月に水まんじゅう
33 プロポーズの後
オンラインゲーム『Knight Road』に接続する。
ローディング画面が流れ、☆乙女☆が登場する。
☆乙女☆:こん
ミスト:hi
☆乙女☆:ミストさん久しぶり珍しいね
ミスト:久々に嫁とpkしようかとw
☆乙女☆:ラブラブだねww
このオンラインゲームも始めてから十七年経過した。
もう知っているプレイヤーは手のひらで数えるほどで、ミストも月姫も引退はしていないが
月に二、三回週末の戦争で敵国と戦う程度のプレイになっている。
ほとんどやりつくした感じもあるが、星奈は月姫とのコミュニケーションをとるツールにも使っていた。
メールやラインよりも、キャラクターを操作しながらチャットをする方が、二人にとって自然で身近に感じるからだ。
今日はまだ月姫はきていない。
戦争開始まで一五分ある。
星奈は思い切ってミストに相談することにした。
☆乙女☆:ミストさん、ちょっと聞いてもいい?
ミスト:いいお
☆乙女☆:あのさ、男の人ってどういうときに結婚したくなるのかな
ミスト:そうだねー経済力とか自信がついたときかな
☆乙女☆:そうなんだミストさんもそうだった?
ミスト:俺は収入上げようと思って転職考えてプロポーズしたら断られたwww
☆乙女☆:えwwww
ミストは現実世界ではやりがいのある職業についていたが、収入が低く、
恋人との結婚を考えたときに、もっと経済的に豊かでありたいと考え、転職しようとした。
しかしミストの恋人はそれを良しとはしなかった。
自分のために、やりたくない仕事をしてもらってまで、結婚をしたいとは思わなかったらしい。
二人は一度別れたが再び結ばれる。
今ではつつましく愛し合う生活を送っているようだ。
星奈は先週月姫と会ったときにプロポーズをされたが、
はっきりではないものの、うやむやな断り方をした。
星奈は仕事で責任のあるポジションに立ったばかりで、結婚など考えられなかった。
☆乙女☆:プロポーズ断るともう二人は終わるものなのかなあ
ミスト:大丈夫じゃないかな姫は
(え!?)
星奈は月姫と付き合っていることは、誰にも話したことがなかったので驚いた。
☆乙女☆:何で知ってるの?
ミスト:なんとなくw
☆乙女☆:姫には言わないで
ミスト:いわないよw
ミストは出会った当初から比べると、明るく開放的になっている。
大人っぽく物静かな様子だったが、結婚をした後からなんだか変化を感じた。
☆乙女☆:子供何歳になったっけ
ミスト:6歳やっと消防になるよw
☆乙女☆:おっきくなったねえ
ミスト:甘えん坊でこまるw
女には結婚のあと、出産と育児が待ってる。
そのことについて質問したかったが、男であるミストには星奈の気持ちはわからないと思い止めた。
仕事を中断することについてミストの妻はどう考えたのだろうか。
子供が欲しい気持ちが強いのなら、仕事を中断しても、辞めても
構わないのかもしれない。
しかし星奈は仕事の楽しさと責任感とやりがいで充実しており、
身近な園児と接する機会が多いためか、自分の子供が欲しいと思ったことはなかった。
月姫の子供を産みたいと言う感覚も、芽生えていない。
今までで一番充実感を感じている若い星奈にとって、環境と状況の変化は不安でしかないのだ。
ただ月姫を失うことは、今までで一番つらい気持ちになるだろう。
最初からないものを欲しがることはなかった。
自分が誰かの一番の想い人になることはないと、諦めていたせいだろうか。
しかし今は違う。
星奈にとって月姫が一番の想い人で、月姫にとっても星奈が一番の想い人だ。
この均衡が子供が出来たときに破られることがまた、怖かった。
☆乙女☆:子供が出来たらやっぱ子供一番なの?
ミスト:いあw俺は嫁が一番だよww
☆乙女☆:そっかwごちそうさまwww
(私は姫がずっと一番にできるのかな)
母の奈保子は、父の伸二よりも息子の修一を優先してきていたように、星奈には見えた。
心の中までは見えないがそう思ってきた。
☆乙女☆:奥さんもそう?
