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女神様(比喩)と出会って、人生変わりました

血迷ったトモ

第13話 ナメてました

「では、今日の用件の2つ目に移らせて貰います。」

 また1口紅茶を飲み、気を落ち着かせる。

「はい。」

 千穂は、袋から出したぬいぐるみを膝に乗せ、聞く体勢になる。そんな千穂を見て、悠也は内心悶えてしまう。

ー何あの超絶尊い生き物!可愛すぎかよ!ちくしょう!ー

 固まっている悠也を見て、千穂は小首を傾げる。

「悠也さん?どうかしましたか?」

「いえ、何でもありません。では、本題ですが、謝礼の件についてです。」

 何とか取り繕った悠也は、真顔で話し始める。

「はい。」

「其方としては、何かしら謝礼をしなければ、気が済まないと仰っていましたが、具体的には、どのような物を考えていますか?」

 謝礼を一切受け取らないという選択肢を選ぶのは、千穂をそのように説き伏せねばならず、非常に骨が折れそうだと考えて、いっその事、先方に決めてもらう事にしたのだ。

ーこれぞ我が秘策!自分から欲しい物を言うのは、非常に気が引けるが、相手が言ってきた物であれば、こちらが負う精神的負荷は、だいぶ減らせる!そして何より、自分で考えなくて良いというのも、ポイントが高い!ー

 内心、めちゃくちゃ調子に乗っていたが、悠也は、根本的に、天戸千穂という存在を理解していなかった。いや、知識としては知っていたが、それがどういう事かを、考え至ってなかったのだ。
 彼女は、あまりにも桁違いに、金銭に恵まれていた。

「え〜っと、とかですかね?」

「は?何と?」

 千穂の口から出た言葉が、あまりにも想定外過ぎて、悠也は聞き間違いを疑った。

「ですから、島です。天戸家で整備して、管理している、リゾート気分が味わえる島の権利を、謝礼として渡そうかと思っていました。勿論、整備や管理は引き続きこちらで致します。」

「…。」

ーし、島ぁ!?あの、陸から離れた位置にある、海の真ん中の、よくコ〇ンとか〇田一とかで、殺人事件の舞台になる、英語で言うとIslandの、あの島か!?ー

 少し語弊があるが、高くても、海外の車程度・・だと思っていた悠也は、現実感の無い千穂の言葉を、受け入れきれずにいた。

「あと、贈与税や固定資産税についても、天戸家で雇っている弁護士と税理士に対策してもらいますし、その他の経費もこちらで負担させて貰います。」

「えっと、島はちょっと、高すぎるかな〜と。」

「そうですか?確か評価額は6億と少し位だと伺ってましたので、謝礼としては妥当だと思っていました。」

「6億!?」

「はい。インフラも整備してるので、それなりにはなったそうです。」

「インフラを整備…。」

ーお、恐るべし!天戸家!天戸家の財産をナメてたわ!そして、そんな権利を娘が他人に、ポンと簡単に渡せるような状態にした、天戸さんの御両親、何やってるんすか!?ー

 会った事すら無い、千穂の両親に物言いたくなった悠也。

「ほ、他にはありますか?」

 一抹の不安を覚えながらも、悠也は聞く。

「他に考えていた物は―――」

 だが、千穂の口から飛び出す、数々の信じられない言葉に、すっかり撃沈されてしまった悠也は、目から光を失ってしまった。

ー桁違いすぎぃ!会社に山に、東京ドーム数十個分の土地に、どっかのビルの権利に…。普通の人なら、一生涯手にする事の無い、やばいやつばっかりやん!そして、それをくれるという当の本人は、驚く俺を不思議に思ってるし!ー

「…えっと、すみません。ちょっと考えさせて下さい。」

「はい、分かりました。」

 頭を抱えて、必死に考える悠也。

ーか、考えろ、俺!このままじゃ、とんでもない物のオーナーになっちまうぞ!…こ、ここまでくると、テレビとかパソコンとか、ゲーム機本体とかでも良いのでは…?ー

 あまりにも桁違いな事を言われてしまい、少し感覚がぶっ壊れ始めた悠也は、そんな事を考える。

「で、では、こちらが指定する、テレビとゲーム機本体をセットでいただけないでしょうか?」

「何台ほどでしょうか?」

「え、1台ずつでお願いします。」

 まさか、台数を聞かれるとは思っておらず、悠也は戸惑いながらも答える。

「他には何かありますか?」

 さらにこちらの要求を聞こうとする千穂。

ー本来ならこのくらいで十分すぎるんだが…。さて、どうするか。ー

 悠也は、頭を悩ませる。控えめな事を言っても、どうせやばい数量や高品質のものを渡してくるに決まっているので、下手な事は言えないのだ。

「…そういえば、天戸さん、ゲームをされるんですよね?」

「はい。1人の事が多いので・・・・・・・・・、まともに楽しく遊べるのは、ゲームくらいでしたから。」

 今までに無いくらい暗い顔で言う千穂。その目からは、完全にハイライトが消え、今にも懐から凶器でも出しそうな雰囲気である。

ーやっべぇ!天戸さんの闇に触れちまった!は、早く話を戻さないと!ー

「で、では、天戸さんに、私がやるゲームを一緒にプレイして欲しいです。友達・・として。」

「お、お友達として、ですか。」

 『友達』という単語に、嬉しそうに反応する千穂。そんな千穂には気付かないフリをして、悠也は話を続ける。

「はい、そうです。自分が今欲しいゲームがですね、通信して、協力プレイが出来るんですけど、発売から大分経ってるので、皆から出遅れてるんです。」

「なるほど。それで、1人よりは2人という事で、私が悠也さんに協力すれば良いんですね?どんなゲーム何ですか?」

「モンスターをハントするゲームなんですが。」

「あ、それなら私、ちょうど持ってますし、ソロで攻略するのも辛くなってきてたので、ちょうど良かったです!」

「では…。」

「はい!喜んでお受けします!では、早速準備させていただきます!設置場所は、悠也さんのお部屋で良いですか?」

 ようやく話がまとまり、ソファに深く腰掛けた悠也に、千穂が良く分からないことを聞く。

「は?ま、まぁ、自分の部屋に置くつもりですが…。」

 戸惑いながらも、別に聞かれて困る事でも無いため、素直に答える。

「分かりました!では、ここは一旦お開きにしましょう!」

 何故かテンションが異様に高い千穂に、嫌な予感を感じつつも、取り敢えず帰路につく悠也だった。

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