神の使徒、魔王卿となり平和を求む

こにユウ

疑われるらしい

すいません。少しずーつ前の内容を変えていきます。話的には変わりません。


落下している。
 下に下に落ちて行っている。
これは、やられたな。話している間に落とし穴を作られるとは。それに落ちたことも情けないが…

「ナーガ!」

ビーナ先生の焦った声が聞こえる。
だがしかし、問題ない。
「深奥流剣術輝月の型・雷狼疾光らいろうしっこう

この技は雷皇一閃の脚バージョン。雷皇一閃は腕の生体電流を操り、腕力と刀を抜くスピードを上げる技。雷狼疾光は脚の生体電流を操り、脚力を上げる技。刀を抜くスピードは変わらないが走るスピード、ものを蹴る力が飛躍的に上がる。

俺は雷狼疾光を使い、脚力を強化して、一緒に落ちている土の塊を足場にして地上まで駆け上がった。

「ただいまっと」

「お疲…れ。ナー…ガ」

振り返ると、レイは優しく声をかけてくれた。

「よっし。それでは続き、始めましょうか。」

Aクラスの生徒に向き直ると全員信じられないという風に口をあんぐりと開けていた。

「えっと、ナーガくん。一体どうやって落とし穴から?」

聞いてきたのはシルード先生。彼も戻ってくることはないと踏んでいたのだろう。動揺を隠せていない。

「いえ。普通に一緒に落ちた土の塊を足場にして戻ってきただけですよ?」

その言葉で全員が固まった。そんな芸当は人間にはできない。ましてや10歳の子供に出来るなんて誰もわかるわけが無い。

「お前、やはり魔族だな!」

シルード先生はそう言って俺を指さした。
…まさか魔族と疑われるなんて

「魔族だなんてそんな訳ありませんよ。俺は正真正銘ウォーグ家の3男ですよ。」

「その身体能力。魔族でない訳がない!」

なるほど。俺を魔族に仕立て揚げ、この勝負は引き分け。しかしビーナ先生の責任問題とし、地位を剥奪させ自分の側室に迎える。あわよくば、自分の爵位を上げウォーグ家を失墜させる。という所かな。
あくまでも推測だが当たっていればなんと悪知恵の働く…

「どうなんだ!お前は魔族なんだろ!」

「いえ、本当に俺は魔族などでは…」

そこで不意に声が上がった。

「でも、あの身体能力もしかしたら…」

と。

そこからら早かった。
すぐにその不安は伝播し、疑う声、恐れる声色々聞こえだした。

これを好機と思ったんだろう。シルード先生は

「諸君もそう思うだろう!この薄汚い魔族に神の鉄槌を!」


「「「うぉぉぉ!!!」」」

おいおい、これでも俺は神なんだが…

「ちが…う!ナーガ…は、魔…族じゃな…」

「黙れ!薄汚い魔族の同胞が!」

こいつ、レイも巻き込む気だな。
先生とXクラスの方を見ると皆戸惑った表情をしている。いやビーナ先生は焦っているような表情をしているが、何故だ?

「魔族よ!お前をここで倒し、世界に平和を!」

いやいや違うだろ、シルード先生。私利私欲を満たしたいだけだろうに

「ここには、10歳の精鋭の集まりと学園長、更には私がいる!お前の死は確実だァ!!」

「なん…だと?」

「お前を殺したあと、レイエルを火炙りに処し、ウォーグ家と関係者をさらし首にしてやる。安心しろ1人では無いぞ。全員送ってやる。あの世で楽しく過ごすのだな。わははは!!」

「な…に?」

レイを火炙りにするだって?ウォーグ家全員さらし首だと?さらに関係者まで
この男は自分の知り使用のためにここまでするのか。

「全員、魔法掃射準備!魔族に倒された数人は回収するように!」

「「「はい!!!」」」

許せない。

左手に火の魔法を
右手に風の魔法を

2つを集束させ、統合させる。これを一気に
放出…

ガン!!!

硬いものと硬いものがぶつかる音がした。

頭が痛い。その一瞬で魔法がキャンセルされる。
殴られたのは俺か。なら殴ったのは誰だ?

「ナーガ!怒りに囚われるな!君は沸点が低いのだから」

振り返ってみると、ビーナ先生が立っていた。
近くで爆発系の魔法を使ったのだろう
俺はほぼ無傷だがビーナ先生は右腕に火傷を
しているようだった。

それを見て、スっと冷静になった。

「せん…せい」

「そうだ。ナーガ。私は君の先生だ。君が道を誤れば何度でも引き戻そう。なに、この手は気にするな。君を人殺しにしないための名誉の負傷だ。」

目に熱いものが込み上げてきた。前世でもこんな先生には出会わなかった。いや生徒のために片手を潰すなんて先生はそうそういてはいけないのだろうが…

「ありがとう…ござい…ます」

「よし!ならいってこい!殺さない程度に倒してこい!」

「はい!先生!」 

俺はビーナ先生にそう返事し、後ろを振り返った。この会話中攻撃が来ないと思ったらレイが食い止めてくれていたのか。

「レイ、ありがとう」

「気にしない…で」

流石に神様といえど地上に来るためセーブした姿と能力。結界を張り続けていたレイもボロボロだった。

「やっと来ましたね。薄汚い魔族が」

「悪いがすぐに終わらせる。レイとビーナ先生を治療しなければいけないからな。」

「ナーガ、殺さないように」

「ナーガ、死なせない…よう…に」

「分かってる。」

Aクラスと学園長、シルード先生の前に立った。
 
「来なさい。魔族。神の名の元に粛清します」


俺はレイホワイトナイトを前に構えた。

「あぁ、始めよう。俺の・・平和のための闘争を」

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