赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~
第79話 恐怖のスライム
ツヴァイは水魔団の秘密兵器、スライミーと対峙している。
窒息攻撃を、なんとかしのいだツヴァイだったが、斬撃が効かないスライミーをどうやって倒すのか、わからないでいた。
「ふふふ……」
そんなツヴァイに、スライミーはゆっくりと近づいてきている。
何かを仕掛けてくるつもりのようだ。
「固い鎧とは、厄介なものだ……だが、私の体は、あらゆるものに変化する」
「何……?」
「酸の弾丸!」
「くっ……!」
スライミーの体が弾け、そこから液体がツヴァイ向かって飛んできた。
ツヴァイは、これを受けるのを危険だと判断する。ただの攻撃とは、思えなかったのだ。
「まだまだ……」
「なっ……!」
ツヴァイは躱したと思ったが、地面に当たった液体は跳ね返っていた。
「くっ……!」
なんとか躱そうとしたツヴァイだったが、完全に回避できず、液体が当たってしまう。
「こ、これは……?」
「ほう……完全には当たらなかったか。流石だな……」
液体によって、ツヴァイの纏う鎧は少し溶けていた。
どうやら、液体には鎧を溶かす性質があるようだ。
「私の体を、酸に変化させて撃ったのさ。これなら、固い鎧も問題ない」
「酸だと……」
「私の体は、少しだけ性質を変化させられるようでね」
ツヴァイは、スライミーの言葉に目を丸くする。
これで、鎧の防御も無意味となってしまった。しかし、鎧を解いたら、窒息攻撃の餌食になるだけだ。
「まだまだいくぞ! 酸の弾丸!」
「くっ……」
そこで、スライミーの次なる攻撃が放たれる。
ツヴァイは、これに対して全身の魔闘気を集中させた。
「鎧の障壁!」
ツヴァイは、鎧に魔闘気を纏わせ、酸を遮断することにしたのだ。
全能力を防御に割いて、その酸を防ぐ。
「ほう……流石は元鎧魔将、大した防御だ」
「はっ……!」
ツヴァイの魔闘気で、酸は遮断された。
しかし、防御に集中している内に、スライミーに背後に回られたようだ。
「次は逃がさないようにしよう……」
「くっ!?」
スライミーが、背後からツヴァイを包み込んでいく。
まるで、水の中に入っていくかのようだった。
「ふふふ、これで全身……」
「ごふ……」
スライミーに完全に取り込まれたツヴァイは、再び呼吸を奪われることになる。
上下左右、ツヴァイに逃げる場所はなかった。手足を動かしても、どこにも進むことができないのだ。
「ごふっ……!」
「来たか……!」
そこで、ツヴァイの鎧が光輝いた。
魔人の鎧槍を槍に戻し、その衝撃でこの拘束を解くためだ。
「ふん……!」
「はっ……!」
しかし、スライミーはそれに合わせて、体を分担させた。
魔人の鎧槍は槍に変化し、一瞬ツヴァイは空気を得ることができる。
「もう一度だ……」
「ごっ……」
その直後、スライミーの拘束が再び始まった。
ツヴァイは再度、呼吸を封じられてしまう。
「これなら、何度変化しても同じだろう?」
「ごふっ……」
スライミーの言う通り、魔人の鎧槍を変化させても、また呼吸を封じられるだけである。
だが、束の間でも空気を得なければ、ツヴァイは倒れてしまうだけだ。
その方法で、なんとか凌ぐしか、ツヴァイに方法はなかった。
「束の間でも空気を得たいと思っているようだが、これはどうかな……? 酸の体!」
「ん……!」
ツヴァイがそんなことを思っていると、スライミーの体が変化していく。
自信の体を酸に変えたようだ。
「んんん!」
ツヴァイは、咄嗟に自身の周りを魔闘気で覆った。
これで、酸はとりあえず防ぐことができる。
