採集者の役得

赤猪千兎

採集者の逃走③

「流石、希少価値の高い薬草だな。いい出来だぜ!ウグッ」

ローグは『合成』の果て、出来上がった『回復薬』の色を確かめながら自慢げにそう言ったが、直後骨の軋みに悶えた。
痛み耐えきれず、一早く楽になりたいローグは手に持っていた回復薬をグイ―っと一気飲みする。途端、体の内から優しい温かさが広がるのを感じ、気が付けば骨折と出血が綺麗に完治していた。しかしローグがその事に驚くことは無かった。

「よし、治った……だな」

身体の個所をポンポンと軽く叩き、体の状態を確認する。
それから辺りを見渡し、

「ところで、ここはどこだよ……わからねぇ」

自分の居場所が不明な事を理解する。
深い溜息を吐き「仕方ない」の言葉で惨事を片付け、気分を改める。

「今日はここで野宿だな」

このような森林やダンジョン等モンスターが活動する地では夜になると強いモンスターの活動が活発になる。つまり、暗くなってからの活動は避けたほうが身のためという訳だ。
その為、夜戦の依頼やクエストは高値の報酬が貰えるらしい。(ローグ『採集者』のように最弱冒険者とは無縁の話だが)
ローグは安全な野宿場所を探し、歩いていくと獣道を抜けたそこに大きな洞窟を発見した。
中は相当広いが、生き物の気配は全くしない。というより、驚くほど静かだった。

「よし今日は、ここにするかな」

命我はその洞窟の中に本当にモンスターが居ないか探索する前に、荷物などを落ち着いて確認することにした。(大猪に吹き飛ばされた際に何か落とさなかったか等)
といえども、駆け出し冒険者なローグは高値が付くような貴重品をそう持っていなかった。一つを除けば。
ローグは腰に差すタガーナイフを手に取る。
タガーナイフ、それは冒険者に不向きな天職『収集者』が装備できる数少ない武器である。
とはいえ、ローグが持つこのタガーナイフは少々特殊で、『魔剣』という名の付く武器であった。
『魔剣』とは、高純度の魔石を使い巧の鍛冶師に叩かれた逸品であり、ちょっとの事では欠けることなく錆び知らずとこれだけでも凄いのに、一番の売りはその剣に宿る剣特有の魔法である。
『エンダーナイフ』と名付けられたこの魔剣は捨て子であったローグが唯一見ず知らずの親から授かったモノらしい。(魔剣の存在を知ったのは、ローグがお世話になっていた修道院から冒険者に成る際に生みの親の話と一緒に渡された際だった)





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