これって悪役令嬢?!私の生き方貫きます!

ノベルバユーザー417511

不穏な影4

 お茶会の当日になった。


日に日にペンダントの色が
変わって来ている。
最初は薄紫色だったのが
今じゃ黒に近い色になっている。


流石に焦りと不安が募る。


妖精の森に行くには、城からしか
抜ける道がなく
出入り禁止となっているマリーには
この日しかチャンスがなかった。


胸騒ぎがする。


リックの言葉が脳裏に焼き付いて離れない。
王子が死んだような目をしていると。


別に、ルーファスが誰を選ぼうが、
そんな事はどうでも良かった。
ただ、ルーファスが幸せであれば良い
と思った。


私ってお人好しね....


皆が気合いを入れて準備をしてくれる。
お母様まで、ずっと後ろから
あーじゃない。こうじゃないって。


支度も終わり、
「ねーさん、今までで一番綺麗だよ」
「お嬢様」「マリー」
皆が優しく微笑む。


「ありがとう。では、行ってきます」


馬車に乗り込み、気合いを入れる。
「よしっ、大丈夫、大丈夫。
私は私を信じるわ」


外の景色が流れるの見つめ
だんだんと、城が大きく近付く。
馬車が城に到着した。


庭には、沢山の人達がいる。
「あら婚約を破棄された
マリー様ですの?よく顔が
出せたものですわねぇ。皆さん」


いつもの、悪役令嬢連合軍。
今は相手にしている暇などない。
準備運動のようなものだわ。


「あら、私は、何も恥ずべき事はして
おりませんのよ。いくら何を言われても
平気ですわ」
「まぁ、面の皮が厚いことで」
「貴方達の、お化粧より薄いですわよ。
おほほほほほ」


ぶっ。
隣の紳士が吹き出した。
「いやー、笑うつもりはなかったんだが
ついね」
「リチャード様!」
その人を見ると、なんともイケメン。
連合軍の目がハートになっている。
「おや、あなたが噂のマリー嬢ですか。
お綺麗なのに、意思がお強い」
「少し、マリー様をお借りしますよ。皆さん」
リチャードが無理やり手を引く。
「リチャードさんでしたか?もしかして
助けてくれたのかしら?」
「いえ、とんでもありません。
私がマリー様に興味をもったんですよ」
慣れた手つきでリチャードが
マリーの腰に手を回す。
「ちょ、ちょっと」
「婚約解消されたのですよね?
ルーファス王子も見る目がない」


その時だ。
後ろからルーファスがリチャードの肩を掴む。
「その手を離せ」


「ルーファス!」


「王子どうされましたか?」
リチャードがルーファスの手を払う。


「いや、何でもない。だが.......」
ルーファスがマリーの姿を映す。
「ルーファス元気なの?」
マリーが心配そうに、尋ねる。
「お前は、確か、マリーと言ったか」
!?
忘れてしまうくらいどうでも
良かったって事?
いや、ルーファスはそんな奴じゃない。


「あら、どうされましたか?王子?」
テレスが王子の側にやって来る。
「あ、いや、何でも無い」
王子に腕を絡め、
「もしかして、マリー様ですか?
初めまして。私テレスと言います」


牽制してるようだ。


「初めまして。テレス様」
これでもか、というくらいの笑顔を見せる。


テレスは妖艶な美女という風貌で、
一言で言えば、お色気ムンムンといった
ところ。


「私達、お付き合いしてますの。
もう少ししたら、婚約の発表も出来るかと、
思いますわ。ねぇ、ルーファス王子」
「あぁ」
しかしルーファスの目には光を宿していない。
どこを見てるか分からない。


「まぁ、それはおめでとうございます。
ルーファス王子」
「っ!!」
ルーファスが苦しそうな顔をする。


そんな時、侍女がテレスに
ぶつかってしまい、
ワインをドレスに溢してしまう。


「な、なんて事、お前、これがどういう事か
お分かり?」
「申し訳ありません。申し訳ありません」
泣きそうな顔で、何度も謝る。
「土下座して、謝りなさい」


何?ワインを溢したくらいで
土下座を要求?


泣きながら土下座しようとした瞬間
侍女の腕を取り、立ち上がらせる。
「アイリ、お久しぶりです。マリーよ。
元気でしたか?」
「マ、マリー様!」
アイリを自分の後ろに隠す。
「マリー様、邪魔をしないで貰いたいですわ」
テレスの顔が怒りに満ちた顔になる。
「何度も謝っているでは無いですか」
「私に免じて許してあげてはくれませんか?」
「ダメですわ。使用人には
厳しく教育しませんと。マリー様、その娘を
こちらに渡して下さいませ」
「嫌と言ったら?」


「マリー様、もう良いですっ!」
「あなたは何も悪くないわ。わざとでは
無いのだし、何度も謝ったでしょう?」
「ですがっ、マリー様がっ!」
「アイリ、前を向きなさい。あなたは何も
間違ってないわ。」


「テレス様、これから主になるのでしたら
使用人達を守るのもあなたの役目かと。
厳しすぎる行いは、もう教育とは
呼びません。」
「アイリ、皆の所に戻りなさい。ほら、早く」
「マリー様、マリー様」
泣きながら、その場から立ち去る。


テレスの顔が歪む。


「この、小娘が。痛い目に合わないと
分からないようだね」
テレスの態度が豹変する。
「あんた、こっちが本性?
受けて立とうじゃないの」
「ルーファスも、とんでもない令嬢を
嫁にするのね。城を潰す気?」
ルーファスはどこか遠くを見て返事をしない。


ダメか。心がどっか行っちゃてるわ。


「ライル、その小娘を牢屋に入れときな」
「だ、だが...」
「いいのかい。あんたの大切な王子が
どうなっても」
「ねぇ、私の王子様?」
テレスがルーファスの頬を撫でる。
「あぁ、そうだな。テレス」


「ルーファスっ!こっちを見なさい!」
しかし、ルーファスには
その声が届いていない。


「さっさと、連れていきな!」
「マリー様、どうか、大人しく
捕らえられて下さい」
ライルが、マリーを地下牢へと
連れていくのだった。



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