代打・ピッチャー、俺 (少年編)
1投目・キャッチャー志望のサウスポー
「なにが起こるかわからない、だから楽しい、それが野球」というフレーズを、聞いたことがあるのではないだろうか。
一投一打に集中をかける選手たちの中には3度のストライクで三振を奪うピッチャーや、ホームランで一発逆転を狙うバッターなど、最後の最後まで勝敗のわからないスポーツである。
そんな手に汗握る試合展開の野球を、追い続ける一人の少年がいた。
「おーい真中ー!ちょっと話があるんだけどいいかな?」
気さくに話しかけてくる少年の名前は、宇形 政登。野球大好き少年真中の幼なじみだ。
「宇形か、なんだよ急に。」
「君って野球好きだったよね?」
彼は、少し食い気味に三度頷いた。
「僕ね、クラブチームに入って2年ぐらい経つんだけど、真中も一緒に野球やらない?」
宇形の純粋無垢な誘いと、野球への想いも相まって、真中は快諾した。
「じゃあ日曜日の7時くらいに僕の家に来てね!」
承諾したは良かったものの、グローブやバットはどうすればいいのかと急に不安が増幅していった。
この不安を払拭するためにとりあえず横になって睡眠を試みたが、なかなか寝付けないまま当日を迎える。
「お、おはよう…」
「…もしかしてあんまり寝れてなかったり?」
「しちゃうかもね…」
「小学4年生にして夜更かしなんて体に良くないよ!」
「夜更かししたくてしたわけじゃないんだよ。」
「体調悪いなら今日はやめちゃうかー」
「いや、やる!!」
「そこは元気になるんだね」
練習場所までの道中で、野球のことについて語り合った。
「真中ってやってみたいとことかある?」
「キャッチャーとかピッチャーとかかな。一番はキャッチャーやりたいかも。」
「え、真中って左利きだよね?」
「そうだけど」
「左利きだと右手にグローブはめるから、ホームベースの左からくるランナーにタッチしにくくて不利だよ。」
「もしかして左利きキャッチャーがいないのってそういうこと…?」
「え、そうだけどもしかして知らなかった…?」
彼はモチベーションに影響が出そうな程ショックを受けた。
「ま、まあピッチャーならむしろ活躍できると思うよ!」
「じゃあピッチャーやってみるよ…」
そうこうしている間に現地へ到着した。そこには、一生懸命野球に励む同級生や後輩、先輩たちが互いに高めあって、目標に向かって努力しているところが伺えた。
「すげぇ、皆楽しそうに練習してるなぁ…!」
「監督、体験希望の友達連れてきました。」
「お、君が真中くんかい?早速だけどやってみたいポジションとかはある?」
彼は、ダメ元で聞いてみることにした。
「左利きなんですけどキャッチャーがやってみたいなぁと…」
「あー左利きのキャッチャーはちょっと難しいかなぁごめんね…」
…が、願いは叶わずあえなく撃沈。
「そうですよね…ならピッチャーをやってみたいです。」
「ピッチャーならちょうど不足してて助かるよ!一回投げるところみたいから宇形とキャッチボールしておいで」
軽いランニングで全身を温めてからストレッチで関節をほぐして、少し寝坊気味な体に目覚ましをかけた。
時々、一人でやるキャッチボールのように黙々と肩をならして、投球への志を小動物の如く上り坂をゆっくりと登るように上げていった。
「よーしじゃあそろそろ投げてみよっか!」
「えーっとたしかこのプレートを踏みながら投げるんだっけ」
期待の眼差しを向ける監督を横に、感情を高ぶらせながら右足を後ろに引いた。
反動をつかって大きく振り上げた脚は竜を彷彿とさせる姿を描き、勢いを増してグローブへと前進させていく。
そして、肘から指先にかけてしなやかに腕を振り下ろした。
「そいっ!」
一投一打に集中をかける選手たちの中には3度のストライクで三振を奪うピッチャーや、ホームランで一発逆転を狙うバッターなど、最後の最後まで勝敗のわからないスポーツである。
そんな手に汗握る試合展開の野球を、追い続ける一人の少年がいた。
「おーい真中ー!ちょっと話があるんだけどいいかな?」
気さくに話しかけてくる少年の名前は、宇形 政登。野球大好き少年真中の幼なじみだ。
「宇形か、なんだよ急に。」
「君って野球好きだったよね?」
彼は、少し食い気味に三度頷いた。
「僕ね、クラブチームに入って2年ぐらい経つんだけど、真中も一緒に野球やらない?」
宇形の純粋無垢な誘いと、野球への想いも相まって、真中は快諾した。
「じゃあ日曜日の7時くらいに僕の家に来てね!」
承諾したは良かったものの、グローブやバットはどうすればいいのかと急に不安が増幅していった。
この不安を払拭するためにとりあえず横になって睡眠を試みたが、なかなか寝付けないまま当日を迎える。
「お、おはよう…」
「…もしかしてあんまり寝れてなかったり?」
「しちゃうかもね…」
「小学4年生にして夜更かしなんて体に良くないよ!」
「夜更かししたくてしたわけじゃないんだよ。」
「体調悪いなら今日はやめちゃうかー」
「いや、やる!!」
「そこは元気になるんだね」
練習場所までの道中で、野球のことについて語り合った。
「真中ってやってみたいとことかある?」
「キャッチャーとかピッチャーとかかな。一番はキャッチャーやりたいかも。」
「え、真中って左利きだよね?」
「そうだけど」
「左利きだと右手にグローブはめるから、ホームベースの左からくるランナーにタッチしにくくて不利だよ。」
「もしかして左利きキャッチャーがいないのってそういうこと…?」
「え、そうだけどもしかして知らなかった…?」
彼はモチベーションに影響が出そうな程ショックを受けた。
「ま、まあピッチャーならむしろ活躍できると思うよ!」
「じゃあピッチャーやってみるよ…」
そうこうしている間に現地へ到着した。そこには、一生懸命野球に励む同級生や後輩、先輩たちが互いに高めあって、目標に向かって努力しているところが伺えた。
「すげぇ、皆楽しそうに練習してるなぁ…!」
「監督、体験希望の友達連れてきました。」
「お、君が真中くんかい?早速だけどやってみたいポジションとかはある?」
彼は、ダメ元で聞いてみることにした。
「左利きなんですけどキャッチャーがやってみたいなぁと…」
「あー左利きのキャッチャーはちょっと難しいかなぁごめんね…」
…が、願いは叶わずあえなく撃沈。
「そうですよね…ならピッチャーをやってみたいです。」
「ピッチャーならちょうど不足してて助かるよ!一回投げるところみたいから宇形とキャッチボールしておいで」
軽いランニングで全身を温めてからストレッチで関節をほぐして、少し寝坊気味な体に目覚ましをかけた。
時々、一人でやるキャッチボールのように黙々と肩をならして、投球への志を小動物の如く上り坂をゆっくりと登るように上げていった。
「よーしじゃあそろそろ投げてみよっか!」
「えーっとたしかこのプレートを踏みながら投げるんだっけ」
期待の眼差しを向ける監督を横に、感情を高ぶらせながら右足を後ろに引いた。
反動をつかって大きく振り上げた脚は竜を彷彿とさせる姿を描き、勢いを増してグローブへと前進させていく。
そして、肘から指先にかけてしなやかに腕を振り下ろした。
「そいっ!」
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