フィロソフィア

藤冨 幹臣

第七話

もうすぐ、学園祭があるということで、すこぶる元気な草薙と屋上にて雑談を交わす。

「もうすぐで学園祭かあ」

………………。
…………。
……。

「「メイド喫茶したい」」
「……」
「メイド喫茶が無理ならせめて喫茶やりたいよな」
「ああ。私の股間もすこぶる元気になる予定だったが今しがた訪れた鷲掴みによって死した」

 ユウが怒ったら実力行使に訴えかけるという事実をうっかり忘却していた私は大事なものを一つ……いや、二つ失った。

「重ねて失いたいものは?」
「なにもありません」

(早速尻に敷かれてる……)

「つッ、つまり! メイド服は駄目~って事だね! うん、理解したよ! あっ、あはは!! とっても……こわいいね!!」
「落ち着け豆助。『こわい』と『かわいい』が混ざっているぞ~っと。そういや、豆助は異能大会に出場するのか?」
「異能大会? いやいや、出な「学食一年分使い放題パス」出るぞ?」
「食に飢えてるのか? ボクが弁当作ってこようか?」
「いや…これは貧乏の頃の名残で」
「あー、あれか。まだ抜けないんだな、頭ン中のその安く済ませるって考え」
「はは…しょうがないではないか」

私の能力の暴走で『ご都合的に』父と母が宝くじを当てやがったのだ。

「お前の姉は三年。異能大会、前回の王者だお前は己の姉を倒せるのか?」

~計算開始~
姉の能力(最強バフ)VS私の能力(ご都合主義)
戦力:over   VS  戦力:never
私がどれ程ご都合主義で強くなろうが、姉の能力最強バフは『相手が最強と名乗ろうが、相手より確実に強くなる能力』。つまり、私に勝ち目はない。
しかし、それを覆すご都合主義があるかもしれない。
姉 戦力:over
  VS
私 戦力:never
ワールドカップにわんちゃんの入場は禁止である。
アッ、歯に挟まってた肉とれた。ワーイ
~計算終了~

「ははっ、無理だ!」

圧倒的強者に負けるのも、それもまた『ご都合主義』である。いささか『ご都合主義』が過ぎるだろう。

「草薙は知らないようだな」
「なにをだ?」
「学園祭は、楽しんだ者勝ちだってな」

サムズアップをつくって見せる。私の能力は一日に三回しか使えないし、なんとしてでも『ご都合』を通そうとするので何が起こるかわからない。

表だけ見れば、私の能力は大したものではないのかもしれない。しかし、事実は奇なり、私の能力は姉の能力と大差ない危険性を孕んでいる。

せめて、ユウに格好いいところは見せたいな。

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