これって悪役令嬢?!私の生き方貫きます!

ノベルバユーザー417511

ロイと馬車の中。

「お姉様、開けますよ」
「どうぞ」


···································。
ロイが固まって動かない。


「ロイ、行きますよ。
何、ボーっとしてるのですか? 」
「あっ、はっ、はい、
お姉様。では、向かいましょう」
なんだか、シドロモドロだ。
それにほんのり顔も赤い気がする。


ロイとは年が1才しか離れておらず、
実は血が繋がっていないのである。
女の子しか生まれず、跡取りを育てる為に
マリーが5才、ロイが4才の時に
マシューズ公爵家に迎えられたのだ。


ロイは顔も可愛く、お行儀も良く、頭も良くて
マリーは父と母が取られるのではないかと思い
色々な嫌がらせを行ってきた。


そのおかげで、ロイが6才になる頃には
一切会話も無く、
冷めた関係になってしまっていた。


う~ん。これもなんとか、しなきゃね。
デッドフラグぷんぷん臭うわよね。


玄関に向かうと、


「マリ~。とっても可愛くってよ。
これなら、ルーファス王子も
マリーに惚れちゃうわ!!! 」
母が大興奮している。


「残念ですが、お母様そんなつもりは
全くございませんから」
なんて言おうもんなら、
大変な事になりそうだ。


「では、お母様行ってまいります」
馬車に乗り込もうとした時、
「お姉様、お手を」
ロイが手を出している。


おやっ? そんな事された記憶無いぞ。
どうした。ロイ。
朝のありがとう&笑顔作戦が効いたのか?


「ありがとう。ロイ」
顔をそらされる。
やはり、気のせいか。
今日はロイにとっても
初めてのエスコートだもんね。


馬車が揺れる中、ロイはずっと外を見て
こっちを向いてくれない。


「ねぇロイ、今日はルーファス王子の
16才の誕生日よね」
全く興味の無い話題を振ってみる。
「そ、そうだよ。それがどうかしたの? 」
目が合う。
「やっと、こっちを、見てくれた」
ニコっとする。


「突然だけど、今までごめんね。
私、ロイに焼きもち、焼いていたの」
「どうか、今までの事
許してくれるかしら? 」


おばあちゃんから、
悪い事したら、相手がどんな人だろうと
心を、込めて謝りなさい。と言われていたので
素直に言葉が出てきた。


「··················」
顔が真っ赤だ。
ヤバいっ!怒らせたかっ?
「ロイっ? 」


「な、なんか、お姉様変わった.........
今朝、侍女達が、お姉様が、おかしく
なったって。噂してた」


なんと! 失礼な。私は普通のつもりだわ!!
でも、いい傾向ね。浸透してきてるのね。


「そうかも、しれないわね。」
クスっ。
少し笑ってしまった。


「っ!......................」
ロイの顔が又赤くなっていく。


「分かったから、もう許すよ!! 」


やりました。ロイの許しゲットです。
これで、家での生活の安全も確保だわね。


だんだんと、お城が見えてきた。


「お姉様、そろそろ、着きますよ」
「それより、ルーファス王子に
婚約申し込まれたらどうするの? 」


城が近ずくと、どんな祭りが始まるのかと
興奮ぎみになり


「ロイ、なんか言った?」
全く人の話しを、聞いていないかった。


「別に、もういいよ」
おっ、なんか、ちよっと拗ねて
可愛いいんじゃない?


そうこう、してるうちに
城の門まで到着した。


城でかっ!日本の城とは違って
迫力あるわ~。


時代劇大好なまりにとっては、初めて見る
西洋風の城に、興奮マックスなのだ。


「お姉様、キョロキョロしないで。
はしたないですよ」
「そんな事言ったって、城よ。城」
「久しぶりだからって、
そんなに興奮しますか? 」
「そんなに、ルーファス王子に会えるのが
楽しみなのですか? 」


「はぁ~? 」
すっかり王子の事なんて忘れていた。


そうだ。王子よ。王子。
一応大好きって設定なのよね。
よしっ、もうロイには言っちゃおう!
だって、面倒なんだもん。


「私ね、王子の事は、もう好きではないの。
散々振られてきたでしょ」
「だから、諦める事にしたの。
まだ父と母には内緒よ」
椅子に何か落ちてる。それが何か見てると、


「そうなのですか、お姉様。
そんなに落ち込まないで下さい」
「何かあったら、僕が助けますから」
少し嬉しそうだ。


お~!!。可愛いいやつめ。
このままお姉ちゃん、大好きっ子に
なればいいさ。


なんなら、まったく、
落ち込んでないけどねっ!!


城の前まで到着した。
馬車の扉を開け
「お姉様、お手をどうぞ」
少年のあどけなさを残したロイが、微笑む。


ほぇ~。かわえぇ~。
えぇじゃないの。えぇじゃないの。
おねーちゃん、嬉しいよ。
ロイには、素敵な人見つけて欲しいわ~。


まりには、兄弟がいなかったから、
兄弟って、憧れてたんだよね。


「ありがとう。ロイ」
手を取り、馬車から降りる。


城の扉の前まで来た。


つっ、ついに、城ですよ。
祭りですよ。
噂の舞踏会ってやつですよ。
豪華な料理ですよ。


ヤバい、興奮して鼻血出そう。


「お姉様、大丈夫ですよ。僕がついてるから」
頼もしぃ~。
私が王子の事で落ち込んで、
挙動不審になっている。と勘違い
してるみたい。


そんな事で、おねーさまは、
落ち込まなくってよ!!!


ロイが手を強く握ってきた。


ロイも緊張してるのね。


まりもロイの手を強く握り返した。


出陣じゃ~!! 


♪ふぉあふぉ~♪
ホラ貝の音が脳内に響き渡る。


ガシャンっ。


大きな扉がゆっくりと開いていった。

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