太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜
15,修行④ 現代魔法のお勉強
✧✧ハーカバ(第四層目)✧✧
太陽が、白銀の雪におおわれた地面をギラギラと照らしている。
モサッ モサッ モサッ
そこを歩くものが複数名、旅の一行だろうか?
否、甲冑に身を包み、紋章を胸に象っているそのことから、彼らがどこかの国の騎士団である事が分かる。
銀の鎧を着た騎士が3人と、黄金の鎧を着た騎士が2人のみ。
「ドロフィンさーん。まだっすかー?」
その中の1人が、黄金の騎士に声をかけた。口調からするにどうやら黄金の騎士の方が位が高いようだ。
「ん? そうだなぁ。多分もうすぐだぞ」
彼は気さくに返事をする。そして、続けて言う。
「あぁでも、こいつを倒してからだな」
彼がそう言うと、突如、彼らに大きな影がかかった。
彼らはそちらに顔を向け、見上げる。
その影の正体は、
「ブ、ブラドュルフル!?
「な、なんでこんなとこに!?」
「で、でっけー!」
「……だる」
「言ったじゃねーか。ここには滅多に出ない危険度5以上の魔物が、頻繁に出るってなぁ」
ブラドュルフル。危険度5の狼型魔物であり、ウルフルの大群を統率する頭である。体長は20m強で、成人男性を丸呑みにしてしまうほどだ。
「ま、勝てない相手じゃないんだ。とっととやるぞ」
「「「う、うーす」」」
「はいはい」
周りから1000近い数のウルフルが顔を出した。
「アゥォォォォォォオン!!!」
「「「「「アゥォォォン!!」」」」」
遠吠えを上げ、一斉に騎士達に飛びかかる。が、
「ふんっ!」
「あらよっと!」
「はっ!」
「……」
「はぁぁぁあ!」
彼らがひとつ薙ぎ払うだけで、次から次にウルフルが倒れていく。
そして……
「で、お前が最後だな?」
「ク、クゥゥゥン……」
ズサッ
戦闘開始からおよそ30分、騎士達は誰一人無傷のまま、討伐を完了させた。
───────────────────
青空の下、今日も先生と修行だ。
この前の実践からまた時間が空いて、今日は新しいことをやるらしい。
そして先生は今日もキラキラと輝いてる。……物理的に。
(それでは今日は現代魔法の方をやっていきましょう。)
「はい先生!」
(何故先生と呼ばれているのかわかりませんが、はいアレン様なんでしょう。)
「何故現代魔法なのでしょう? 古代語が使えれば良くないですか?」
(確かに勝利などを第一に置いた場合はそれで正解です。)
「では何故?」
(前、アレン様に伝えましたように、古代語はあまりに危険なものなので、広めさせたくないのです。ですから、もしアレン様が一般の方と戦うことが起きた場合にも古代語を使って欲しくないのです。)
「なるほど、その場合に対応できるように覚えるのですね!」
(その通りです。最も、危険を感じたならばやむを得ないので使用は許可しますが。)
「分かりました。では、どういった練習なのでしょうか?」
(今日はやけに熱心ですね。そうですね、今までと特に変化はありません。ただ、魔法猫の彼に殆どを教えられているので、殆どが実践形式です。)
「……あう」
聞かない方が良かったかも……
逃げていいかね?
タマもいないし。
いいよね?
じゃ! またな!
(行かせると思いますか?)
いや冗談だって!
だから威圧するなって!
ルビアスも今狩りの最中でいないからまぁまぁ怖いんだって。
(実践は明日からとして、今日のところは普通のお勉強です。)
「ほぅ」
(まず、アレン様のもつ魔力や聖気はルビアス様から借用したものが9割以上を占めています。)
だからその話やめてくれ。
傷つくんだって……
(竜の魔力や聖気は他生物とは量も質も段違いに高いです。そのため、アレン様は初歩の魔法や聖術を使ったとしても、とんでもない威力になる事が予想されます。)
「ん? それはー、いい事なのか?」
いい事の方が良いなー。
当たり前だけど。
(いい事でもあり悪いことでもあります。)
「というと?」
(初歩のもので大抵のことが片付けられるため、力は節約できます。これが第一にいいことです。)
「悪いのは?」
(単純に目立ちます。)
「悪い、のか?」
目立つ、もっと危ないのだと思った。
(ええ悪いです。輩に目をつけられたら面倒臭いですし、ルビアス様の正体がバレます。)
確かに面倒くさそう。
でも、
「ルビアスってバレたらいけないのか?」
(いけない、わけでもありませんが色々と厄介事が増えると思いますよ?)
