採集者の役得

赤猪千兎

採択者の帰路②

獣道を進み崖を上り、そして道へと出た。
常備スキル『身体能力強化』で常に効果が発揮されているからか、疲労感などが微塵も感じない。それどころか、速く、強く、生きていると実感した。
町からここまでは数十キロほど離れており、それもこのスキルの前では何の弊害にもならない。

「ちょっと走ってみるか……」

この小道はずっと先まで続いており、この提案には適していた。
正直このレベルMAX『身体能力強化』のスキルがどこまで適用されているのか、今の自分の限界を、可能性を知りたい。そして、命我は走った。

「んっ!!」

余りの風圧に顔を引きつらせる。500メートルほどあった距離は走ると同時に縮み、目標としていた地点まで瞬きの刹那、到着していた。
これは……またまた。

「次は、ジャンプだな……」

走りは想像以上の速度を魅せ、もちろん疲れなどは感じない。
今度は跳躍力を試すために、一度屈み足を踏ん張って空へ!
そして、気が付けば当たりの高木と同じ目線に至っていた。その高さ30メートル程度。
足が地面に着いていない、味わったことのない特殊な浮遊感が妙に心地良い。だがそんな夢心地も重力と共に引き戻される。
ローグは空を飛んでいる訳ではなく、ただ飛び跳ねただけであり、ホバリングスキルなど持ち合わせていない。つまり……

「おーちーるーっ!!!」

後先考えていなかったローグの自業自得。そのまま地面へと勢いよくその身は落下していった。
ドスンッ!と鈍い音を立てて、砂埃が舞う。
普通30メートルから落ちたとなれば大怪我、打ちどころが悪ければ死。そんなシチュエーションの中、砂埃の中に居たのは擦り傷一つない健全なローグの姿だった。

「なるほど……『身体能力強化』って体の丈夫さまで強化されてるのか」

なんとか無事だったローグは自分のスキルを賞賛し、体を起こす。
自分のスキルそして自身の可能性を再確認したローグは自然と口角が上がっていた。
そんな時、picon!picon!と頭の中で唐突に警報が鳴った。

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