採集者の役得

赤猪千兎

採集者の逃走①

ローグは走っていた。何か目的地がある訳ではない、誰かを追っている訳でもない。
というか、追われてる。
走るローグの後ろから、こちらへ突進してくるのは体長五メートルもあるだろう大猪だった。
何故、こうなったというと......

この世界には『ギルド』があり、それらは『冒険者ギルド』と『商業ギルド』の二つに分かれる。
『冒険者ギルド』は『戦士』や『タイタン』、『弓使いアーチャー』などモンスターを倒すことが出来る天職持ちが所属し、モンスター倒しや用心棒の依頼等を通して報酬を得ている。
『商業ギルド』は『商業人』や『鍛冶屋』などモンスターは倒せないが国の経済を回すのに有益なスキルを持った天職餅が所属し、物資の売買や、武器や防具の修理や作成を通して利益を得ている。
人々は自分の天職に似合ったギルドに加入し仕事をこなしていくのだ。
そんな中、普通『商業ギルド』に加入するのが道理の、『採掘者』だが、『勇者』を夢見ていたローグはその冒険心をかき消すことは出来ず不愛想な『冒険者ギルド』に加入していた。
とは言え、不愛想故にその収入は少なく。『戦士』や『タイタン』がモンスターを倒す依頼に比べて、『採集者』は薬草などをアイテムを収集する依頼の報酬はスズメの涙のような額である。
モンスターを倒す報酬が平均十シルバーだとすれば、収集の報酬は平均壱シルバー程だ。
(この世界の通貨で、千ブロンズで壱シルバー、千シルバーで壱ゴールドという価値付けである)
その日を生き抜く程度の報酬では、長生きなど出来ないことはローグは重々承知である。しかし、『勇者』の夢を諦められず『冒険者ギルド』に加入しているのだ。
しかし、そう夢を語っても、財布は膨らまず、腹は減るばかり。
そんな現状のローグの前に現れたのは、『希少価値の高い薬草の採集』の依頼だった。

その希少価値の高い薬草を採集するため探索していたのだが、中々見つからず案外遠くまで来てしまっていた。

「やばいやばいやばいやばいって!!」

ローグは駆ける。それは見事な走りだった。雑念など捨て、そこにあるのは唯一死への恐怖のみ。
背後から猛獣のごとく襲い掛かる巨体の大猪。その牙は鋭く、小回りは効かないらしいが直線上での突進は素早く、あの巨体での体当たりをもろに食らっては天職持ちとはいえ、『採掘者』のローガでは一発KO。取り返しが付かなくなるだろう。
死にたくない一心のローガはこれまで魅せたことのないスピードで山の傾斜面を下っていく。





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