「なるほど。確かにな。」
─なんか私の悪い噂してない?─
ビクッ
してないしてない。
─ほんと?─
うん、ほんとだって。
─そう、ならいいけど─
……ふぅ。
(どうしました?)
「いや、なんでもない」
悪い噂……ではないよな?
うん、違う。
なら問題無し!
(そうですか。まぁそういうことなので、アレン様にこれからやっていく修行は、)
はい。
(魔力操作、聖気操作を高めるものです。)
ほう。
いいじゃないか。
(魔力操作が高まれば、魔法の威力などを調整出来ますし、発動が素早くなります。聖気操作も同様です。)
ふむふむ。
(そして方法なのですが、これがいたってシンプル。)
「おぉ!」
(魔法や聖術を連発してください。)
「おぉ?」
連発するの? いいのかな?
(問題はありません。そんな魔法や聖術の何百回で、壊れるほどこの山は弱くありません。)
いや、まぁそりゃな。
……生態系壊れない?
(もうとっくに、ルビアス様によって崩れているので手遅れです。)
「……」
おい、ルビアス?
─なに?─
こっちの台詞だぞ?
何やってるのかね君!?
─別に、ただの修行─
いや違う!
君がやっているのは単なるいじめだ!
─はぁ、分かった。少し頻度減らす─
うむ、それでよろしい。
(……ルビアス様になにか?)
「いや、生態系を守るように言い聞かせただけ。」
(別にいいですのに。)
「良くないだろ」
(本当に危ういなら私がなんとかしますよ。)
「……マジか、【王種】って凄いな」
(それに、どうせ滅びるのなら変わりありませんし…)
とても小さくルイフが何かを言った気がした。
「ん? なんか言ったか?」
(いえ、なにも。始めましょうか。)
「そうだな。時間は有限だし。」
(アレン様の場合はほぼ無限ですけどね?)
「わからんぞー? もしかしたらも有り得る。」
(……そうですね。まぁ早くやるのに越したことはありません。)
「おう。それで、何すればいいんだっけ?」
(はぁ。)
太陽が、白銀の雪におおわれた地面をギラギラと照らしている。
モサッ モサッ モサッ
そこを歩くものが複数名、旅の一行だろうか?
否、甲冑に身を包み、紋章を胸に象っているそのことから、彼らがどこかの国の騎士団である事が分かる。
銀の鎧を着た騎士が3人と、黄金の鎧を着た騎士が2人のみ。
「ドロフィンさーん。まだっすかー?」
その中の1人が、黄金の騎士に声をかけた。口調からするにどうやら黄金の騎士の方が位が高いようだ。
「ん? そうだなぁ。多分もうすぐだぞ」
彼は気さくに返事をする。そして、続けて言う。
「あぁでも、こいつを倒してからだな」
彼がそう言うと、突如、彼らに大きな影がかかった。
彼らはそちらに顔を向け、見上げる。
その影の正体は、
「ブ、ブラドュルフル!?
