レジット

Noir

故障

山本裕哉(やまもと ゆうや)は深夜1:00に家から少し離れた林道で自分の愛車の白い86を時速85キロの高速スピードで走らせていた。
「この林道初めて来たけどカーブが緩いな。おかげでかっ飛ばせるぜ!」
そう言ってアクセルを踏んだ瞬間、突然左側のフロントの方からゴンっと音がした。
何かにぶつかったようだ。
同時に慌ててブレーキを踏みその場に車を止めた。
何事かと思い車から降り、音のしたフロントの方に歩き出す。
すると裕哉は両眼を見開いた。
そこには無残にへこんだバンパーの隙間にに茶色い毛がびっしり挟まっていたのだ。
鹿にぶつかったのだ。
あたりを見渡しても鹿は見つからない。
鹿の体は丈夫だ。
おそらく衝突した時に急いで林に隠れたのだろう。

それはさておき、このへこんだバンパーをどうするかだ。
直してもらうあてもない。深夜にディーラーがやっているわけもなく、レッカーで引き上げてもらおうという手段もあるが重症ではないし自力で動かせるのでその必要はない。
やはり朝になってからディーラーに行って直してもらうしかないのだろうか。
と試行錯誤しながらスマホをいじっていると一軒だけ深夜までやっている車屋があった。
「えぇっと…レジット…?」
その車屋の名前は「レジット」というらしい。ホームページを見てみると、ガレージみたいになっていて、車に関するアイテムも売っている。サービスとして、車の整備もやってくれるらしい。
「よし…ここなら!」
裕哉はスマホをズボンのポケットにしまい、車に乗り込み、アクセルを踏んだ。










つづく…

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