太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜
66,洞窟内探検⑪
「まあ、分からなくはないけどさ。でもパーンクァフルが人化して街に連れてってあげればいいんじゃない?」
タマでも出来るのだ。
【王種】に出来ない道理はない。
はずだったのだが、
(私が人化ぁ? 冗談じゃないよ。【王種】がなんで人間なんかの姿をとらなければならないんだい。それに私だって忙しいんだ。毎回連れてくなんて無理だね。)
かわいそーに……
なら仕方ない、かぁ。
「それにしてもこんな幼い子を捨てるなんて酷い親だな」
(分からないよ。理由があったのかもしれないしね。ま、だいたい予想はついているんだが。)
「ん? それは?」
(この子の種族だよ。それなのにこんな真っ白な肌と髪をしてるしね。)
「……種族?」
(気づいてなかったのかい! この子は悪魔族だよ。)
悪魔族……!
精霊族の劣血種の一つ。
でも特徴ってたしか……
「羽……ないよね?」
(そうだねぇ。それも捨てられた理由なんだろうね。忌み子だ!ってさ。そんなはずないだろうに。褐色の肌を基本としている悪魔族に突然、真っ白な肌と髪を持つ子が産まれたらねぇ。普通は黒い羽もあるはずなんだけど、それも無し。目も金色とは違って赤色。気味悪がるのは分かるけどねぇ。)
パーンクァフルは本当に彼女を憐れんでいるようだった。
「そう言えば、いい出来だろって言ったのはなんだったの?」
(あ、あれかい? あれはその場のノリというかなんというか、ね?)
……なんだ。
でもまあ、これで僕から聞くことはもうない、かな。
「分かった。引き受けるよ」
(そうかい、そりゃ助かるね。)
「……【王種】……俺からもいいか」
(ほう、お前は……興味深いね。なんだい?)
そう言うパーンクァフルだが、視線だけしか動かさない。本当に興味を持っているのか疑問だ。
「……俺は生きる目的を探している……だからまず俺の種族……吸血鬼族について教えて欲しい……」
パーンクァフルすぐには答えない。
じっくりとルドルフを観察している。
(吸血鬼ぃ? お前は本当に自分のことを吸血鬼だ思ってるのかい?)
「……どういうことだ?」
え、ルドルフって吸血鬼じゃないの!?
(お前は吸血鬼なんてものじゃないよ。吸血鬼ってのは竜が創った、ほぼ完成系と言える者たちさ。なんてったって、エネルギーの変換効率がほかの人種とは比べ物にならないくらい良いからね。いや、良すぎるくらいか。吸血鬼はその効率の良さからどんな傷もほとんどすぐに治っちまうし、致命傷だって数日もありゃ完治しちまう。だが、欠点として太陽の光……巨大なエネルギーを吸収しちまうと器が耐えきれなくなるんだ。だから吸血鬼は太陽の光に弱いのさ。)
吸血鬼じゃないらしい!
そして不死の吸血鬼が太陽の光で死んでしまう理由がわかった。
エネルギーの変換効率がいい、か。でも、逆に言えばもう少し抑えれば本当に完璧な生物になるのか。すごいな。
確かにルドルフ、さっき昼間なのに出歩いてたよね。ん、じゃあルドルフの種族は?
(お前の種族は……よく分からないね。黒亀にでも聞いてみな。どうせ会うんだろう?)
パーンクァフルが僕に聞いてきた。
そうだね、全ての【王種】と会う予定だし。
「僕はね。でもルドルフは」
「……行く」
「え?」
「……黒亀に聞けばなにかヒントが得られるんだろ?」
(ああ、不動の大賢者の名は伊達じゃないよ。この世で神の次に、世界の理の深淵に精通しているのは間違いなくあの黒亀だ。鳥も蛇も相当だが、あいつ程ではないね。)
「……なら行かないはずがない」
僕としてもありがた……いな。
初めは戦闘狂だと思って(というか事実なのだが)色々あったけど、もう秘密だいたいバラしちゃったし。寧ろ、秘密を知っている分近くにいてもらった方がいい。
ついでに戦力面でも頼りになる。
「じゃあ改めて、よろしく!」
「…………ああ」
「あ、あの」
セルジュさん!
ごめんなさい……気づかなかった。
まさか気配を消して!?
す、凄い……流石勇者だ。
「生き返らしてくれるって……本当ですか?」
パーンクァフル……もとい蜘蛛に若干トラウマを覚えてしまったようなセルジュさん。
その原因たる仲間の死、だが復活させる予定だったとのこと。これもちゃんと話してたんだ。
(ちっ、覚えてたかい。忘れてれば私の可愛い子供たちに食わせてあげたんだけどね。)
唐突に怖いな。
でも約束を守る気はあるみたい。
(勇者、今回は悪かったね。これを確かめるのに必要だったんだ。ちなみにその剣だが、私の糸を元に作ってあるんだよ。)
おいこら!
これってなんだ! これって!!
「この剣が……あなたの」
(そうさ。で、渡したかったモノなんだが……)
パーンクァフルがまた触手で箱を運んでくる。
けど、僕の時より大きいから同じものではなさそうだ。
ちょっと気になる。
セルジュさんが箱を受け取り中を確認する。
さあ、なにが!?
「あの、なにも入ってないんですが……?」
え?
なにも入って……ない?
どーゆーこと?
(勇者であるお前を今後絶対に助けるモノ。それは『勇気』だ!)
キラン、という効果音がつくのではと思うほどキメ顔?をする【王種】。
は?、という目線を自分の眷属たち含め、四方八方から向けられる【王種】。
(……冗談だよ。最近の勇者達はノリが悪いねぇ。)
「いやいやいや」
(実際のところは、ほらよく見てみな? ちゃんといるだろ?)
