極振り夫婦のVRMMO生活
極振り夫婦のトーナメントと新たな仲間
第二層の街は、第一回のイベントの時と同様、変わっていた。だが、今回は一つのコロシアムになっている。
俺とミリアは、途中で莉乃とマイと別れ観客席に座った。そして数分後、トーナメントが始まった。
「レベル差なんて関係ない!実力で差を埋めろ!第二回イベント、剣士限定勝ち上がりトーナメント、開催です!」
男性の声が、コロシアム中に響く。
「ルールは簡単!攻撃系のスキルを使わずに、剣の実力だけで勝ち進んでいくというものです!今回は前のイベントと違い、レベル別に分けるなど、そんな甘いことはしません!」
「では早速、一回戦目の参加者は入場してください!」
すると、片手剣を持った男と、侍のような装備を着て日本刀を持った男がそれぞれ向かい合う形でコロシアムに入ってきた。
「では、戦闘開始です!」
すると、ゴングが鳴った。
侍は刀を鞘に収め腰につけたまま、座っている。そこに、片手剣の男が走っていき、剣を振り下ろそうとする。が、侍が立ち上がり、一瞬で刀を鞘から抜き片手剣の男を斬りつけた。そして、男は消えた。
観客席から、歓声が湧いた。
あの侍、一瞬で勝負を終わらせた……。カッコイイ!
その後、次、また次と戦いが進みやっと莉乃の番になった。対戦相手も、大剣使いだ。
ゴングが鳴り、莉乃が相手に走っていく。そして、剣でガードをしている相手を斬りつける。相手は、ガードで攻撃を弾いてからのカウンターを狙っていたのだろう。が、莉乃の攻撃を受けきれず剣が吹き飛ばされてしまう。そしてあっけなく莉乃に斬られ、勝負は終わった。
「さすがリノだね!すごい攻撃力だよ!」
隣に座っているミリアが言う。俺は、そうだな、と頷きながら応えた。
観戦していて思ったが、俺なんかより強い人はやはり沢山いる。これから、どんどん層が上がっていく中で俺だけ遅れないか心配になる。
少しすると、一回戦を勝ち抜いた参加者たちによる二回戦が始まった。ちなみに、マイも変わらず半端ないプレイスキルで相手を圧倒し、勝ち進んだ。
そしてまた例の侍が一瞬で勝負を終わらせ、どんどんとトーナメントが進んでいく。そして、莉乃の番が来た。対戦相手は、マイだ。
勝負はすぐに終わった。マイの勝利だ。昨日は、リノならできると励ましたものの、正直、マイに勝てるとは思っていなかった。まずAGIの違いだ。マイに本気で責められてしまえば、リノは攻撃を防ぐのも精一杯だ。などと、上から目線で言っているが、AGIがマイよりある俺でもおそらくプレイスキルの違いでボロ負けするだろう。それどころか、一回戦目も勝てないのではないだろうか……。
その後、マイは三戦目四戦目と勝ち進んで行き、結果は二位だった。一位決定戦で、例の侍に負けてしまった。
「あの侍、仲間になってくれないかな……」
マイがポツリと呟いた。
「確かに仲間にできたらいいけど、もうどこかのパーティーに入ってそうだよな……。あんなに強いし」
「でも、誘うだけ誘ってみよう!」
ミリアがそう言うので、俺は分かった、と言って頷いた。
コロシアムからいつもの街に戻り、莉乃とマイと合流する。
「マイちゃん強すぎだよー!何もできなかったー!」
莉乃たちがそう談笑しているのを横目に、俺はあの侍を探していた。
しばらくキョロキョロと辺りを見ていると、湖の方向に向かっていくのが見えた。
「おい!あの侍いたぞ!」
俺は三人にそう言って、走っていく。
「あの!」
俺が声をかけると、何も言わず振り向いた。観客席に座っていたときは顔立ちなどはよく見えなかったが今は、はっきりと見える。目は瞑っているような糸目で、年齢は俺より少し上くらいだろうか……。
すると、マイとミリアがほぼ同時、莉乃が少し遅れて走ってきた。
「さっきのトーナメントで優勝してましたよね!おめでとうございます!めちゃくちゃ強くて、すごいカッコ良かったです!それで、お願いがあるんです。俺たちの仲間になってください!」
前半の褒めは、仲間になってほしいからお世辞で言ったわけじゃない。本当に心の底から、カッコ良いと思った。
「拙者に勝てたら、良いだろう。拙者は強い者としか仲間にはならない」
「俺ですか?」
「そうだ。見たところ短刀使いだが、トーナメントに出場していなかっただろう?気になるのだ、お主の実力がどれほどか」
侍がそう言うと、目の前にパネルが表示された。
《サクヤさんからデュエルの申請が来ております、了承しますか?》
デュエルとは、最近実装されたシステムだ。これで戦えば、負けた人のステータスが下がることはない。
これはもちろん、はい、だ!だけど、勝ち目あるのか…………?
