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女神様(比喩)と出会って、人生変わりました

血迷ったトモ

第9話 彼女のペースに流されまくりです

「え?そんな事?ま、待って下さ…」

 耳に飛び込んできた言葉に、驚きを隠せないでいると、椅子から立ち上がった千穂は、実に楽しそうな笑顔を浮かべながら、悠也に勢い良く抱き着く。

「えい!」

「うわぁ!?」

 覚悟が決まっていなかったためか、その衝撃に耐えきれず、悠也は千穂に抱き着かれたまま、後ろに倒れ込む。
 それなりの痛みを覚悟する悠也だったが、後退りしていたお陰で、ギリギリだがベッドへ『ドサッ』と倒れる事なり、多少の衝撃だけで済んだ。

ーな、何で了承しちゃうんだよ!?てか、体勢が拙すぎる!天戸さんの全体重が乗ってるのに、軽いけど、柔らかさとか色々と感じて…!ー

 そこまで考えた悠也は、色々とヤバいので、耳まで真っ赤にしながら、制止させようと、必死に千穂に言う。

「ちょ、ちょっと待って下さい!その、冗談ですから!それに、結婚前の女の子が、よく知りもしない男に抱き着くのは、はしたないと思うんですが!」

 何やら時代錯誤な事を言い出す悠也。

「昨日は、あれだけの時間、ずっと抱き着いてたので、今更だと思いますよ?」

「そ、それはそうだけど!」

「それとも、私にこうされるのは嫌ですか?」

「え!?べ、別にそんな事は無いですが…。」

ー寧ろ嬉しいけども!こんな事をされたら、彼女が欲しくなっちゃうだろ!?折角、最近になって諦めの境地に突入したのに!ー

「なら良かったです!それに、私たちは、キス・・までした仲なんですから!」

「キ…ス…?はぁ!?キスゥ!?俺はした記憶無いぞ!?」

 千穂から告げられた、とんでもない言葉に、悠也はこれ以上無いほど、顔を赤くして、聞き返す。
 悠也の慌てっぷりに、千穂は妖しげに笑う。

「お友達の、圭吾さん、でしたっけ?その方に、伺ってみては如何でしょうか?」

「なん...だと!?圭吾の目の前でしたのか!?ま、まさか、俺が寝落ちしてる時に!?そ、そんな事勿体な…じゃなくて、何とんでもない事してくれてんのさ!」

 少し邪念が感じられるが、悠也は千穂に詰め寄る。しかし、ベッドの上で抱き着かれてるので、なんとも間抜けな絵ヅラになってしまっている。
 そのせいもあってか、千穂は悠也の言葉を軽く受け流してしまう。

「さて。取り敢えず、今日は・・・ここまでにしますね。」

 そう言いながら抱き着くのを止めて、立ち上がり、椅子に座り直す千穂。悠也には、それを追う気力も無く、ベッドに倒れ込んだまま聞き返す。

「今日は?」

「はい。この程度では、まだ恩を返せた事にはなりませんので、また何かさせて頂きます。」

「別に大丈「させて頂きます!」…はい。」

 有無を言わせぬ笑顔で言い放つ千穂に、大人しく頷くしかないようだ。

「ですので、連絡先を交換しましょう。」

「はぁ…。」

 ベッドから起き上がり、言われるがまま、悠也はチャットアプリのアカウントと、携帯の番号を教える。

ーまぁ、こっちから連絡する事はまず無いだろうし、これで一旦落ち着くなら安いものか…。ー

 そんな事を考えながら、追加されたばかりの千穂とのトーク画面を見ながら、心の中で溜息をついていると、今まで黙っていた瀬奈が、何やら茶色い紙袋を持ってきて、手渡してくる。

「悠也様。こちら、替えの服になります。」

「替えの服ですか?あ、洗濯してくれたんですね?」

 紙袋を受け取りながら、自分が着ていた服を、洗濯してくれたと思った悠也は、お礼を述べる。
 
「はい、洗濯させて頂きました。しかし、まだ乾いて無いので、代わりの物を用意させていただきました。」

「はい?」

「あー、困りましたねー、お嬢様ー。まだ服が乾いてないというのに、悠也様が帰られるだなんてー。これは、後日、もう一度この屋敷に来てもらうしかなさそうですー。」

「え。」

 唐突の棒読みを始める瀬奈についていけずに、呆然とする悠也。

「まぁ!それは困りましたね!」

「そこ。もう少し困った感じに言いなさい。」

 嬉しそうする千穂に、突っ込みを入れるが、瀬奈の暴走は止められない。

「あー。この屋敷には、引っ越してきたばかりで、乾燥機が無いのですー。だから、自然乾燥を待ってもらうしかありませーん。」

「い、いや、濡れたままでも…。」

「濡れたまま服を持ち帰ると、皺になってしまいます。メイドとして、それは看過できません。」

「いや、棒読みはどうしたんですか!?」

 棒読みを止めて、真面目な顔で言う瀬奈に、元気良く突っ込む。

「という事で、そちらに着替えて下さい。サイズはピッタリなはずです。」

「何故、俺のサイズにピッタリな服を持っているかは、あえて聞かない事にします。」

 相変わらずにこやかな千穂とは対照的に、ゲンナリとした様子の悠也。

「私とお嬢様はこの部屋から出ますので、着替え終わりましたら、お呼びください。」

「分かりました。ありがとうございます。」

 パタンとドアが閉まるのを見送った悠也は、大きな溜め息をついて、ベッドに座り込む。

「はぁ〜。退屈で変わり映えのしない日常には、ほとほと飽きてて、何か起これば良いとは思ったけど、こんな激動は望んでないぞ…。」

 ここで愚痴っても仕方ないので、悠也は服を着替え始めるのだった。

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