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自称前世の夫が急に現れて求婚してくるのでどうにかしてください

アカイリツ

10:どういうことですか?

「………っ」

だんだんと正気になる頭。
はっきりとしてきたところで、一体自分が何をしでかしたのか、混乱してきた。

「えっと、……あの、……」
「大丈夫だ、落ち着いてくれ」

そう引き寄せられても、嫌な気はしない。
むしろ落ち着いてしまうのだから、本当におかしな事だらけだ。

「……ここは、俺たちがよくデートした場所だ」
「デート……?」
「あぁ、お前はこの山茶花がとても好きで…だからよくここに茶を運んで過ごした」
「………」

感情が定まらず、困惑した表情を隠せないままでいる私の頬を、彼が優しく撫でる。

「無理して思い出す必要はない」

何やら嬉しそうに笑顔になっていくそいつとは逆に、一気に現実に戻り冷めていく私。

一体何が起こったのか。
まるで何かに乗り移られていたような感覚だ。

「やはり、こうやって色々なことをするのが記憶を呼び覚ますきっかけになるのだろうな。よし、これからも色々な事をしよう」
「……この手は、何をするおつもりで?」
「手始めにもっと深い口付けをだな、」
「お断りよ!!!!」

何が手始めだ、このエロ野郎!!!!!!











******









そんな魔の手を潜り抜け、休み明けの月曜日。
栞那とお気に入りのカフェへランチに出かけた。

今日はお弁当いりませんと伝えると風吹さんはとても悲しそうな顔をしていたが、友達と外で食べる約束をしたと伝えるや否や、
『お友達がいらっしゃるのですね!』と何故か嬉しそうに手を握られた。
友達もいない寂しい女だと思われているのだろうか。すごく失礼な男だ。

「ねぇ、蓮子。聞いていい?」
「何?」

美味しくランチを食べて、オフィスまでの帰り道。
何を言われるのかと身構えれば、まさかの質問だった。

「東雲さんと付き合ってるの?」
「…は?」

思わず立ち止まる。

え、え、え、なぜ…?

「営業部にこの前イケメンが入ったって言ったでしょ?」
「うん。栞那が最近よく遊んでる人でしょ?」
「この前ご飯行ったらさ、東雲さんの話になったのよ、ほら、仕事できるから東雲さん。
そうしたらあのイケメン、私とよくランチしてる女性が東雲さんの車から降りるの見た、だなんて言うから」
「いや、だからこの前も言ったけど、それ私じゃないんじゃないかなぁ…?」

前に一緒に出社したのかと言われた時、それは自分ではないと言い張った。
今回もその姿勢で是非貫き通したい。

ソレハワタシデハアリマセン。


「じゃあ何であんなに親しいわけ?接点なんてあった?この間も”蓮子”って呼んでたし」

じと目で見られ、ドキリとする。
やっぱり怪しまれてる…!

さぁこの問いからどう逃げようとかと考えていると、栞那は言いにくそうにそっと教えてくれた。

「あのね、蓮子。東雲さんだけは、やめておいたほうがいい」
「…………」

何故だろう。
あんなにも仕事もできる爽やかイケメンだなどと言っていたくせに、なぜここだけの話みたいに、話を切り出してくるのだろう。

続く言葉が怖くてあまり聞きたくない。

「………別にあの人とは何もないけど、なんで?」

けど、聞かないわけにはいかない。
悔しいことに、流されたまま一緒に生活をしているのだ。

何か理由があるのなら、それをきちんと知る必要がある。

まさかやばい男であることを知っているとか…?
だとしたらこの反応はとても正しい。

私だって栞那がそんな男と付き合おうとしていたら、全力で止めるだろう。

けれど、聞こえた衝撃の事実はもっと現実的なものだった。


「あの人、既婚者だから」

………へ?


キコンシャ…

きこんしゃ…

既婚、者……?


あれ、既婚者ってつまり、結婚してるという事ですよね?

ということはあれですか、俺と結婚しろだなんだ言って、実はもう既に結婚していると。
奥さんがいるのに、私を拉致し、軟禁していると。

既婚者と聞いて、一瞬さっと血の気のひく感じがしたが、それが次第にメラメラと怒りの感情に変わっていくのが分かる。


いつ文句を言いに行ってやろう。
昨日アパートを確かめに行ったとき、業者が既に次の入居者の準備をしていて、もう戻る家はないと知った。
今いるやたらデカい家に、今の私の生活は移されている。

けれど既婚者だなんて聞かされてしまえば、同じ家になんていられない。
あの家に奥さんらしき人はいなさそうだけれど、別居でもしているのだろうか。

だからって既婚者であることは変わらないのだから、私に手を出していいという道理にはならない。

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