俺をとりまく彼女らからの愛が深すぎる

ろりお

第6話 下校と対面

「九路瀬様ぁ〜!!」

花憐が何故か俺の学校の校門の前で待っている。
良いとこの私立校なんだろうなぁ、と思わず思わせる制服、革の鞄、その立ち方。
足先から頭の先端に至るまで、純度100%のお嬢様、宇都宮花憐。
その花憐が今、俺の学校の校門の前で立っている(2度目)。

なぜ。なぜ!

他校の生徒がいる。それだけでも周囲の注目は凄いものだ。
加えて花憐はあの星ノ村女学園の生徒であの容姿と来た。
周りの注目を集めない訳がなかった。

そしてその好奇の目は俺にも向けられることとなる。
そりゃそうだ、この少女は俺を、坂倉九路瀬を呼んでいるのだから。
…しかも「九路瀬様ぁ〜」って。
いや違う。断じて違う!俺と花憐はみんなが想像しているような変な関係ではない!!
…まぁ、今の花憐との関係を説明することもできないが。

「おかえりなさいませ。九路瀬様」

「お、おぉ。花憐」

「お勤めご苦労様です!」

「あ、うん、そっちもね。…なんでここを?」

「昨日、九路瀬様のお母様にお尋ねいたしました!それで、インターネットで検索し、場所を調べ、やってまいりました!」

そこまでするか…。だがおかしい。

「お、俺は例の駅前集合って言っていたよね?」

「はい。それに関しましては申し訳ございません。ですが、実際私が九路瀬様の学校を調べてみると、あの駅は私に遥かに近いではありませんか。九路瀬様、私にそこまで気を使っていただか無くてもいいのですよ?」

「いや、でも…」

約束は守れよ、とほほ。

「私、昨日からずっと九路瀬様のことを考えておりました。そして今日も会えるのかと思うといてもたってもいられずに…。ご迷惑、でしたか?」

と、うるうるさせた瞳で、上目遣いで尋ねる花憐。

っ〜!それはずるいだろ!
そんな目をされたら俺迷惑だって言えないじゃんか!
それに…

実際少し嬉しいという気持ちはあるのだ。
だから花憐を否定しきれない自分がいた。
…まったく。

「め、迷惑とかじゃ、ないよ。全然。でも約束は守ってね」

「はぁ〜///」

どうしたのだろうか。花憐はめちゃくちゃ蕩けた顔をしている。
ん。なんだこの表情。なんでこんな顔する?
俺変なこと言ってないよな。

いや本当になんなんだこの表情。
昨日のお見合いの時の、その、照れた顔とはまた違う。
なんとも男心をくすぐる顔をしてくる…。

「あ、あの」

「はわぁ!すみません。ボーッとして。それより行きましょ、九路瀬様?」

「あぅ、そ、その前に!」

「?」

「その九路瀬様っていうのやめてくれないか?」

「…ご迷惑でしたか?」

あぁ〜!だからその顔をや・め・ろ!
なんか変な気分になっちゃうだろうが!

「いや、様を付けたらさ、周りの目が、ね?」

「あっ」

ぷしゅー。
花憐の顔が真っ赤に染まる。

「も、申し訳ございません」

「あっ、うん…」

「…」

「…」

厳しい沈黙。
やばい。俺は何を言えばいいのか…。

だが、そんな沈黙を切り裂く一声が後ろから響いた。

「ちょっとあなた。先ほどから九路瀬様九路瀬様、うちのクロになんのつもりかしら?」

ひなである。
グッドタイミング!でも!きつい、言葉がきつい。

「はぇ?」

ほら、花憐も困惑してる。
だがひなは、そんなこと気に止まる様子もなく続けた。

「ほらクロ、この変な女は放っておいて帰りましょう。それがいいわ。大丈夫、私も一緒に帰ってあげるから」

ひなはまた、虚な目で俺に問いかけた。
否、命令した。

ひなは太陽だ。俺の行く道を無理矢理にでも照らす、大きな大きな太陽。

近づきすぎると焦げてしまう。
俺のひなが嫌いなところはこういうところなんだ。

「は?ちょっと待ってください。何言ってるんですか?あなた」

誰も逆らえないひな。その太陽の光に逆らうもの1つ。

花憐…。

「この変な女って、もしかして私のことですか?私は宇都宮花憐という名があります!それに九路瀬様、さんは本日、私と帰るんです!お勉強を教えてもらうのです!」

「はぁ?なにあなた。なんの権利があってそんなこと…」

「あります!だって私は…」

「九路瀬さんのお嫁になる者なんですから!」

あ、言っちゃった。
みろ、ひな、キョトンとしてるじゃないか。
明らかに動揺してる。
当たり前だ、俺もそうだから。

「ほら!早くいきましょう?九路瀬さん。ほらっ、ほらっ!」

「あっあう」

その後俺は花憐に催促され、言われるがまま花憐に連れて行かれた。

未だ黙り込むひなをその場に残して…。

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お疲れ様です。ろりおです。更新しました。

花憐ちゃんが怖いです。

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