ちょっと突っ込んだ質問をしてしまったと、チャットを打ち込んでからためらってしまったが、ミストの正直でロマンチックな言葉に、星奈は安堵した。
ミスト:小さいときは子供が一番でもしょうがないけどw
最終的には俺が一番だよw
ローディング画面が流れ、☆乙女☆が登場する。
☆乙女☆:こん
ミスト:hi
☆乙女☆:ミストさん久しぶり珍しいね
ミスト:久々に嫁とpkしようかとw
☆乙女☆:ラブラブだねww
このオンラインゲームも始めてから十七年経過した。
もう知っているプレイヤーは手のひらで数えるほどで、ミストも月姫も引退はしていないが
月に二、三回週末の戦争で敵国と戦う程度のプレイになっている。
ほとんどやりつくした感じもあるが、星奈は月姫とのコミュニケーションをとるツールにも使っていた。
メールやラインよりも、キャラクターを操作しながらチャットをする方が、二人にとって自然で身近に感じるからだ。
今日はまだ月姫はきていない。
戦争開始まで一五分ある。
星奈は思い切ってミストに相談することにした。
☆乙女☆:ミストさん、ちょっと聞いてもいい?
ミスト:いいお
☆乙女☆:あのさ、男の人ってどういうときに結婚したくなるのかな
ミスト:そうだねー経済力とか自信がついたときかな
☆乙女☆:そうなんだミストさんもそうだった?
ミスト:俺は収入上げようと思って転職考えてプロポーズしたら断られたwww
☆乙女☆:えwwww
ミストは現実世界ではやりがいのある職業についていたが、収入が低く、
恋人との結婚を考えたときに、もっと経済的に豊かでありたいと考え、転職しようとした。
しかしミストの恋人はそれを良しとはしなかった。
自分のために、やりたくない仕事をしてもらってまで、結婚をしたいとは思わなかったらしい。
二人は一度別れたが再び結ばれる。
今ではつつましく愛し合う生活を送っているようだ。
星奈は先週月姫と会ったときにプロポーズをされたが、
はっきりではないものの、うやむやな断り方をした。
星奈は仕事で責任のあるポジションに立ったばかりで、結婚など考えられなかった。
☆乙女☆:プロポーズ断るともう二人は終わるものなのかなあ
ミスト:大丈夫じゃないかな姫は
(え!?)
星奈は月姫と付き合っていることは、誰にも話したことがなかったので驚いた。
☆乙女☆:何で知ってるの?
ミスト:なんとなくw
☆乙女☆:姫には言わないで
ミスト:いわないよw
ミストは出会った当初から比べると、明るく開放的になっている。
大人っぽく物静かな様子だったが、結婚をした後からなんだか変化を感じた。
☆乙女☆:子供何歳になったっけ
ミスト:6歳やっと消防になるよw
☆乙女☆:おっきくなったねえ
ミスト:甘えん坊でこまるw
女には結婚のあと、出産と育児が待ってる。
そのことについて質問したかったが、男であるミストには星奈の気持ちはわからないと思い止めた。
仕事を中断することについてミストの妻はどう考えたのだろうか。
子供が欲しい気持ちが強いのなら、仕事を中断しても、辞めても
構わないのかもしれない。
しかし星奈は仕事の楽しさと責任感とやりがいで充実しており、
身近な園児と接する機会が多いためか、自分の子供が欲しいと思ったことはなかった。
月姫の子供を産みたいと言う感覚も、芽生えていない。
今までで一番充実感を感じている若い星奈にとって、環境と状況の変化は不安でしかないのだ。
ただ月姫を失うことは、今までで一番つらい気持ちになるだろう。
最初からないものを欲しがることはなかった。
自分が誰かの一番の想い人になることはないと、諦めていたせいだろうか。
しかし今は違う。
星奈にとって月姫が一番の想い人で、月姫にとっても星奈が一番の想い人だ。
この均衡が子供が出来たときに破られることがまた、怖かった。
☆乙女☆:子供が出来たらやっぱ子供一番なの?
ミスト:いあw俺は嫁が一番だよww
☆乙女☆:そっかwごちそうさまwww
(私は姫がずっと一番にできるのかな)
母の奈保子は、父の伸二よりも息子の修一を優先してきていたように、星奈には見えた。
心の中までは見えないがそう思ってきた。
☆乙女☆:奥さんもそう?
ちょっと突っ込んだ質問をしてしまったと、チャットを打ち込んでからためらってしまったが、ミストの正直でロマンチックな言葉に、星奈は安堵した。
ミスト:小さいときは子供が一番でもしょうがないけどw
最終的には俺が一番だよw
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