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女神様(比喩)と出会って、人生変わりました

血迷ったトモ

第8話 千穂からの話

「…ん。美味いな。」

 部屋の窓際に、机と椅子があっので、そこに腰を下ろし、話が始まる前に紅茶を1口飲む。悠也は別に、食通という訳でも無いが、そんな彼でも分かるほど、良い茶葉を使った紅茶のようだ。

「お褒めに預かり恐縮です。最高級のセイロンティーになります。」

「セイロンティー、ですか。聞いた事はありますが、飲むのは初めてです。」

 言いながら、もう1口飲み、『美味い』と呟く悠也。
 紅茶の効果なのか、少しはリラックス出来たため、対面に座る千穂に向かい直る。

「さて。話とは、一体何でしょうか?」

「話の前に、自己紹介から始めませんか?お互いにまだ、名前しか知らない状態ですので。」

 いきなり出鼻を挫かれる形となったが、ごもっともな提案のため頷く。

「…それもそうですね。じゃあ、まずは自分からで良いですか?」

「はい、お願いします。」

 『コホン』と咳払いをしながら、悠也は自己紹介を始める。

「えっと、私は、神田悠也です。身長は175センチ、体重は62キロくらいです。1997年5月28日生まれで、今年で21になりました。都内の大学に通っています。好きな食べ物は和菓子全般で、嫌いな食べ物は海鮮系です。無理をすれば、食べられなくも無いです。」

 この辺りで終わりにしようと、千穂に視線を向けると、笑顔で頷いており、その目は『他には!?』とでも言いたげな感じだったので、もう少し続ける事にする。

「趣味はゲームで、運動もたまにしてます。」

「彼女はいますか?」

 ここで、千穂から質問が来るが、その内容に、悠也の頬がぴくりと動く。

「…いません。いたこともありません。以上で良いですか?」

 自身の返答に、やけに満足気な千穂を見て、疑問符が浮かぶが、これ以上、心を抉られないように、自己紹介タイムを終わらせたい悠也。

「そうですね。これから知っていけば良いですし。では、次は私ですね。」

「お願いします。」

 悠也は、『これから』という言葉に、疑問を感じるが、面倒なので特には突っ込まずに流す。

「私は、天戸千穂です。2000年12月5日生まれで、今年で18歳です。好きな食べ物は、メロンで、嫌いな食べ物は特にはありません。趣味はダンスで、あと、少しだけですが、ゲームとかもします。夏休み明けから、この市の高校に、通う事になっています。私も、誰ともお付き合いした事はありません!」

 やけに最後の一文を強調する千穂。言われなくとも、彼女と付き合えるような勇者は、中々居ないことは想像つくし、また、彼女のお眼鏡にかなうような男も居ないことは、容易に理解出来る。

「そ、そうですか。えっと、では、本題に入りましょうか。」

 何だか妙な空気になってしまったが、いつまでも母を待たせてしまうと、その内、癇癪を起こしそうなので、早々に切り上げたいと考え、話を促す。

「はい、分かりました。本題というのは、助けて頂いたことに関しての、謝礼についてです。」

「え?謝礼ですか?」

「はい。」

「いや、良いですよ、そんなもの。昨日も言いましたが、自己満足のために動いた結果ですから、気になさらないで下さい!」

「ですが、謝礼を差し上げないと、気が済みませんから、どうか受け取って貰いたいのです!」

「ん〜。」

 眉を寄せ、困った様な声を出す悠也に、いきなり顔を寄せて、耳元で囁く千穂。

「無制限には無理ですが、私に可能な事であれば、何でもしますし、ご用意させてもらいますよ。」

「い、いや!大丈夫ですから!」

 顔が近い上に、千穂がやけに色っぽく感じ、慌てて椅子を後ろに引き、距離をとる悠也。

「あ〜、じゃあ、貸1つという事で、私が困ったら、手を貸すというのはどうでしょうか?」

 『良い案を思いついた!』とばかりに、笑顔で提案する悠也。

「とか言って、そのまま有耶無耶にされそうなので却下です。」

 しかし、そんな彼の魂胆を見事に見抜いた千穂は、にべもなく切り捨てる。

「うっ!」

「私にしてもらいたい事とか、欲しいものとかは、無いんですか?」

 キラキラとした目で見詰められる悠也は、居心地が非常に悪くて、早く帰りたい気分になってしまった。

ー彼女からの好意が痛い!こ、こうなったら、ドン引きされる様な要求をして、さっさと軽蔑されて帰ってやる!ー

 腹を括り、真っ直ぐに千穂を見ながら、口を開く。

「な、なら、その、えーっとですね…。」

「はい、何でしょう?」

 漸く希望を告げる素振りを見せた悠也に、嬉しそうに聞き返す千穂。
 対して悠也は、顔を少し赤くして、非常に言いにくそうだ。

「その、だ、抱き締めて頂けないでしょうか!?」

 この男、人が良すぎるのか、ドン引きされるような事を言うとか腹を括っておきながら、その程度の事しか言えなかった。それこそ、○○(自主規制)せてくれとか、俺と付き合えとか言えば、間違いなく殴り飛ばされて、つまみ出されそうなものなのだが。
 しかし、ほぼほぼ初対面の人の女の子に、こんな事を言えば、間違いなくキモがられるだろうから、悠也の選択はあながち間違ってない。だが、千穂からは、彼の予想からは大きく外れた反応が返ってきた。

「え?そんな事で良いんですか?」

「あ、いや、冗談です!ごめんなさい!って、え?そんな事?」

 言っておいて、怖気付いたのか、慌てて立ち上がって、ベッドの方に後退りしながら、謝る悠也の耳に入ってきた言葉は、あまりにも予想外の言葉だった。

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