女神様(比喩)と出会って、人生変わりました
第20話 また災難です
「美味しかったですね。」
 カフェから出た悠也は、しみじみと呟くように言う。
「はい、また食べに来たいです。」
 千穂も同感だったようで、笑顔でそんな事を言っている。次は1人で来るのだろうか?
「さて、次はどこ行きますか?」
「う〜ん…。」
 全力でこのお出掛けを楽しみたいのか、深く考え込む千穂。
 それを見て、悠也は苦笑してしまう。
「まぁまぁ、そんなに悩まずに、気楽に決めましょうよ。時間があったら、また付き合いますから。」
「ほ、本当ですか?」
 考え込んでいた千穂は、パッと顔を上げると、悠也に一気に詰め寄って来る。
「ほ、本当ですよ。俺自身も楽しいですし。」
「そ、そう言っていただけると、とても嬉しいです。ご迷惑になってないか、心配でしたので…。」
 蕩けるような笑みを浮かべながら、胸を押える千穂。
 千穂の美貌に対して、少しは耐性が付いてきた悠也だったが、流石にこれには大ダメージを受けてしまう。
「…。」
「悠也さん?」
 顔を赤く染め上げ、ぼーっとしてしまっていた悠也に、千穂が首を傾げながら、顔を覗き込んでくる。
「…あ、す、すみません。ちょっと考え事してました。え、映画でもどうかな〜と思いまして。」
 惚けてしまっていたことに対し、必死に言い訳をする悠也。こんな事で意識してしまった事がバレれば、千穂から危険人物扱いを受けそうな気がしてならなかった。
「映画、というと、映画館ですか?普段は、自宅のシアタールームで1人で観てるので、是非行きたいです!」
「そ、そうですか。では、行きましょうか。」
 可哀想な情報と共に、自宅にシアタールームがあるという、驚きな事を言われて、どんな表情をすれば良いのか、分からなくなってしまう悠也。
 まぁそんな事は口に出せないので、気を取り直して、10階にある映画館へと、歩き出すのだった。
「天戸さん。」
「え…。」
 映画館に着き、ウキウキした様子で辺りを見回している千穂を、悠也は呼びながら自身の方へと引っ張る。
「おっと!危ねぇじゃねぇか!」
 何故なら、前からチャラチャラした、くすんだ金髪の男が近付いて来る事に、千穂が気付かなかったからだ。それも、体当たりするかのように、千穂に向けて。
「す、すみません。」
「ちゃんと前見ろよ!慌てて止まったから、足を痛めたじゃねぇかよ!」
 ここで漸く自分が、男にぶつかりそうになっていた事に気が付いた千穂が、頭を下げて謝る。しかし、男はニヤけヅラで、大声出しながら文句を垂れる。
-あ、これ、絡まれてるやつやん。-
 恐縮した様子で謝る千穂を後目に、じっと男を見る悠也。
-そういえばコイツ、喫茶店に入る前に、見かけたような…。まさか、計画的にぶつかろうとしてきたのか?-
「せっかく映画観ようと思ってたのに、気分が台無しだぜ!どう落とし前つけてくれるんだ?あぁ!?」
-うわぁ…。めっちゃ凄んでるやんけ。絶対この後、『俺に付き合え』とか言い出すパターンだこれ。-
「申し訳ございません!直ぐに病院に行きましょう!お車は手配します!」
「な、何だコイツ…。い、いや!そう言う事を言いたいんじゃねぇ!おいお前!気分を台無しにした埋め合わせをしろ!」
 千穂の、常人からは絶対に出ないような言葉を聞き、男は言葉に詰まるが、勢いに任せてテンプレなセリフを吐く。
「えっと、私は何をすれば良いのでしょうか?」
「何だ?やけに従順じゃねぇか。まぁ、良い。そうだな。この後、俺とホテ「はい、ストップ。」…何だお前?話に割り込んでんじゃねぇよ!」
 千穂の態度に、少し気分を良くした男が、純真な彼女の前で、とんでもない事を口にしてしまう前に、割って入る悠也。
「この子の連れです。見てましたが、あなたもこの子に真っ直ぐ向かって来てましたよね?という事で、責任は五分五分ですよ。」
「は?何言ってるんだお前?舐めてんのか?」
 低い声を出しながら、悠也を睨み付ける男。だが、そんな視線に対して、悠也は冷ややかな視線を向けながら、真正面から対峙する。
-何か、全然怖くないな。前絡まれた時は、殴って逃走したい位には、恐怖を感じてたのに…。-
 以前、圭吾と街中を歩いてる時に、ぶつかったか何かで絡まれた事があるのだが、その時に比べて、相手を怖いとは全然思わない。というか、寧ろ邪魔だから、さっさと排除したいとだけ思う。
「別に舐めてませんよ。ただ「あぁん!?文句あるならはっきり言えや!!」…離してもらえますか?」
「ゆ、悠也さん。」
 話してる途中で、男から胸倉を掴まれる悠也。その光景に、流石の千穂も、怯えた様子を見せる。
「この時点で、暴行罪が成立してますよ?」
 胸倉を掴む右手を指さしながら、『犯罪ですよ』と、冷ややかに言う悠也。
「うるせぇ!俺はあの女と話してるんだ!お前は黙ってろ!」
 だが、寧ろ男の怒りに油を注いでしまったようで、プルプルと震えながら、空いた左手に拳を作る。
 それを見た悠也も、少し腰を落としながら、右手を握り込むのだった。
 カフェから出た悠也は、しみじみと呟くように言う。
「はい、また食べに来たいです。」
 千穂も同感だったようで、笑顔でそんな事を言っている。次は1人で来るのだろうか?
