これって悪役令嬢?!私の生き方貫きます!

ノベルバユーザー417511

危険な匂い4

 ルーファスの怒り狂った叫びが、
会場にこだまする。


「まだ近くにいるはずだっ!
直ぐに詮索しろっ!一歩足りとも怪しい奴は
城の外に出すなっ!」
ルーファスの指揮のもと護衛達が、マリーの
捜索を始める。


「私が、バルコニーに出ようって
言わなければ...」
美香は、大泣きしながら呟く。
「ミリカ嬢、それは違う。俺が甘かった...
マリーを守ると誓ったのに...」
ルーファスは血が出るのではないかと
思う程、拳を握り締める。
「ロイ、ミリカ嬢を頼んだぞ」
「分かった」
ロイは美香を優しく抱きしめ、
背中をさする。
「今は、ルーファス王子を信じよう」
「うん.....」


「王子、庭に侍女の制服が、脱ぎ捨てて
あるのが、発見されました」
ライルがルーファスに告げる。
「侍女に、化けていたと、言う事か...」
「王子、申し訳ありせん。私が...」
「ライル、もう何も言うな。
必ず助け出すぞっ」
「はっ」
ライルは下がり、詮索を続ける。


ミリカは、なんとか体の痺れが取れ
マリーの部屋へと向かう。
あるはずの無い、手掛かりを探し始める。
ただ、待っているだけなんて出来なかった。
すると、机の上に紫色に光る指輪が
置いてある。
これって、まさかっ!
誰も入ってこれないように、
部屋の鍵を閉める。
「ジル君、ジル君。
これで伝わってるのかな?」
半信半疑で指輪に向かってジルを呼ぶ。
すると、
「じゃじゃ~ん。何かお呼びですか?
まり様」
この間こっぴどく怒られたので、様付けに
変わっている。
「あれっ美香。まりじゃないの?」
「ジル君~」
美香がジルを抱きしめる。
「ちょっと、苦しいよ。どうしたのさ」
事の成り行きを話す。
「えっ!それ大変じゃないっ!
指輪さえ付けてくれてれば、居場所突き止め
られるんだけど」
「どーしよー!」
美香が大泣きし始める。
「美香、泣かないで。なんとか考えるから。
そうだっ、妖精の女神から貰ったペンダントで
居場所分かるかもしれない」
「あれってもしかして、二つは繋がってるから
探知機みたいに使えるかもっ!」


コンコンコン。
「ミリカさん、居るの?」
ロイが部屋へやって来た。
「ど、どうしよ」
「もうしょうがないんじゃない?緊急事態だしさ。それに協力者がいた方がいいよ」
「そうだね、今は構ってられないもんね」
美香がドアを開ける。
「ミリカさん、大丈夫?」
「あ、うん。あのね....」
説明が終わらないのに、ジルが話し出す。
「僕、ジルっていうの。ロイ、宜しくね」
「えっ?猫?」
ロイがジルを見つめる。
「あ、あのね、ロイ君....」
ジルとのいきさつを話し、ペンダントの事を
話す。
「なんとなく、気が付いてたけどね、
まさか、異世界とは驚いた。
でもねーさんには変わらないからっ!」
「ありがとう。ロイ君。あとライルさんとは
顔見知りなんだって!ルーファス王子には
内緒にしとこ。自分から話したいだろうから」
「うん。分かった。それよりも、急ごうっ!」


美香とロイがジルを抱き、
ルーファスとライルの元へ急いだ。


ライルが、
「ジ、ジル殿?」
「誰だ?ジルとは」
「い、いえ....」
「ちょっと、ライルさん来て下さい」
美香がライルを引っ張る。
「ライルさん、ルーファス王子の
ペンダントでマリーの居場所が分かるかも
しれませんっ」
「ジル殿、本当ですか?」
「多分、大丈夫だよ。それより急がないと
離れ過ぎると分かんなくなっちゃう」
「分かりました。私は王子を誘導します。
ジル殿は、私の懐にお入り下さい!」
「分かった!僕、誘導するからっ!」
「では、ジル殿参りましょう」


「ルーファス王子、マリー様の
居場所が分かるかもしれません」
「本当か、ライル。すぐ向かうぞっ」


ルーファスとライルとジルは
外へ駆け出したのであった。



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