神の使徒、魔王卿となり平和を求む

こにユウ

知り合い?らしい

戦いが終わり、大罪卿が目を覚ましてから話が進められた。

「決闘の結果をもって、ナーガ・エル・ウォーグを魔王卿の名を与える!」

「はっ!ありがたき幸せ」

国王の宣言に俺は膝をつき頭を垂れた。

「して、魔王卿よ。お主は何を望む?」

「望む?」

望みを叶えてくれるのだろうか?

「そうだ。望みを言ってみろ。できる限り協力しよう。」

「では、まず聞きたいことがございます」

「なんだ?」

「国王陛下。あなたは大罪を7つ全て持つという事がどういう副作用を起こすか分かっておいでですか?」

「あぁ、知っている。大罪卿本人からきいた。」

「そうですか。ちなみに、どのようなものですか?」

「確か、闘争本能が活性化する。精神的に不安定になる。とかだったはずだ。」

やはりそうか。
この国王が大罪を7つ持つということの意味を知らない訳がない。大罪卿がいるから本人に聞けばいいのだから。
ではなぜこの心優しい国王は大罪卿を酷使するのか。
その答えは簡単、大罪卿が嘘を言っているから。確かに闘争本能も上がるし、使用した大罪によっては精神的に不安定になる。だが大事なことが抜けている。

「国王陛下。おそれながら進言します。」

「ん?なんだ。申してみろ。」

「確かに、そのような副作用もあります。しかしこそれより重大な副作用もあるのです。」

「重大な副作用だと?」

国王は驚き、大罪卿を見た。フルフェイスの兜を付けているので表情は見えないが多分目が泳いでいるのだろう。

「はい。その副作用というのは使ったら体が内側から破壊される。寿命を縮める。記憶の欠落などです。」
 
「なんだと!?」

「っ!!!」

国王は声を荒らげ、大罪卿は息を飲んでいる。

「大罪卿、それは本当か?」

「…はい。本当です。私は大罪の能力を戦闘の時には全て使っているのでそのような副作用がでています。現在も記憶が…あれ?」

「どうした?」

「いえ今まで記憶があやふやだった所が鮮明にて…それに体の痛みもない。これは一体…」

「大罪スキルの副作用が消えているのか?」

「そのようです」

「なぜ…」

国王も大罪卿驚いてるな。まぁ俺もまさか出来るとは思ってなかったが…

「さっき、俺が『リフレクション』で治したからですよ。」

「そ、そういえば使っていたな。確か光属性の状態異常回復魔法だったか?」

「はい。俺の場合は、状態異常とスキルによる後遺症なども治せます。」

「お主…」

「はい?」

「もう驚かんわ!」

国王が激昂し、少し置いてから

「んん。それで大罪スキルはどうするつもりだ?」

「私はこの大罪のスキルを取り除く研究をしてきましたが、先日無理という事が分かりました。正確には強奪のスキルを持っている人なら出来ると思うのですが強奪スキル持ちでも大罪のスキルなんて奪いたくない「別にいいぞ」でしょ…へ?」

全員の視線がこちらに集まる。だって声がでたんだから仕方ない。

「ナーガ。それはどういう事だ?」

「俺は強奪スキルを持っている。だから大罪卿のスキルを奪うよ。」

国王はあんぐりと口を開け、大罪卿に関しては固まっている。

「いいのですか?」

そう口を開いたのは大罪卿だ。

「何がだ?」

「私から大罪スキルを奪うことです!それ以外に何がありますか!鈍感ですか!それに副作用だって…」

「大丈夫大丈夫。俺は大罪スキルを盗むけど使いはしないからな。」

「それはどういう?」

「まぁ、見てろ」

「『強奪』」

そう行って大罪卿から七つの大罪全てを盗んだ。そして

創造魔法:スキル改変

まずスキル改変で大罪スキルの副作用を無くす。そして譲渡でまた大罪卿に返す。

「よし出来たぞ。」

大罪卿は不思議そうな顔をしてステータス画面を見た。

「あの、大罪スキル残っているのですが…」

失敗か…

皆、そんな雰囲気を出してるけど

「いいえ、成功ですよ。」

「ですが大罪スキルは現に残って…」

「それは、強奪で1度奪ってスキル改変で副作用を無くし、そして付与でまた戻したんだ。」

・・・・・・


「「「なんだそりゃぁぁ!!!??」」」

国王と卿の人達が大きな声で驚いた。
そりゃそうですよね。父さんに関しては諦めたような顔をしているし…

皆が落ち着いて

「ナーガ様。ありがとうございました。これで私は…」

「私は?」

「国王陛下との婚約を発表出来ます!」

そう言うと兜を外した。
そこには短く切った金髪蒼眼で顔が整った女性がたっていた。

…いやいやいやいや…

そんなことある?

「おぉ!!良かったな!大罪卿…いやビーナよ」

そう祝福の声を上げたのは剣王卿だ。彼も兜をとり涙を流している。さすがに他の人は取ってはいないが祝福の声を上げている。

えー…俺、完全に蚊帳の外やん
そんなことを思っていると

「あー!!!お前、ヴォルじゃねーか!」

そんな声を上げたのは父さんだ。えっ?何、知り合いなの?

「おうおう久しぶりだなぁ。」

「お前、生きていたのか!?ここ最近音信不通だったくせに。それにあの子は…まさか!?」

「おぅ!俺の娘だ!」

なんということでしょう。親子で卿してるのかよ。

「父さん、剣王卿ってもしかして、結構偉い人
?」

「ん?あぁ、そうだな。奴は辺境伯だ。管轄が違うだけで俺と地位的にはほぼ変わらんな。」

まじかよ。

「んん!!」

そこで咳払いをしたのは国王だ。
皆静かになる。

「ビーナとの婚約、受けよう。」

うぉぉぉ!!!

場がさらに湧いた。

「と、その話はここまでだ。ナーガ望みが3つあると言ったな。」

「はい。そのうち1つは大罪卿の事でもう終わったのでいいのですが…」

「ほぉ、なら残り2つを言ってみよ。」

「はい。1つは魔王卿について、もう1つは政治的な話でございます。」

「聞かせてもらおう。」






結果から言うと聞いてもらうことが出来た。
まず魔王卿についてというのは、鎧についてだ。正直全身ガチガチのフルアーマーは要らない。動きづらいし、だから黒を基調とした仮面と服を用意してもらうことになった。
大きさは170cmくらいの人が着るような大きさだ。実際の俺の高さはまだ140くらいだが大きさなんていじれるからな。

そしてもう1つの政治的な話というのは
卿というのを国民に話すというものだ。
それを話した時は国王から猛反対されたが、理由を話したら納得してくれた。他の貴族たちにも話を通しておくように頼んだ。

なぜ反対されたかというのは貴族への尊敬や今の制度に疑問を向ける奴が出てくるかもしれないというものだ。まぁ王族の次に卿が偉いなんて知れたらバランスが崩れるよな。まぁだから政治をしているのは貴族で軍事的なことをしているのは卿ということにすることになるそうだ。

だがメリットもある。国の士気の向上、他国からの人の呼び込みなどなど軍事力を示すことができる。

などなどその他の細々としたことも話し終わって今日は解散となった。



ちなみに


レイは終始寝ていた。

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