採集者の役得

赤猪千兎

収集者の死闘①

ローグと暗黒龍が居るその洞窟は高い山の中にあった。
その頂の高い木に天空から雷が降り落ちた。
その振動は山頂から麓に響き、山の中に作られた洞窟を崩壊させる。
そんな事、知る由もないローグは唐突な地響きに驚愕する。

「うわっ!な、何だ!」

その揺れで、洞窟内を崩れ始め崩壊も時間の問題となっていた。
後ろですやすやと眠る暗黒龍の目覚めが起きないか気にかけながら、まずは我が身を守ろうと先ほどまでの慎重とは裏腹に非難の為、猛ダッシュで洞窟の先ほどは入ってきた出口へと向かう。
すると、ドッガンとすぐ後ろで天井が崩れた音が聞こえた。そして徐々にその崩れがローグへと近づいてきていた。

「死ぬッ!死ぬってこれはぁ!」

崩壊の速さはローグの足の速さよりも早く、徐々にローグの元へ確実に近づく。
これは死ぬ。そう覚悟したとき、先に出口が見えてきた。

「うおおおおおおおおっ!」

ローグは飛び込むように出口に身を投げ出した。
それが講じたのか、崩れた刹那、ローグの体はしっかりと洞窟外に脱出できていた。

「助かったぁーーー」

そのセリフは心の底からの発言だった。
大猪といえ、洞窟崩壊といえ、今日は走ることが多いと思い、その心身の疲れに耐え切れず地面に倒れた。
その癒しもつかの間だった。
鼓膜が潰れたとローグは思い咄嗟に耳を塞いだ。
それは、完全に崩壊した洞窟の下敷きになった暗黒龍の雄叫びだった。
そして、驚きと同時にその鳴る方向に視線を向ける。そこには禍々しいオーラを放ち、こちらを睨みつける暗黒龍が立っていた。
その視線はローグの背筋を凍らせ、恐怖のどん底に落とした。
圧倒的力の差。そこに勝利は愚か、逃げ切るとういう可能性すら微塵も見当たらなかった。
死。
その概念がすぐそこに近づいている気がした。死神の足音が聞こえるように。

「ははっ。これは終わったなぁ」

ローグの体を暗黒龍の手が握り掴む。
その握力はローグのろっ骨にひびを入れる。折れた骨が肺に刺さり呼吸も声を出すことも出来なくなっていた。
暗黒龍は軽々とローグの体を持ち上げ、そのまま顔に近づける。このまま食おうとでもしているのだろう。
このまま暗黒龍に何の抵抗も出来ずに食われ死ぬのだろう。そう悟り覚悟した。
ローグはそれも運命と片付けて、ゆっくり眠るように瞳を閉じた。



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