「な、なんでこんなとこに!?」
「で、でっけー!」
「……だる」
「言ったじゃねーか。ここには滅多に出ない危険度5以上の魔物が、頻繁に出るってなぁ」
ブラドュルフル。危険度5の狼型魔物であり、ウルフルの大群を統率する頭である。体長は20m強で、成人男性を丸呑みにしてしまうほどだ。
「ま、勝てない相手じゃないんだ。とっととやるぞ」
「「「う、うーす」」」
「はいはい」
周りから1000近い数のウルフルが顔を出した。
「アゥォォォォォォオン!!!」
「「「「「アゥォォォン!!」」」」」
遠吠えを上げ、一斉に騎士達に飛びかかる。が、
「ふんっ!」
「あらよっと!」
「はっ!」
「……」
「はぁぁぁあ!」
彼らがひとつ薙ぎ払うだけで、次から次にウルフルが倒れていく。
そして……
「で、お前が最後だな?」
「ク、クゥゥゥン……」
ズサッ
戦闘開始からおよそ30分、騎士達は誰一人無傷のまま、討伐を完了させた。
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青空の下、今日も先生と修行だ。
この前の実践からまた時間が空いて、今日は新しいことをやるらしい。
そして先生は今日もキラキラと輝いてる。……物理的に。
(それでは今日は現代魔法の方をやっていきましょう。)
「はい先生!」
(何故先生と呼ばれているのかわかりませんが、はいアレン様なんでしょう。)
「何故現代魔法なのでしょう? 古代語が使えれば良くないですか?」
(確かに勝利などを第一に置いた場合はそれで正解です。)
「では何故?」
(前、アレン様に伝えましたように、古代語はあまりに危険なものなので、広めさせたくないのです。ですから、もしアレン様が一般の方と戦うことが起きた場合にも古代語を使って欲しくないのです。)
「なるほど、その場合に対応できるように覚えるのですね!」
(その通りです。最も、危険を感じたならばやむを得ないので使用は許可しますが。)
「分かりました。では、どういった練習なのでしょうか?」
(今日はやけに熱心ですね。そうですね、今までと特に変化はありません。ただ、魔法猫の彼に殆どを教えられているので、殆どが実践形式です。)
「……あう」
聞かない方が良かったかも……
逃げていいかね?
タマもいないし。
いいよね?
じゃ! またな!
(行かせると思いますか?)
いや冗談だって!
だから威圧するなって!
ルビアスも今狩りの最中でいないからまぁまぁ怖いんだって。
(実践は明日からとして、今日のところは普通のお勉強です。)
「ほぅ」
(まず、アレン様のもつ魔力や聖気はルビアス様から借用したものが9割以上を占めています。)
だからその話やめてくれ。
傷つくんだって……
(竜の魔力や聖気は他生物とは量も質も段違いに高いです。そのため、アレン様は初歩の魔法や聖術を使ったとしても、とんでもない威力になる事が予想されます。)
「ん? それはー、いい事なのか?」
いい事の方が良いなー。
当たり前だけど。
(いい事でもあり悪いことでもあります。)
「というと?」
(初歩のもので大抵のことが片付けられるため、力は節約できます。これが第一にいいことです。)
「悪いのは?」
(単純に目立ちます。)
「悪い、のか?」
目立つ、もっと危ないのだと思った。
(ええ悪いです。輩に目をつけられたら面倒臭いですし、ルビアス様の正体がバレます。)
確かに面倒くさそう。
でも、
「ルビアスってバレたらいけないのか?」
(いけない、わけでもありませんが色々と厄介事が増えると思いますよ?)
「なるほど。確かにな。」
─なんか私の悪い噂してない?─
ビクッ
してないしてない。
─ほんと?─
うん、ほんとだって。
─そう、ならいいけど─
……ふぅ。
(どうしました?)
「いや、なんでもない」
悪い噂……ではないよな?
うん、違う。
なら問題無し!
(そうですか。まぁそういうことなので、アレン様にこれからやっていく修行は、)
はい。
(魔力操作、聖気操作を高めるものです。)
ほう。
いいじゃないか。
(魔力操作が高まれば、魔法の威力などを調整出来ますし、発動が素早くなります。聖気操作も同様です。)
ふむふむ。
(そして方法なのですが、これがいたってシンプル。)
「おぉ!」
(魔法や聖術を連発してください。)
「おぉ?」
連発するの? いいのかな?
(問題はありません。そんな魔法や聖術の何百回で、壊れるほどこの山は弱くありません。)
いや、まぁそりゃな。
……生態系壊れない?
(もうとっくに、ルビアス様によって崩れているので手遅れです。)
「……」
おい、ルビアス?
─なに?─
こっちの台詞だぞ?
何やってるのかね君!?
─別に、ただの修行─
いや違う!
君がやっているのは単なるいじめだ!
─はぁ、分かった。少し頻度減らす─
うむ、それでよろしい。
(……ルビアス様になにか?)
「いや、生態系を守るように言い聞かせただけ。」
(別にいいですのに。)
「良くないだろ」
(本当に危ういなら私がなんとかしますよ。)
「……マジか、【王種】って凄いな」
(それに、どうせ滅びるのなら変わりありませんし…)
とても小さくルイフが何かを言った気がした。
「ん? なんか言ったか?」
(いえ、なにも。始めましょうか。)
「そうだな。時間は有限だし。」
(アレン様の場合はほぼ無限ですけどね?)
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