神の使徒、魔王卿となり平和を求む

こにユウ

すごく怒られるらしい

「すごく聞きにくんだけどレイ、なんでいきてるの?」

そう俺の中で1番不思議だったのがナイフで心臓を刺され、槍で首を貫かれたレイが生きている事だった。

「なに…言ってる…の?私、不老不死…だから…望まない限り…死なない…よ」

そうだったレイ、これでも一応創世神だった。忘れててここまでやらかしたんだ。やべぇ凄い恥ずかしい

「それで、ナーガ…は、何人…殺した…の?」

無表情で静かに怒っているレイがいた。怒鳴られるより普通に怖い。けれど

「レイ、落ち着いて…。俺は誰も殺してないよ。血を抜いて擬似ミイラにしてるだけだから」

「そう…なら…」

「うん。ブラッドスティール。血を戻せ」

そう言うと刀身から血が溢れ出しそれぞれの体に戻っていく。

「よし、終わっ…」

「まだ」

「へっ?」

「神滅魔法…使った…でしょ?」

「うん。使ったよ。なにか問題…」

「問題しか…ない。まず…あっち…見て?」

レイが指さした方を見ると森林の真ん中が削られていた。その手前の家屋は被害が出ていないがあれはまずい

「えっと…そのぉ……」

じぃーーーー

「ごめんなさい。」

土下座した。凄い睨まれた。怖い。レイ、怖い。

「おじいちゃん…にも、報告…する…から」

「それは、やめ…」

「なに…か?」

「なんでもないです。はい。」

話が一旦終わり、国王様の方を見て

「この度は本当にすいませんでした!」

頭を下げた。いくらなんでもこれはやりすぎだ。

「いやいや頭を上げてください。大体はこちらの不手際なのですから」

「しかし」

「そうでなくとも神の使徒はこの世の中で1番上の存在。そのような方が2人おり、その片方を殺したのだからこれくらいですんで良かったと思います。」

「2人?」

「ナーガ様とレイエル様は神の使徒では?」

「確かに俺は神の使徒ですが」

「私は…違う…よ?」

「そ、そうなのですね。しかし、先程レイエル様は殺されたように見えたのですが」

「それは、レイが不死を持ってるからですよ。もちろん俺もですが」

「なぜ、神の使徒では無いレイエルさんに不死が?」 

「わから…ない。生まれ…つき」

「そ、そうですか」

少し迷った末に納得してくれた。良かった。
それと、神格化までしたからそれなりの反動を覚悟していたけど身体中が痛いだけでそれ以外はどうもない。少し辛いけど

「それと国王様。敬語はやめてください。これまで通りずっしりとしてください。」

「いや、しかし」

「お願いします」

「はぁ…わかった。それと聞きたいことがあるのだが」

「何でしょうか?」

「さっきの魔法、レイエルが神滅魔法と言っていたけど本当か?」

「本当ですよ。」

「そうか」

うーん。と国王が唸っていると
父さんとエリザさんが正気に戻り

「ナーガ。レイエルを幸せにしろよ!」

父さん…第一声がそれかよ。さっきまで怒ってたレイがめっちゃ照れてんじゃん!

