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女神様(比喩)と出会って、人生変わりました

血迷ったトモ

第22話 映画を観よう

 先程、散々着せ替え人形になっていた悠也は、簡単に購入する服を決定して、即着替えて、再び映画館へと赴いていた。

「悠也さん、大丈夫ですか?」

「あ〜、大丈夫ですよ。あの強盗に比べれば、あの男に絡まれた事なんて、どうって事は無いですから。」

 先程から、申し訳無さそうに、悠也の事を心配する千穂。自身の不注意で、絡まれてしまった事を、気にしているのだろう。

「そ、そうですか?」

「はい。それに、あの男のせいで、このまま気分ぶち壊しじゃあ、何だか癪ですからね。思いっきり楽しんでやろうじゃないですか。」

 悠也は、不敵な笑みを浮かべながら言う。

「ふふっ。悠也さんは、面白い人ですね。」

 すると、そんな物言いに感化され、千穂も少しは元気が出てきたのか、笑顔を浮かべてくれる。

「そう。そんな感じです。何時までも沈んだ表情では、楽しい物も、楽しく無くなっちゃいますよ。」

「そ、そうですね。はい、分かりました。」

「じゃあ、何を観ましょうか?」

 映画の名前と時刻が載ってる大型モニターを見ながら、悠也は聞く。
 悠也としては、某日本語にすると運命という名の、三部作の最終章を見たいが、ここは千穂に譲る事にする。

「う〜ん…。リサーチをして来なかったので、迷いますね。…あ、ではあれはどうですか?」

 迷いに迷った千穂は、最近流行りのイケメン俳優が主演の、在り来りな恋愛モノを指差す。

「時刻は…15時35分からですね。今は15分ですので、席が空いてるか確認しましょう。」

 -ギリギリだな…。まぁ、公開からそれなりに経ってるし、あんまり人は入ってないだろう。-

 2人でカウンターへと向かい、受付に話しかけ、確認を取る。

「では、どちらのお席になさいますか?」

 受付が、タブレットを見せてくる。見ると、結構空いているのが分かった。

「う〜ん。…席は、隣で良い?」

 悠也は千穂に問う。これが普通の友達同士なら、迷わず隣同士にするが、あんまり知らない男と、2時間も隣に居なくちゃならないというのは、彼女にとって如何なものかと、考えたのだ。

「はい、勿論です。何でそんな事を聞くんですか?」

 心底不思議そうに、千穂は首を傾げる。どうやら、悠也の要らぬ気遣いだったようだ。

「いや、まぁ、何となくですよ。あ、じゃあ、こことここでお願いします。」

 態々説明して、『じゃあ…』と思い直されでもしたら、悠也は色々と立ち直れなくなりそうなので、軽く流してから、受付に希望を伝える。

「はい、畏まりました。…では、チケットになります。」

「ありがとうございます。…じゃあ、何か食べ物でも買いますか。」

 チケットを受け取った悠也は、カウンターから離れながら、千穂に言う。
 すると、千穂はグッと拳を握りながら、キラキラとした目で勢い良く言う。

「で、では、ポップコーンを!」

「あははは。それは、あっちで頼むんですよ。」

 逸ってしまった千穂に苦笑しながら、悠也は売り場を指差して教える。

「え、あ、そうなんですか…?」

 悠也の指摘に、段々と顔を赤くしながら、消え入りそうな声で呟く。

「じゃ、じゃあ買いに行きましょうか。」

「はい…。」

 顔を赤くした千穂を引き連れ、売り場へと向かう悠也。恥ずかしがる千穂に、どうにか注文する商品を決めさせた後、お花摘みを挟み、映画が始まる前の準備を、完了させた。

「お、入場出来るみたいです。」

「はい、分かりました。…楽しみです。」

 ワクワクした様子で、千穂は悠也と共に入場口へと向かう。

 傍から見ると、その2人の姿は、カップル以外の何ものでも無かった。


『どうして!?どうしてあの子と一緒に居たの!?仕事だって、言ってたじゃない!』

『ち、違う!勘違いだ!仕事先で、たまたま会っただけなんだ!』

「「…。」」
 
 スクリーンの中での、壮絶な言い争いを、若干引きながら見る悠也。ふと隣を見ると、千穂も微妙な表情をしている。

-ちょっと選択をミスったな…。天戸さんなら、案外知ってるかもだから、俺の見たいやつでも良かったかな?-

 今更ながらに、この選択を悔いる悠也。元々、恋愛モノには、そんなに興味が無かった悠也には、ちょっと耐え難い時間であった。千穂も同様だろう。

 しばらく呆然としながら、流し見する。すると、そのうち、ちょっとイチャイチャしたシーンにへと移る。

「「…。」」

 男同士のノリなら、巫山戯てニヤける程度で済むが、美少女と共にこのシーンを見るのは、非常にクる・・ものがあった。

チラリと隣の千穂に視線を向ける。

「「…!」」

 すると、ちょうど千穂も視線を向けてきたのか、目が合ってしまう。

「「…。」」

 そのまま、お互いの目から話せない状態に陥り、見つめ合う事になってしまった。

-え、め、目が離せない!?逸らしたいけど、何かタイミングが…。-

 10秒ほど、そのままの状態が続くが、映画の方で、『パンッ』と平手打ちを放つ音に、驚いて、反射的に視線を前に戻せた悠也。

-よ、漸く目が離せた…。こ、今後は、年下の女の子と、2人きりの時は、恋愛モノの映画を観るのは、絶対に止めよう…。まぁ、そんな機会は、もう無いけど…。-

 考えながら、少し沈んだ気持ちになる悠也。
 そんな悠也の隣では、顔を少し赤くした千穂が、チラチラと視線を送っていたのだが、全く気付かずに、無事、2時間が経過したのだった。

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