流行りの異世界転生が出来ると思ったのにチートするにはポイントが高すぎる
5
「銀月様……。この願いはどれくらいポイントが必要でしょうか」
「どのような願いだ」
「あなたの子供を産んで育てること……。異世界で」
じぃっと凝視し覗き込むように銀月様は私の顔を見る。
「酔狂な願いだな」
「本気です!」
「まずポイントについて教えてやろう」
ポイントとは『徳』を積んだ時につくものでそれが願望に交換できるが現実の願いにはそれほど多くのポイントは消費しないみたい。出世したいとかはっきり叶うというよりも、チャンスが与えられるということなので実際は本人の努力と行動によって叶っているみたい。
私の最初の望みのように異世界に~ということを叶えるには相当のポイントが必要で、転生より転移の方がポイント消費が激しいらしい。
普通の人は死ぬまでに貯まったポイントで天国とか地獄とか選んだりするみたい。昔の聖人がどっか行って、またその姿で奇跡を起こしたりするのもポイント交換によるものだけど、その高等クラスの人たちはポイントがも貯まりに貯まっているようだ。そりゃあ信仰の対象になるくらいの『徳』をもつとそうなるのだろうなあ。
「で、どれくらいでしょう」
「10万だ」
「じゅっ! 10万……」
この前、NPC系異世界つまり私以外は設定済みの転生は1200だったけど、今度は希望が大きすぎるのか。1000を超えると上がりにくいポイントを10万だなんて。
「それだけあればお前の願いは全て叶うだろう」
「全て叶う……」
どれぐらいかかるんだろう。今、一年間で使わなかったら5000から6000くらい溜まってる。
「20年くらい……」
戸惑い考え込む私を銀月様は優しく見つめ、髪を撫で囁く。
「難しく考えずともよい。もう休むがよかろう」
「はい……」
指先から催眠剤でも出ているのだろうか。ゆっくり優しく撫でられていると目の前がだんだんと白く濁っていき深い眠りについていた。
また1000ポイント貯まっただろう二か月が過ぎ、銀月様に会いに行く。今日は一大決心を告げに行くのだ。
いつもより気合を入れた柏手を打つとぱっと周りが光り、銀色の月のように輝く銀月様が現れる。
「いつもの願いか」
「い、いえ……」
「違うのか」
「私、私、10万ポイント貯めます! それまで、ここにはきません!――来ると、ポイント使っちゃうだろうから……」
「そうか」
「あの、ずっとここに居てくれます?」
「うむ。ここを動くことはないだろう」
「よかったあー」
ポイント貯めて彼がいないんじゃあ意味ないよね。ほっとしていると銀月様がスッと目の間に近づく。
「あ、あの……」
「ポイントの端数がある」
「んっ」
唇が重ねられる。ああ、やっぱり頑張ってポイント貯める!もう彼しか愛せないもの。
うっとりと腰が砕けそうになる前に銀月様はそっと身を引き「待っておる」と耳元で囁き、消えた。
「銀月様……」
私、やり遂げます。待ってください。もう一度強く目を閉じ祈ってから神社を後にした。
「どのような願いだ」
「あなたの子供を産んで育てること……。異世界で」
じぃっと凝視し覗き込むように銀月様は私の顔を見る。
「酔狂な願いだな」
「本気です!」
「まずポイントについて教えてやろう」
ポイントとは『徳』を積んだ時につくものでそれが願望に交換できるが現実の願いにはそれほど多くのポイントは消費しないみたい。出世したいとかはっきり叶うというよりも、チャンスが与えられるということなので実際は本人の努力と行動によって叶っているみたい。
私の最初の望みのように異世界に~ということを叶えるには相当のポイントが必要で、転生より転移の方がポイント消費が激しいらしい。
普通の人は死ぬまでに貯まったポイントで天国とか地獄とか選んだりするみたい。昔の聖人がどっか行って、またその姿で奇跡を起こしたりするのもポイント交換によるものだけど、その高等クラスの人たちはポイントがも貯まりに貯まっているようだ。そりゃあ信仰の対象になるくらいの『徳』をもつとそうなるのだろうなあ。
「で、どれくらいでしょう」
「10万だ」
「じゅっ! 10万……」
この前、NPC系異世界つまり私以外は設定済みの転生は1200だったけど、今度は希望が大きすぎるのか。1000を超えると上がりにくいポイントを10万だなんて。
「それだけあればお前の願いは全て叶うだろう」
「全て叶う……」
どれぐらいかかるんだろう。今、一年間で使わなかったら5000から6000くらい溜まってる。
「20年くらい……」
戸惑い考え込む私を銀月様は優しく見つめ、髪を撫で囁く。
「難しく考えずともよい。もう休むがよかろう」
「はい……」
指先から催眠剤でも出ているのだろうか。ゆっくり優しく撫でられていると目の前がだんだんと白く濁っていき深い眠りについていた。
また1000ポイント貯まっただろう二か月が過ぎ、銀月様に会いに行く。今日は一大決心を告げに行くのだ。
いつもより気合を入れた柏手を打つとぱっと周りが光り、銀色の月のように輝く銀月様が現れる。
「いつもの願いか」
「い、いえ……」
「違うのか」
「私、私、10万ポイント貯めます! それまで、ここにはきません!――来ると、ポイント使っちゃうだろうから……」
「そうか」
「あの、ずっとここに居てくれます?」
「うむ。ここを動くことはないだろう」
「よかったあー」
ポイント貯めて彼がいないんじゃあ意味ないよね。ほっとしていると銀月様がスッと目の間に近づく。
「あ、あの……」
「ポイントの端数がある」
「んっ」
唇が重ねられる。ああ、やっぱり頑張ってポイント貯める!もう彼しか愛せないもの。
うっとりと腰が砕けそうになる前に銀月様はそっと身を引き「待っておる」と耳元で囁き、消えた。
「銀月様……」
私、やり遂げます。待ってください。もう一度強く目を閉じ祈ってから神社を後にした。
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