「なるほど……だが、呼吸はできまい」
「ん……!」
しかし、劣勢は変わらなかった。
魔闘気を解けば、ツヴァイは溶かされてしまう。この拘束を根本的に解決しなければ、いずれ魔闘気が出せなくなって、先にツヴァイが力尽きるのだ。
「……く!」
「む……!」
そのため、ツヴァイの取った行動は、魔人の鎧槍を変化させることではなかった。
「こ、これは……?」
ツヴァイが使ったのは、魔闘気である。
「な、何が、が、が、が、が……」
その攻撃によって、スライミーの様子が変わった。
明らかに苦しんでいる様子である。
「くっ……退避!」
「がはっ!」
それにより、スライミーはツヴァイから離れていった。
空気が戻ったため、ツヴァイは呼吸を再開する。
「はあ、はあ……」
「な、何をした……?」
スライミーは、そう疑問を呟く。
ツヴァイの行動は、スライミーにとって予想外のものだったようだ。
「思った通り、内部破壊は通用するようだな……」
「内部破壊……?」
「俺の魔闘気を、お前の中に流し込んでやったのだ……これなら、物理攻撃が効かなくても攻撃できる」
「そんなことが……」
ツヴァイが行ったのは、相手の内部を破壊するためのものである。その攻撃は、物理攻撃の効かないスライミーにも通用したようだ。
「もう一度浴びせてやる!」
「内部攻撃か……厄介だ。だが……」
ツヴァイは、スライミーに向かって手を伸ばし、魔闘気を流し込もうとする。
しかし、そこでスライミーの体に変化が起こった。
「何!?」
「キュルキュルキュル」
スライミーは、魔闘気が流し込まれる寸前に体を分裂させたのだ。ツヴァイの手は空ぶるだけだった。
それを見た後、周囲のスライムが一つになる。
「私の体は変幻自在……君の攻撃を受ける必要もない」
「くっ!」
ツヴァイは、その様子に頭を悩ませた。
散らばられるのでは、ツヴァイの攻撃を通すことができないのだ。また、ツヴァイは攻撃手段がなくなってしまった。
「いや……」
だが、そこでツヴァイは思いつく。スライミーを倒すことができる手段を。
「……ならば」
「む?」
ツヴァイは、手に持つ魔人の鎧槍をスライミー目がけて突きさした。
「血迷ったか?」
スライミーは突然の攻撃に、少し驚きながらも、体に穴を開けてそれを回避する。
その瞬間、ツヴァイの槍が光輝く。
「変化逆鎧」
「何!?」
ツヴァイの言葉とともに、スライミーの体が鎧に包まれる。
魔人の鎧槍を相手に纏わせたのだ。
「これは……? で、出られない!?」
「魔人の鎧槍は高い防御力を誇る鎧だ。それを反転させ、お前の拘束具とした。これで逃げ場はないぞ……」
「くっ……酸の体!」
スライミーは、自身の肉体を酸に変化させたようだが、それでも鎧を溶かすのには時間がかかる。
そして、その時間はツヴァイの攻撃を許してしまうということだ。
「喰らえ!」
「ぐわああああああ!」
鎧の中で逃げ場がないスライミーに、ツヴァイの内部破壊攻撃が伝わっていく。
「こ、こんな攻撃が、あるとは……」
「お前は恐ろしい敵だった……相性が良くなければ、俺も危なかっただろう……」
「ふふふ、だが君であっても、フロウ様には勝てない。私は先に、向こうで待っているとしよう……」
その言葉を最後に、スライミーが言葉を発することはなかった。
ツヴァイは念入りにしばらく魔闘気を注入したが、しばらくしてそれをやめる。
「変化槍」
そこで、ツヴァイは鎧を槍に変えた。
すると、中にあったのはただの水である。その水は、地面にある水に混ざり、どこかに消えていった。
「奴は……何者だったのか……いや、それはどうでもいいことか」
ツヴァイは、近くにあった即席水没器を破壊する。
