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代打・ピッチャー、俺 (少年編)

雨城アル

15投目・卒業生との別れ

「今日は先輩の卒業式だね…」

「俺は三鷹先輩ぐらいしか関わったことないな」

「たしかに私たち途中参加組って数ヶ月しか一緒にいなかったもんね」


番号順に座る席で、真中と谷内は話をしていた。

「宇形くんは低学年からやってるし先輩がいなくなるのは寂しいだろうなぁ…」

「まあいつかは別れなければいけないさ」


1時間の時が経ち、式が終わろうとしていた。6年間の思い出を脳裏に馳せて、会場をあとにする卒業生。清々しい表情する者や、心残りがあるような顔をする者までいた。

式が終わり、校庭で談笑したり写真を撮影しているところに、真中は三鷹を偶然近くで見つけたので声をかけた。

「おお真中、バッテリーを組んだ時振りだな」

「あの時お世話になったので挨拶しようかと思いまして」

「そうだったのか、そういえば肩を壊したって聞いたんだが大丈夫なのか?」


真中は自信を持ってキャッチャーのことを話した。


「左肩ではもうできないですけどこの右肩でキャッチャーをやろうと思っています!」


三鷹は自信満々の真中を見て、厳しい現実を教えるより素直に応援をする方が良いと思った。

「そうか、また今度会う機会があったら実力を見せてくれよ!」


こうして6年生が卒業していった。
4月下旬になり、真中は練習に復帰した。久しぶりのマウンドに立ち、キャッチャー練習とあわせて欠かさずにしていたピッチングを始めた。

「ふむ、球速は落ちているものの大して悪くないな」


監督の評価はまずまずだった。野手組はノックに入っていた。ファーストから順に外野手まで飛ばし、谷内が2周目の順番を待っていたところに、真中は谷内の技量を見ていた。

「カキンッ」

「すまん!ちょっと強すぎた!」

ショートバウンンドにプラスして、強めの打球をいとも簡単に裁く姿に真中は驚愕した。ノックが終わり、フリーバッティングを始めた。宇形に投げる機会があったので、上達具合を確かめてみた。

インコース低めのコースに放り、宇形がバットを思い切り振り切った。

「カキーン!」

「え、嘘?」


ホームラン級の飛距離を叩き出された真中は、目を見開いて驚いた。

「早苗、あいつってあんなに上手かったっけ…?」

「そういえば真中知らないんだったね、宇形くんはフォーム改良で研究に研究を重ねて遠くに飛ばすコツを掴んだらしいよ」

「そうだったのか…早苗もなんか捕球めちゃめちゃ上手いし上達しすぎだろお前ら…」

「打球をベンチで眺めてたら跳ね方がわかっちゃったんだよねー!捕球は唯一の自慢ー!」


半年以上のブランクを抱えて復帰し、チームメイトは想像を遥かに越えた成長を見せていた。春の大会まで残り時間は僅かの中、埋もれてしまわないよう必死に食らいついていく真中であった。

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