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代打・ピッチャー、俺 (少年編)

雨城アル

6投目・打ち砕かれる勇気

彼の異変に気づく者はいなかった。
なぜなら、まだコントロールの練習をしっかりとやり込んでないことから、疑う方がむしろ難しかったのである。

痛みを背負っての捨て身のラストボールを放り、次こそはすっぽ抜けずに投球動作ができた。

「(決まったッ!)」

…が


「カキーン」


太陽光で輝く白球は、無情にも右中間を一刀両断した。
酒瀬川の2塁打で2点を取られ、逆転の兆しは暗雲に包まれるように見えなくなっていった。

その後も登板する意志を見せる者がおらず、1対11でコールドゲームとなる。


「集合!!」

「礼!」

「ありがとうございました!」



疲れ果てた真中に駆け寄る宇形。


「真中、大丈夫?」

「いや、俺は試合に出られただけでも嬉しいよ、経験も積めたし…」

「でも何で誰も代わろうとしなかったんだろう…」

「おい新入り」

「はい?」

「大口叩いた割にはボコボコにされてんじゃねぇか、おまけにコールド負けしやがって」

「すみません、次から気をつけます」

「先輩どうして代わってあげなかったんですか!」

「なんだ宇形か」

「そんなのこいつがチヤホヤされて調子乗ってるからムカつくんだよ」



どうやら上級生は真中のことを嫉妬していたようだ。
しかし宇形は屈せず反論した。


「初心者にいきなり厳しくしても伸びるわけないじゃないですか!わからない事がたくさんあるのにただ叱るだけではパニックになってしまいますよ!」


「お前たちいい加減にせんか!私に全て責任があるんだから真中くんは悪くないだろう!」


痺れを切らした監督が割り込んで一喝し、その場をなんとか鎮火させて終わらせることができた。


「真中くん、しっかりと教えられていない君を無理やり出してしまって悪かったね」

「いえ、自分から言ったことなので大丈夫です」

「あいつらも根はいい奴らなんだ、最近は6年生ばかりでコーチングできてないから不満が溜まっていたんだろう…許してやってくれ」

「藤山先輩も珍しく不調でしたもんね…真中、これからも一緒に特訓しようね!」



真中は5年生に少し苦手意識を持つようになってしまった。


肩に重い鉛を背負ってトボトボする帰り道。
食い違う歩幅に、宇形は心配と手を繋いで真中を励ました。


するとそこに、一人の少年が足早に歩み寄ってきた。

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