いる? ある、じゃなくて?
「きゅ〜!!」
タマでも出来るのだ。
【王種】に出来ない道理はない。
はずだったのだが、
(私が人化ぁ? 冗談じゃないよ。【王種】がなんで人間なんかの姿をとらなければならないんだい。それに私だって忙しいんだ。毎回連れてくなんて無理だね。)
かわいそーに……
なら仕方ない、かぁ。
「それにしてもこんな幼い子を捨てるなんて酷い親だな」
(分からないよ。理由があったのかもしれないしね。ま、だいたい予想はついているんだが。)
「ん? それは?」
(この子の種族だよ。それなのにこんな真っ白な肌と髪をしてるしね。)
「……種族?」
(気づいてなかったのかい! この子は悪魔族だよ。)
悪魔族……!
精霊族の劣血種の一つ。
でも特徴ってたしか……
「羽……ないよね?」
(そうだねぇ。それも捨てられた理由なんだろうね。忌み子だ!ってさ。そんなはずないだろうに。褐色の肌を基本としている悪魔族に突然、真っ白な肌と髪を持つ子が産まれたらねぇ。普通は黒い羽もあるはずなんだけど、それも無し。目も金色とは違って赤色。気味悪がるのは分かるけどねぇ。)
パーンクァフルは本当に彼女を憐れんでいるようだった。
「そう言えば、いい出来だろって言ったのはなんだったの?」
(あ、あれかい? あれはその場のノリというかなんというか、ね?)
……なんだ。
でもまあ、これで僕から聞くことはもうない、かな。
「分かった。引き受けるよ」
(そうかい、そりゃ助かるね。)
「……【王種】……俺からもいいか」
(ほう、お前は……興味深いね。なんだい?)
そう言うパーンクァフルだが、視線だけしか動かさない。本当に興味を持っているのか疑問だ。
「……俺は生きる目的を探している……だからまず俺の種族……吸血鬼族について教えて欲しい……」
パーンクァフルすぐには答えない。
じっくりとルドルフを観察している。
(吸血鬼ぃ? お前は本当に自分のことを吸血鬼だ思ってるのかい?)
「……どういうことだ?」
え、ルドルフって吸血鬼じゃないの!?
(お前は吸血鬼なんてものじゃないよ。吸血鬼ってのは竜が創った、ほぼ完成系と言える者たちさ。なんてったって、エネルギーの変換効率がほかの人種とは比べ物にならないくらい良いからね。いや、良すぎるくらいか。吸血鬼はその効率の良さからどんな傷もほとんどすぐに治っちまうし、致命傷だって数日もありゃ完治しちまう。だが、欠点として太陽の光……巨大なエネルギーを吸収しちまうと器が耐えきれなくなるんだ。だから吸血鬼は太陽の光に弱いのさ。)
吸血鬼じゃないらしい!
そして不死の吸血鬼が太陽の光で死んでしまう理由がわかった。
エネルギーの変換効率がいい、か。でも、逆に言えばもう少し抑えれば本当に完璧な生物になるのか。すごいな。
確かにルドルフ、さっき昼間なのに出歩いてたよね。ん、じゃあルドルフの種族は?
(お前の種族は……よく分からないね。黒亀にでも聞いてみな。どうせ会うんだろう?)
パーンクァフルが僕に聞いてきた。
そうだね、全ての【王種】と会う予定だし。
「僕はね。でもルドルフは」
「……行く」
「え?」
「……黒亀に聞けばなにかヒントが得られるんだろ?」
(ああ、不動の大賢者の名は伊達じゃないよ。この世で神の次に、世界の理の深淵に精通しているのは間違いなくあの黒亀だ。鳥も蛇も相当だが、あいつ程ではないね。)
「……なら行かないはずがない」
僕としてもありがた……いな。
初めは戦闘狂だと思って(というか事実なのだが)色々あったけど、もう秘密だいたいバラしちゃったし。寧ろ、秘密を知っている分近くにいてもらった方がいい。
ついでに戦力面でも頼りになる。
「じゃあ改めて、よろしく!」
「…………ああ」
「あ、あの」
セルジュさん!
ごめんなさい……気づかなかった。
まさか気配を消して!?
す、凄い……流石勇者だ。
「生き返らしてくれるって……本当ですか?」
パーンクァフル……もとい蜘蛛に若干トラウマを覚えてしまったようなセルジュさん。
その原因たる仲間の死、だが復活させる予定だったとのこと。これもちゃんと話してたんだ。
(ちっ、覚えてたかい。忘れてれば私の可愛い子供たちに食わせてあげたんだけどね。)
唐突に怖いな。
でも約束を守る気はあるみたい。
(勇者、今回は悪かったね。これを確かめるのに必要だったんだ。ちなみにその剣だが、私の糸を元に作ってあるんだよ。)
おいこら!
これってなんだ! これって!!
「この剣が……あなたの」
(そうさ。で、渡したかったモノなんだが……)
パーンクァフルがまた触手で箱を運んでくる。
けど、僕の時より大きいから同じものではなさそうだ。
ちょっと気になる。
セルジュさんが箱を受け取り中を確認する。
さあ、なにが!?
「あの、なにも入ってないんですが……?」
え?
なにも入って……ない?
どーゆーこと?
(勇者であるお前を今後絶対に助けるモノ。それは『勇気』だ!)
キラン、という効果音がつくのではと思うほどキメ顔?をする【王種】。
は?、という目線を自分の眷属たち含め、四方八方から向けられる【王種】。
(……冗談だよ。最近の勇者達はノリが悪いねぇ。)
「いやいやいや」
(実際のところは、ほらよく見てみな? ちゃんといるだろ?)
いる? ある、じゃなくて?
「きゅ〜!!」
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