これで、ツヴァイの一戦は終わるのだった。
窒息攻撃を、なんとかしのいだツヴァイだったが、斬撃が効かないスライミーをどうやって倒すのか、わからないでいた。
「ふふふ……」
そんなツヴァイに、スライミーはゆっくりと近づいてきている。
何かを仕掛けてくるつもりのようだ。
「固い鎧とは、厄介なものだ……だが、私の体は、あらゆるものに変化する」
「何……?」
「酸の弾丸!」
「くっ……!」
スライミーの体が弾け、そこから液体がツヴァイ向かって飛んできた。
ツヴァイは、これを受けるのを危険だと判断する。ただの攻撃とは、思えなかったのだ。
「まだまだ……」
「なっ……!」
ツヴァイは躱したと思ったが、地面に当たった液体は跳ね返っていた。
「くっ……!」
なんとか躱そうとしたツヴァイだったが、完全に回避できず、液体が当たってしまう。
「こ、これは……?」
「ほう……完全には当たらなかったか。流石だな……」
液体によって、ツヴァイの纏う鎧は少し溶けていた。
どうやら、液体には鎧を溶かす性質があるようだ。
「私の体を、酸に変化させて撃ったのさ。これなら、固い鎧も問題ない」
「酸だと……」
「私の体は、少しだけ性質を変化させられるようでね」
ツヴァイは、スライミーの言葉に目を丸くする。
これで、鎧の防御も無意味となってしまった。しかし、鎧を解いたら、窒息攻撃の餌食になるだけだ。
「まだまだいくぞ! 酸の弾丸!」
「くっ……」
そこで、スライミーの次なる攻撃が放たれる。
ツヴァイは、これに対して全身の魔闘気を集中させた。
「鎧の障壁!」
ツヴァイは、鎧に魔闘気を纏わせ、酸を遮断することにしたのだ。
全能力を防御に割いて、その酸を防ぐ。
「ほう……流石は元鎧魔将、大した防御だ」
「はっ……!」
ツヴァイの魔闘気で、酸は遮断された。
しかし、防御に集中している内に、スライミーに背後に回られたようだ。
「次は逃がさないようにしよう……」
「くっ!?」
スライミーが、背後からツヴァイを包み込んでいく。
まるで、水の中に入っていくかのようだった。
「ふふふ、これで全身……」
「ごふ……」
スライミーに完全に取り込まれたツヴァイは、再び呼吸を奪われることになる。
上下左右、ツヴァイに逃げる場所はなかった。手足を動かしても、どこにも進むことができないのだ。
「ごふっ……!」
「来たか……!」
そこで、ツヴァイの鎧が光輝いた。
魔人の鎧槍を槍に戻し、その衝撃でこの拘束を解くためだ。
「ふん……!」
「はっ……!」
しかし、スライミーはそれに合わせて、体を分担させた。
魔人の鎧槍は槍に変化し、一瞬ツヴァイは空気を得ることができる。
「もう一度だ……」
「ごっ……」
その直後、スライミーの拘束が再び始まった。
ツヴァイは再度、呼吸を封じられてしまう。
「これなら、何度変化しても同じだろう?」
「ごふっ……」
スライミーの言う通り、魔人の鎧槍を変化させても、また呼吸を封じられるだけである。
だが、束の間でも空気を得なければ、ツヴァイは倒れてしまうだけだ。
その方法で、なんとか凌ぐしか、ツヴァイに方法はなかった。
「束の間でも空気を得たいと思っているようだが、これはどうかな……? 酸の体!」
「ん……!」
ツヴァイがそんなことを思っていると、スライミーの体が変化していく。
自信の体を酸に変えたようだ。
「んんん!」
ツヴァイは、咄嗟に自身の周りを魔闘気で覆った。
これで、酸はとりあえず防ぐことができる。
「なるほど……だが、呼吸はできまい」
「ん……!」
しかし、劣勢は変わらなかった。
魔闘気を解けば、ツヴァイは溶かされてしまう。この拘束を根本的に解決しなければ、いずれ魔闘気が出せなくなって、先にツヴァイが力尽きるのだ。