「スペシャルスキル、忍、発動!」
サクヤはトーナメントのときと同じで、刀を納めてある鞘を腰につけたまま静止している。隙を少しでも見せたら、一瞬で斬られるだろう。
なら、視界を遮る!
「忍法・包霧!」
俺がそう言うと、サクヤが濃い霧に包まれた。
よし!これでこっちのもんだ!
「衝撃斬」
サクヤがそう言った瞬間、まるで強風でも吹いたかのように霧が払われた。
ちょ、待てよ!……モノマネをしている場合ではない。負けたら、仲間にはできないんだ。視界遮る作戦がきかないなら、遠距離作戦だ!
「忍法・水流砲!」
すると、ビームのような水が一直線にサクヤに向かっていく。
「氷一閃」
サクヤがそう言い剣を少し突くように動かすと、一本の白い線が水の中を通っていく。そして次の瞬間、水が凍り、地面に落ちて砕けた。
どおしてだよぉぉぉ!狂ってやがる!
…………モノマネをしている場合じゃないのは分かっている、だけど、もうこれ以上策が無い!だが、諦めるわけにはいかない!
「忍法・装爆」
俺はそう呟き、叫びながらサクヤに向かっていく。
だが、いつのまにか剣を鞘にしまい座っているサクヤに一瞬で斬られた。俺は痛みに耐えながら、四回サクヤに手のひらをつけた。そして、俺はやられてしまった。
お願いだから、これでやられてくれ!
「弱い……」
男が消えたのを見て、仲間たちが呆然としている。
勝ち目がないのを悟り、無理に突っ込んできたか……。だが、最後の行動が気になるな……。
すると突然、体が四回爆発した。
いや、違う!これは、装備が爆発したのか!最後の気になる行動は、これだったのか……。だとしたら、何もなしに突っ込んできたのではなく、自分がやられたあとに拙者を倒そうとしたのか?
「…………ふっ。面白い男だ」
街に転送された俺は、さっきの場所に急いで戻った。そこには、サクヤがいた。
あのあと、倒せなかったのか……。
「みんな!すまな…………え?」
「これからよろしくね!サクヤ!」
ミリアがそう言って、サクヤと握手をしている。
「ど、どういうことだ!?」
「ああ!裕樹君のこと気に入ったから、仲間になってくれるって!」
莉乃が嬉しそうにそう言う。
「拙者の名前はサクヤ。これからお主らの仲間にならせてもらう」
「よ、良かった……。よろしく、サクヤ!」
そう言って、サクヤと握手をした。
「いやぁ、本当に良かった……。戻ったらみんなから罵声を浴びることになるんじゃないかと、心配だったんだ……」
「大丈夫ですよ!何があっても、仲間に罵声を浴びせるなんてしませんから」
マイがそう言う。
「このゲーム、パーティーメンバーの上限は六人だからあと一人だね!」
ミリアがそう言うので、俺は頷いた。
あと一人も、どうせ仲間にするなら強い人がいいよな……。またすぐにイベントとかやれば、見つけられるんだけどな……。
「じゃあ、私はもうログアウトしなきゃなので。さようなら」
マイがそう言ってログアウトした。それに続いてミリアとサクヤ、そして俺たちもログアウトした。
ファンタジー系のゲームがこんなに楽しいなんて、今まで知らなかった……。いつか、今流行りの異世界転生とかしてみたいな……。
俺とミリアは、途中で莉乃とマイと別れ観客席に座った。そして数分後、トーナメントが始まった。
「レベル差なんて関係ない!実力で差を埋めろ!第二回イベント、剣士限定勝ち上がりトーナメント、開催です!」
男性の声が、コロシアム中に響く。
「ルールは簡単!攻撃系のスキルを使わずに、剣の実力だけで勝ち進んでいくというものです!今回は前のイベントと違い、レベル別に分けるなど、そんな甘いことはしません!」
「では早速、一回戦目の参加者は入場してください!」
すると、片手剣を持った男と、侍のような装備を着て日本刀を持った男がそれぞれ向かい合う形でコロシアムに入ってきた。