「国王様。恐れながら進言します。このナーガという男、勇者パーティに入れたいと思うのですが」

勇者パーティかぁ。魔王とか討伐しないといけないんだろうなぁ。ちょっと面倒臭いし

「お断りさせていただきます。」

国王が返事をする前に断らせてもらった。

「そうか。残念だが仕方ない。」

そう言ってエリザさんは「城下をみてくる」と言って出ていった。

「ジーク、修繕費はお前持ちでいいな?」

「ちょっ!国王様!それはさすがに辛いですよ!この量の復興って考えるだけで」

「あっそれなら俺が直します。」

「なに?」

時空魔法『リターン・ザ・クロック』

そういうと森林と王城ついでに兵士たちの傷も治した。

「これ程とは…」

「ありがとう!ナーガ!これで修繕費を払わないで済む!」

「それで国王様。宰相はどのようにするのですか?」

「もちろん死刑だ。」

「ちょっそこまで…」

「しなくて…いい。」

そこで口を開いたのはレイだ。

「ではどうするのですか?」

「犯罪奴隷に…して」 

「なるほど。わかりました。」  

とりあえず一段落ついたな。

「国王様。神の使徒と言うのは内密にして欲しいのですが」

「わかっている。そんなこと言えるわけもないだろう。ジークもいいな?」

「はい。」

「宰相は…私が…記憶を…消して…おく。」

「ありがとう。レイ。」

「しかし、内密とは言えナーガにはある程度の地位を用意したいな。どうしたものか」

「なぜですか?」

国王は少し考えたのち

「言ってしまえば、他の国に行ってしまうのを防ぐためだ。本人がいる前で話すことでは無いのだがな。」

「あ〜」

俺も納得してしまった。俺がもし国王でも同じ事を考えただろうなぁ。そう考えていると

「「「国王様!ご無事ですか!」」」

天井を破壊して兜や仮面で顔を隠した人達が現れた。

「大丈夫だよ。それにしても天井を突き破るって斬新だね。 剣王卿」

「がっはっは!すいません国王様。それが1番はやかったので」

剣王卿と呼ばれた人物は赤い兜の中から野太い声をだして答えた。

「それより、そこにいる子供は」

「彼はナーガ君だよ。剣聖エリザに勝ち、賢者ルビィを上回る才能の持ち主だ。」

「なんと、この者がですか」

フードを深く被り目の下に涙のマークがある仮面を付けた人が興味深そうに答えた。

「そうだ!彼を卿にしてしまえばいいんだ!」

国王がある種の爆弾発言をした。

「「「はっ!?」」」

そこで驚いたのは俺以外の全員だ。
卿の意味が分からない俺はポカンとしてしまう。

「あの卿というのは?」

国王様が説明を始めた。

「卿というのはな、言わばなにかが常人より遥かに上回っているものを有している人に与えられる称号なのだ。しかし卿というのは表にはでない。出たとしても戦争や魔獣が暴走した時のスタンピートの時ぐらいで知る人ぞ知るって感じだよ。」

「そうなんですね。それで卿になった時の利点は?」

「自分の好きなことをしているだけでお金が貰える。剣王卿の場合は私が直接出した魔物討伐の依頼とか、そこにいる魔法卿は魔法関連の研究をし、その成果を上げることで大量の給金が入る。もちろん生活費と研究費はこちらが持つことになるがな。まぁその他にも様々だ。それとそれぞれの卿の後ろに控えているのはそれぞれの弟子だな。秘書みたいな奴もいるが…」

「そうですね。では俺は何をすれば?」

そこが一番の疑問だった。ここまで色々することができる人物が集まっているなら俺は必要ないのでは?

「言っただろ?君にはそれ相応の地位が必要であると。だからとりあえず卿になってもらう。ちなみに卿は国王の次に偉いから自由に動くことが出来るよ。もちろん仮面とか顔を隠さないといけないけどね。仮面してない時に闇討ちとか笑えないからね。」

なるほど

「分かりまし…」

「待ってください!国王陛下!」

そこで名乗りを上げたのは唯一後ろに誰も控えていない卿だった。声からして女かな?

「どうした、大罪卿」

「国王様、大罪卿とは?」

「彼女はね、七つの大罪すべてを有しているんだよ。スキルとしてね。さらにそれを使いこなせているから大罪卿だよ。」

「私のことはいいんです!それよりなぜこの男を卿に入れるのですか!?まだ10歳ぐらいじゃないですか!」

「なにか問題か?力あるものは卿として認める。そうだろ?」

「ですが私はこの2人の子供にそこまで価値を見出してません。」

たしかにそう言われると何も言えない。この人たちの前で力を使ってないしなぁ。

「そうだな。ならこの城が吹っ飛ばされ半壊し、さらにそれが一瞬にして治ったのは知ってるかい?」

「はい。それは知っています。遠目で見てましたから」

「その一連のことを彼一人でしたんだよ」

「「「なっ!?」」」

「ふふん♪」

なぜかレイが胸を張っている。

「そんなことありえません!1人でそれをするなんて」

「ありえたんだから仕方ないだろう」

国王がそう言うと大罪卿はつかつかとこっちに向かってあるてきて

「決闘を申し込みます!もしあなたが私に勝てば認めます!もちろん、負ければ認められません!」

「えー…」

レイの方をみると

「本気は…出しちゃ…ダメ」

「はい。」 

「神格化…と、魔法も…ダメ。アイテムボックスは…いいよ」

「わかった。」

そういうと大罪卿に向き直り

「分かりました。決闘を受けます。」

「もう夕方だから、明日の昼から兵士の訓練所で行うことにする。解散!」

国王の号令があり、それぞれ家に帰ることにした。

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コメント

  • イルシオ

    決闘多いいな

    1
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