リアル乙女ゲームは、悪役さえも付いていない、ただの令嬢だった。~40オーバーおばさんの乙女ゲーム初デビュー~

ノベルバユーザー417511

王子達との出会い2

 アンリから引っ張られて、庭を進むと、ソフィが一人ポンツと立ってるのが見える。

あれっ、あの子一人なの?主人公よね?まだ話しは進んでないのかな?それともこれからなのかな?
「アンリ様、あのソフィって令嬢お一人なのですか?」
「知らない。あの子、いつも一人よ。一人が好きなんじゃない?」
もしかしたら、こらから出会いのイベントが始まるかも知れないけど、どうしても気になってしまう。元教師だからだろうか。アンリの手を振りほどいて、ソフィの所へ向かおうとする。
「リズ、ちょっとどこ行くのよっ」
「ソフィ様の所に。あんな所でお一人でお茶をしているなんて、つまらないでしょう?」
すると、ツンデレ王子アレックが

「俺、誘って来るよ」と言ってソフィの元へ向かう。
このアレックは、皆の中ではお調子者担当と言った所か。素直で良い子じゃないか。アレックがソフィを連れて来ると、リズは、
「アレック王子は、優しいのね」と言って笑顔を向け頭を撫でる。アレックは
「な、何すんだよ。やめろよ。子供じゃないんだよ」
と言って、赤くなりながら、そっぽを向く。
ソフィが
「この間は、助けてくれてありがとうございました。いつの間にか、リズ様いなくなってしまわれたから」
そうだ。前のお茶会の時、こっそり抜け出したのだ。
「ソフィ様、私と、御一緒にお茶して頂けますか?」
リズがそう言うと、ソフィは、
「もちろんですっ。ありがとうございます」とニッコリと笑顔を向ける。
かっ、可愛いっ....半端じゃないわ。思わず桜は抱きしめてしまう。するとアンリが
「ちょっ、リズ何してんのよ。私にもした事ないのに....」と言うと、アンリも子供よね。と思いながら、子供をあやすように
「はい、はい」と言ってアンリを抱きしめる。アンリも嬉しそうにリズを抱きしめ返す。
それを見ていた王子達が、興味津々にリズを見ている。リズは気にせず
「はいっ、皆行きますよ~」と言うと、生徒を引率する先生のように、皆を先導する。

お茶の場所に着くと、アンリが
「ちょ、ランバード王子も、アレック王子もリズの隣は私なのよっ」とリズの隣の争奪戦となる。
ランバードもアレックも
「偶然だろ?」と言ってすかした顔をしている。
クール王子のラルフとヤンデレ王子のケインは
「ふ~ん。そんなにいいんだ....」と呟きながら、リズを見ている。

桜は思い出したように、
「そうだっ、アンリ様、たまにはランバード王子とデートでもしたらどうでしょうか?毎日家に来るより、楽しいかと思いますわよ?」
ランバードが
「アンリ、毎日リズの家に行ってるのか?」
「ええそうよ。ランバード王子には関係無い事よ」
「そんなに、楽しいのか?」
「ええ、とってもっ」と楽しそうに笑う。
「そうか、そんなに楽しいのか...俺も....」と呟く。
「何かおっしゃいましたか?」とリズが聞いたが
「いや、何でも無い」と答える。

なんとか、アンリが家に入り浸ってる事をアピールしたので、焼きもちも焼いてる事だし、プライドが高そうなランバードだもん。これで動き出すわよね。
後はと、ソフィね。これだけ可愛けりゃ、私がほっておいても、誰かと結ばれそうだよね。でも誰と引っ付くか気になる~。おばあちゃん魂に火が着く。
「ソフィ様は、誰か気になる殿方でもいらっしゃいますの?」とリズがソフィに聞くと
「いいえ...私身分が低いんです。だから本当は、この場所にいるのも心苦しいくらいなんです。なのでそんな事を言える立場では...」
「まぁ、そんな事気にしてますの?ソフィ様、若い時は今しか無いのですよ?後悔する前に思い切り楽しんだらいいでは無いですか。素敵な恋は今しか出来ませんのよ。それはとても尊い思い出になるはずです」とリズが言うと、ソフィはキラキラとした瞳でリズを見つめる。

おいっ、ボンクラ王子達っ、ソフィを見ろ。めっちゃ可愛いぞ。この一撃で誰かは落ちただろう。と心の中で呟き、誰かソフィの事見てないかと、見渡すと、何故か皆リズを見ている。
リズは、ゴホンと咳払いし
「いいですか?皆様、身分の違いはこの時代あるかもしれません。だけど、それを越える何かがあると感じたなら、何も気にせず掴みなさい。それと、人を大切にする事を忘れては行けません。決して王子だから、身分の高い令嬢だろうと関係ありません。人を大事に出来ない人は、幸せになれるはずがありません。分かりましたか?」桜は、教師の時から、常々子供達に人の大切を語っていた。
「分かったわ。リズ」
「おう....」など皆が納得してくれたようだ。

良かった、良かった。これでソフィも誰かとくっ付きやすくなったでしょ。誰と恋に落ちるか楽しみ。
和やかなお茶会になった所で、そろそろ、おばさんは退散しようかね。リズは席を立つと、

「それではっ、あとは、若い人でお楽しみ下さいませ」と言うと、そそくさとその場を後にする。長居して皆に印象を残してもいけないもんね。
アンリは、
「リズっ」と止めようとするが、リズは歩くのが早く
あっという間に見えなくなってしまう。
「おい、アンリ、リズって年いくつなんだ」ランバードが聞くと
「私達と同じはずなんだけど....」
するとヤンデレ王子ケインが、
「リズってさ、なんか安心するよね。懐が大きいって言うかさ」
「ちょっとケイン王子まで、何おっしゃってるのですか?最初に見つけたのは私なのですよ?」アンリが反抗する。
「そんなの関係ないじゃんね、ラルフ」
「ああ、そうだな」
「ちょっと。皆、やめて下さいませ。まさかっ、ソフィ様までもじゃないでしょうね?」
「さあ、何の事でしょうか?」と素知らぬ顔で笑顔を作る。アンリは立ち上がり
「も~っ!!」と叫んだのだった。

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