「では、戦闘開始です!」
すると、ゴングが鳴った。
侍は刀を鞘に収め腰につけたまま、座っている。そこに、片手剣の男が走っていき、剣を振り下ろそうとする。が、侍が立ち上がり、一瞬で刀を鞘から抜き片手剣の男を斬りつけた。そして、男は消えた。
観客席から、歓声が湧いた。
あの侍、一瞬で勝負を終わらせた……。カッコイイ!
その後、次、また次と戦いが進みやっと莉乃の番になった。対戦相手も、大剣使いだ。
ゴングが鳴り、莉乃が相手に走っていく。そして、剣でガードをしている相手を斬りつける。相手は、ガードで攻撃を弾いてからのカウンターを狙っていたのだろう。が、莉乃の攻撃を受けきれず剣が吹き飛ばされてしまう。そしてあっけなく莉乃に斬られ、勝負は終わった。
「さすがリノだね!すごい攻撃力だよ!」
隣に座っているミリアが言う。俺は、そうだな、と頷きながら応えた。
観戦していて思ったが、俺なんかより強い人はやはり沢山いる。これから、どんどん層が上がっていく中で俺だけ遅れないか心配になる。
少しすると、一回戦を勝ち抜いた参加者たちによる二回戦が始まった。ちなみに、マイも変わらず半端ないプレイスキルで相手を圧倒し、勝ち進んだ。
そしてまた例の侍が一瞬で勝負を終わらせ、どんどんとトーナメントが進んでいく。そして、莉乃の番が来た。対戦相手は、マイだ。
勝負はすぐに終わった。マイの勝利だ。昨日は、リノならできると励ましたものの、正直、マイに勝てるとは思っていなかった。まずAGIの違いだ。マイに本気で責められてしまえば、リノは攻撃を防ぐのも精一杯だ。などと、上から目線で言っているが、AGIがマイよりある俺でもおそらくプレイスキルの違いでボロ負けするだろう。それどころか、一回戦目も勝てないのではないだろうか……。
その後、マイは三戦目四戦目と勝ち進んで行き、結果は二位だった。一位決定戦で、例の侍に負けてしまった。
「あの侍、仲間になってくれないかな……」
マイがポツリと呟いた。
「確かに仲間にできたらいいけど、もうどこかのパーティーに入ってそうだよな……。あんなに強いし」
「でも、誘うだけ誘ってみよう!」
ミリアがそう言うので、俺は分かった、と言って頷いた。
コロシアムからいつもの街に戻り、莉乃とマイと合流する。
「マイちゃん強すぎだよー!何もできなかったー!」
莉乃たちがそう談笑しているのを横目に、俺はあの侍を探していた。
しばらくキョロキョロと辺りを見ていると、湖の方向に向かっていくのが見えた。
「おい!あの侍いたぞ!」
俺は三人にそう言って、走っていく。
「あの!」
俺が声をかけると、何も言わず振り向いた。観客席に座っていたときは顔立ちなどはよく見えなかったが今は、はっきりと見える。目は瞑っているような糸目で、年齢は俺より少し上くらいだろうか……。
すると、マイとミリアがほぼ同時、莉乃が少し遅れて走ってきた。
「さっきのトーナメントで優勝してましたよね!おめでとうございます!めちゃくちゃ強くて、すごいカッコ良かったです!それで、お願いがあるんです。俺たちの仲間になってください!」
前半の褒めは、仲間になってほしいからお世辞で言ったわけじゃない。本当に心の底から、カッコ良いと思った。
「拙者に勝てたら、良いだろう。拙者は強い者としか仲間にはならない」
「俺ですか?」
「そうだ。見たところ短刀使いだが、トーナメントに出場していなかっただろう?気になるのだ、お主の実力がどれほどか」
侍がそう言うと、目の前にパネルが表示された。
《サクヤさんからデュエルの申請が来ております、了承しますか?》
デュエルとは、最近実装されたシステムだ。これで戦えば、負けた人のステータスが下がることはない。
これはもちろん、はい、だ!だけど、勝ち目あるのか…………?