「さて、次はどこ行きますか?」
「う〜ん…。」
 全力でこのお出掛けを楽しみたいのか、深く考え込む千穂。
 それを見て、悠也は苦笑してしまう。
「まぁまぁ、そんなに悩まずに、気楽に決めましょうよ。時間があったら、また付き合いますから。」
「ほ、本当ですか?」
 考え込んでいた千穂は、パッと顔を上げると、悠也に一気に詰め寄って来る。
「ほ、本当ですよ。俺自身も楽しいですし。」
「そ、そう言っていただけると、とても嬉しいです。ご迷惑になってないか、心配でしたので…。」
 蕩けるような笑みを浮かべながら、胸を押える千穂。
 千穂の美貌に対して、少しは耐性が付いてきた悠也だったが、流石にこれには大ダメージを受けてしまう。
「…。」
「悠也さん?」
 顔を赤く染め上げ、ぼーっとしてしまっていた悠也に、千穂が首を傾げながら、顔を覗き込んでくる。
「…あ、す、すみません。ちょっと考え事してました。え、映画でもどうかな〜と思いまして。」
 惚けてしまっていたことに対し、必死に言い訳をする悠也。こんな事で意識してしまった事がバレれば、千穂から危険人物扱いを受けそうな気がしてならなかった。
「映画、というと、映画館ですか?普段は、自宅のシアタールームで1人で観てるので、是非行きたいです!」
「そ、そうですか。では、行きましょうか。」
 可哀想な情報と共に、自宅にシアタールームがあるという、驚きな事を言われて、どんな表情をすれば良いのか、分からなくなってしまう悠也。
 まぁそんな事は口に出せないので、気を取り直して、10階にある映画館へと、歩き出すのだった。
「天戸さん。」
「え…。」
 映画館に着き、ウキウキした様子で辺りを見回している千穂を、悠也は呼びながら自身の方へと引っ張る。
「おっと!危ねぇじゃねぇか!」
 何故なら、前からチャラチャラした、くすんだ金髪の男が近付いて来る事に、千穂が気付かなかったからだ。それも、体当たりするかのように、千穂に向けて。
「す、すみません。」
「ちゃんと前見ろよ!慌てて止まったから、足を痛めたじゃねぇかよ!」
 ここで漸く自分が、男にぶつかりそうになっていた事に気が付いた千穂が、頭を下げて謝る。しかし、男はニヤけヅラで、大声出しながら文句を垂れる。
-あ、これ、絡まれてるやつやん。-
 恐縮した様子で謝る千穂を後目に、じっと男を見る悠也。
-そういえばコイツ、喫茶店に入る前に、見かけたような…。まさか、計画的にぶつかろうとしてきたのか?-
「せっかく映画観ようと思ってたのに、気分が台無しだぜ!どう落とし前つけてくれるんだ?あぁ!?」
-うわぁ…。めっちゃ凄んでるやんけ。絶対この後、『俺に付き合え』とか言い出すパターンだこれ。-
「申し訳ございません!直ぐに病院に行きましょう!お車は手配します!」
「な、何だコイツ…。い、いや!そう言う事を言いたいんじゃねぇ!おいお前!気分を台無しにした埋め合わせをしろ!」
 千穂の、常人からは絶対に出ないような言葉を聞き、男は言葉に詰まるが、勢いに任せてテンプレなセリフを吐く。
「えっと、私は何をすれば良いのでしょうか?」
「何だ?やけに従順じゃねぇか。まぁ、良い。そうだな。この後、俺とホテ「はい、ストップ。」…何だお前?話に割り込んでんじゃねぇよ!」
 千穂の態度に、少し気分を良くした男が、純真な彼女の前で、とんでもない事を口にしてしまう前に、割って入る悠也。
「この子の連れです。見てましたが、あなたもこの子に真っ直ぐ向かって来てましたよね?という事で、責任は五分五分ですよ。」
「は?何言ってるんだお前?舐めてんのか?」
 低い声を出しながら、悠也を睨み付ける男。だが、そんな視線に対して、悠也は冷ややかな視線を向けながら、真正面から対峙する。
-何か、全然怖くないな。前絡まれた時は、殴って逃走したい位には、恐怖を感じてたのに…。-
 以前、圭吾と街中を歩いてる時に、ぶつかったか何かで絡まれた事があるのだが、その時に比べて、相手を怖いとは全然思わない。というか、寧ろ邪魔だから、さっさと排除したいとだけ思う。
「別に舐めてませんよ。ただ「あぁん!?文句あるならはっきり言えや!!」…離してもらえますか?」
「ゆ、悠也さん。」
 話してる途中で、男から胸倉を掴まれる悠也。その光景に、流石の千穂も、怯えた様子を見せる。
「この時点で、暴行罪が成立してますよ?」
 胸倉を掴む右手を指さしながら、『犯罪ですよ』と、冷ややかに言う悠也。
「うるせぇ!俺はあの女と話してるんだ!お前は黙ってろ!」
 だが、寧ろ男の怒りに油を注いでしまったようで、プルプルと震えながら、空いた左手に拳を作る。
 それを見た悠也も、少し腰を落としながら、右手を握り込むのだった。
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