミから離れた。
「まったく。そんなに怖かったなら、なんでこんな所にいるの?ここは鬼どもがよく出没する所なのに。で、名前は?」
「俺は上野雄介。クソジジイのせいでここにいたんだ。君はどーして?」
見知らぬ女の子に抱きついてしまった恥ずかしさと、クソジジイへの憎しみのせいで、あまり上手く話せない。
「私は、討伐者だから、鬼を討伐しにきたの。でもまぁ、もう鬼は出なそうだし、君を保護したって事で今日はもう帰ろうかな。そんな軽装でいるって事は、きみはヘラの村からきたの?なんなら、私が送っていってあげようか?」
「いや、俺は村から来たわけじゃないんだ。」
そう言って、ユミに今までの事、とゆうかクソジジイの文句を話した。
「そっか。その神様のせいでここにいたんだ。じゃあとりあえず今日は私の家に来る?行く所ないんでしょ?」
アレ?そんな簡単に信じてくれるもん?しかも初対面なのに家に連れていってくれるって?こんな美少女の?もしかして、脈アリ?…いや、それにしてはなんだか哀れみの目を向けられてる気がする。まるで可哀想な人を見るかの様に。そーいえば俺もクソジジイにこんな目向けたな。ん?とゆうことは、俺、頭のおかしいヤツだと思われてる?!
「いやいや、違うからね?全部ホントの事だから!ちょっ、何で肩ポンポン叩くんだよ!その目を止めろ!」
「分かったから。とりあえず、今日は家に行こ?もう日もくれるよ。」
クソ、信じて貰えてねー。まぁ家に連れて行ってくれるらしいし、その時また訂正しよう。
「でも、家って近いの?見たところこの辺に家なんてないけど。」
「?転移の魔釜玉を使えば一瞬でしょ?もしかして知らない?どんな田舎から来たのさ!」
転移の魔釜玉?もしかして、クソジジイがやったヤツもアレを使ったのか?
「それって、行き先指定できんの?」
「出来るよ、ただし使用者の行った所にしか行けないけど。ああ、あと、一応ランダム設定って言うのも出来る。その場合、すごい光が出て、行った事無いどこかに行けるけど、まぁ普通使わないよね。」
アイツ、今度あったら埋めよう。
「じゃあ、いこっか?」
そう言って魔釜玉を投げたユミは、俺の手を握ってきた。おお!こんな美少女と手を繋げてるなんて。次の瞬間、目の前に小さな木でできた家が現れた。

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