「スペシャルスキル、忍、発動!」
サクヤはトーナメントのときと同じで、刀を納めてある鞘を腰につけたまま静止している。隙を少しでも見せたら、一瞬で斬られるだろう。
なら、視界を遮る!
「忍法・包霧!」
俺がそう言うと、サクヤが濃い霧に包まれた。
よし!これでこっちのもんだ!
「衝撃斬」
サクヤがそう言った瞬間、まるで強風でも吹いたかのように霧が払われた。
ちょ、待てよ!……モノマネをしている場合ではない。負けたら、仲間にはできないんだ。視界遮る作戦がきかないなら、遠距離作戦だ!
「忍法・水流砲!」
すると、ビームのような水が一直線にサクヤに向かっていく。
「氷一閃」
サクヤがそう言い剣を少し突くように動かすと、一本の白い線が水の中を通っていく。そして次の瞬間、水が凍り、地面に落ちて砕けた。
どおしてだよぉぉぉ!狂ってやがる!
…………モノマネをしている場合じゃないのは分かっている、だけど、もうこれ以上策が無い!だが、諦めるわけにはいかない!
「忍法・装爆」
俺はそう呟き、叫びながらサクヤに向かっていく。
だが、いつのまにか剣を鞘にしまい座っているサクヤに一瞬で斬られた。俺は痛みに耐えながら、四回サクヤに手のひらをつけた。そして、俺はやられてしまった。
お願いだから、これでやられてくれ!
「弱い……」
男が消えたのを見て、仲間たちが呆然としている。
勝ち目がないのを悟り、無理に突っ込んできたか……。だが、最後の行動が気になるな……。
すると突然、体が四回爆発した。
いや、違う!これは、装備が爆発したのか!最後の気になる行動は、これだったのか……。だとしたら、何もなしに突っ込んできたのではなく、自分がやられたあとに拙者を倒そうとしたのか?
「…………ふっ。面白い男だ」
街に転送された俺は、さっきの場所に急いで戻った。そこには、サクヤがいた。
あのあと、倒せなかったのか……。
「みんな!すまな…………え?」
「これからよろしくね!サクヤ!」
ミリアがそう言って、サクヤと握手をしている。
「ど、どういうことだ!?」
「ああ!裕樹君のこと気に入ったから、仲間になってくれるって!」
莉乃が嬉しそうにそう言う。
「拙者の名前はサクヤ。これからお主らの仲間にならせてもらう」
「よ、良かった……。よろしく、サクヤ!」
そう言って、サクヤと握手をした。
「いやぁ、本当に良かった……。戻ったらみんなから罵声を浴びることになるんじゃないかと、心配だったんだ……」
「大丈夫ですよ!何があっても、仲間に罵声を浴びせるなんてしませんから」
マイがそう言う。
「このゲーム、パーティーメンバーの上限は六人だからあと一人だね!」
ミリアがそう言うので、俺は頷いた。
あと一人も、どうせ仲間にするなら強い人がいいよな……。またすぐにイベントとかやれば、見つけられるんだけどな……。
「じゃあ、私はもうログアウトしなきゃなので。さようなら」
マイがそう言ってログアウトした。それに続いてミリアとサクヤ、そして俺たちもログアウトした。
ファンタジー系のゲームがこんなに楽しいなんて、今まで知らなかった……。いつか、今流行りの異世界転生とかしてみたいな……。
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