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女神様(比喩)と出会って、人生変わりました

血迷ったトモ

第18話 お出掛け(2)

「あ、これなんてどうですか?」

「えと、分かりました…。」

 千穂から・・・・手渡された服を、悠也が・・・受け取って、更衣室へと向かう。
 この店に入ってからは、すっかり千穂に振り回されっぱなしの悠也。彼は、千穂が自分自身の服を見るつもりだと、すっかり思い込んでいたのだが、何故か千穂が悠也の服を選ぶという、謎の状況になっていた。

ーな、何この状況…。普通、こういうのって、女性が服を選んで、それを褒めるのが俺の役目では?ー

 死んだ目をしながら、千穂から手渡された服に、手早く着替える。待たせるのも悪いので、大人しく着せ替え人形と化しているのだった。

「しかし、自分で選ぶよりも、しっくり来るな。流石は女の子だ。」

鏡に移る自分を見て、感心したように呟く悠也。
  
「悠也さん?大丈夫ですか?」

「あ、はい、着替え終わりました。」

 中々カーテンを開けない悠也に、外から声がかかる。
 そのため、少し慌てながら返事をし、カーテンを開ける。

「とてもお似合いです!悠也さんは身長が高くて、シュッとしてるので、似合うと思ってたんです!それに、悠也さんはとても落ち着いた雰囲気なので、青、黒などがピッタリなんです!」

「そ、そうですか。それはどうも…。」

 嬉しいことには嬉しいのだが、彼女ほどの美少女からべた褒めされると、非常にむず痒く、素直に喜びきれないでいた。

「では、次はこちらをどうぞ!」

 興奮冷めやらぬ様子の千穂から、服を手渡される。
 そんな彼女の足元に置かれたカゴには、山盛りになった大量の服が詰め込まれていた。

「そ、そこにあるの全部?」

 『全部着なくちゃならないのか?』と、顔を引き攣らせながら訊ねると、千穂は満面の笑みを浮かべて言う。

「はい!勿論です!」

「そうですか…。分かりました。」

 そりゃあ悠也も年頃(?)の男だ。可愛い子からべた褒めされれば嬉しいが、それ以前に、服に無頓着で生きてきた。
 つまるところ、千穂の元気な返事は悠也にとって、死刑宣告にも等しいものだった。


 散々着せ替え人形をさせられ、千穂が冷静になった頃には、既に悠也のスタミナはゼロに近い頃であった。漸く解放された悠也は重い足取りだ。

「…。」

「…あの。」

「…はい。」

「すみませんでした!」

 疲れた表情で歩く悠也に、その隣を歩いていた千穂が、勢い良く頭を下げながら謝る。

「い、いや、確かに散々振り回された感じではあるけど、嫌なら嫌だと言ってるから、全然大丈夫ですよ。」

 深々と頭を下げる千穂に戸惑う悠也。

「し、しかし、つい興がのってしまい、長々と私の都合に付き合わせてしまいましたし…。」

「まぁ、実際のところ、めちゃくちゃ疲れましたね。正直、もう帰りたいかも…。」

 暗いトーンで呟く悠也。

「え…。」

 悠也の言葉にサッと顔を青くさせ、この世の終わりかのような、そんな絶望感を漂わせる千穂。

「まぁ、冗談なんですけど。」

 だが悠也は、ニヤリと笑いながら、おどけたように言う。

「え。冗談…?」

「はい、冗談です。」

「よ、良かったです…。てっきり怒らせてしまったのかと。」

 繰り返し冗談であることを強調すると、千穂はホッとしながら、胸を撫で下ろす。

「あはは。高々1時間、着せ替え人形をさせられた程度で怒るような、そんな狭量な人間じゃありませんよ。えぇ、高々1時間、着せ替え人形させられた程度では。」

「やっぱり怒ってらっしゃる!?」

 1時間も拘束された事を繰り返す悠也に対して、安堵した表情から一転、慌てた表情になる千穂。

「冗談です。」

「冗談なんですか!?」

「ふふっ。天戸さんは揶揄いがいがありますね。」

 今度は驚いた表情と、ころころ変わる千穂の表情を、面白いと感じた悠也は、思わず笑いながらそんな事を言ってしまう。

「なっ!ひ、酷いです!こっちは本当に申し訳無いと思ってるんですから!」

「す、すみません。つい、興がのってしまいました・・・・・・・・・・・。」

 ニヤリと笑いながら、全然、申し訳ないと思っているようには聞こえない謝罪をする。

「もう!次に行きましょう!」

「わ!ちょ、ちょっと!」

 顔を真っ赤にした千穂は、悠也の腕に勢い良く腕を絡ませながら、グイグイと衣料品店から遠ざかるように、足早に歩き始める。

 その後、10分はウロウロした頃、漸く千穂は落ち着いたのか、腕を絡ませたまま歩くペースを落とし始めた。

「次は、カフェとかどうでしょうか?」

 ただウロウロするのも時間の無駄なので、ここで悠也は思い切って自分の行きたい所を提案してみた。

「…はい、少し一休みしましょう。」

 すると、少しタイムラグがあったものの、悠也の提案は承認される。

「じゃあ、ここからだと近いのが…。あ、あそこか。」

 悠也が記憶から引っ張り出したのは、少しお高めな、1人で入るのには気後れしてしまうお店だった。

「じゃあ行きましょうか。」

「はい。」

 『何だかホントのデートみたいだなあ』と思い始め、苦笑い(千穂から見ると微笑み)を浮かべる悠也と、それを受けて純粋な笑みを浮かべる千穂。
 そんな2人に、不穏な影が近付いているのだが、そんなことは知る由もないのだった。

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