「……く!」
「む……!」
そのため、ツヴァイの取った行動は、魔人の鎧槍を変化させることではなかった。
「こ、これは……?」
ツヴァイが使ったのは、魔闘気である。
「な、何が、が、が、が、が……」
その攻撃によって、スライミーの様子が変わった。
明らかに苦しんでいる様子である。
「くっ……退避!」
「がはっ!」
それにより、スライミーはツヴァイから離れていった。
空気が戻ったため、ツヴァイは呼吸を再開する。
「はあ、はあ……」
「な、何をした……?」
スライミーは、そう疑問を呟く。
ツヴァイの行動は、スライミーにとって予想外のものだったようだ。
「思った通り、内部破壊は通用するようだな……」
「内部破壊……?」
「俺の魔闘気を、お前の中に流し込んでやったのだ……これなら、物理攻撃が効かなくても攻撃できる」
「そんなことが……」
ツヴァイが行ったのは、相手の内部を破壊するためのものである。その攻撃は、物理攻撃の効かないスライミーにも通用したようだ。
「もう一度浴びせてやる!」
「内部攻撃か……厄介だ。だが……」
ツヴァイは、スライミーに向かって手を伸ばし、魔闘気を流し込もうとする。
しかし、そこでスライミーの体に変化が起こった。
「何!?」
「キュルキュルキュル」
スライミーは、魔闘気が流し込まれる寸前に体を分裂させたのだ。ツヴァイの手は空ぶるだけだった。
それを見た後、周囲のスライムが一つになる。
「私の体は変幻自在……君の攻撃を受ける必要もない」
「くっ!」
ツヴァイは、その様子に頭を悩ませた。
散らばられるのでは、ツヴァイの攻撃を通すことができないのだ。また、ツヴァイは攻撃手段がなくなってしまった。
「いや……」
だが、そこでツヴァイは思いつく。スライミーを倒すことができる手段を。
「……ならば」
「む?」
ツヴァイは、手に持つ魔人の鎧槍をスライミー目がけて突きさした。
「血迷ったか?」
スライミーは突然の攻撃に、少し驚きながらも、体に穴を開けてそれを回避する。
その瞬間、ツヴァイの槍が光輝く。
「変化逆鎧」
「何!?」
ツヴァイの言葉とともに、スライミーの体が鎧に包まれる。
魔人の鎧槍を相手に纏わせたのだ。
「これは……? で、出られない!?」
「魔人の鎧槍は高い防御力を誇る鎧だ。それを反転させ、お前の拘束具とした。これで逃げ場はないぞ……」
「くっ……酸の体!」
スライミーは、自身の肉体を酸に変化させたようだが、それでも鎧を溶かすのには時間がかかる。
そして、その時間はツヴァイの攻撃を許してしまうということだ。
「喰らえ!」
「ぐわああああああ!」
鎧の中で逃げ場がないスライミーに、ツヴァイの内部破壊攻撃が伝わっていく。
「こ、こんな攻撃が、あるとは……」
「お前は恐ろしい敵だった……相性が良くなければ、俺も危なかっただろう……」
「ふふふ、だが君であっても、フロウ様には勝てない。私は先に、向こうで待っているとしよう……」
その言葉を最後に、スライミーが言葉を発することはなかった。
ツヴァイは念入りにしばらく魔闘気を注入したが、しばらくしてそれをやめる。
「変化槍」
そこで、ツヴァイは鎧を槍に変えた。
すると、中にあったのはただの水である。その水は、地面にある水に混ざり、どこかに消えていった。
「奴は……何者だったのか……いや、それはどうでもいいことか」
ツヴァイは、近くにあった即席水没器を破壊する。
これで、ツヴァイの一戦は終わるのだった。
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