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女神様(比喩)と出会って、人生変わりました

血迷ったトモ

第6話 謎の部屋で目覚めました

「う、ん〜…。ん?」

 悠也は、呻き声をあげながら、大きなベッドの上で、目を覚ます。

「ん…。知らない、天井だ…。」

 寝起きで、回転が鈍い頭が、時間経過とと共に、冴えてきて、自身の置かれている状況について、疑問を覚え始めた。

「俺は、強盗を倒した後…そう、天戸さんに抱き締められて…。」

 千穂の柔らかさなどを思い起こし、顔を赤らめる悠也。

「えっと、それから、お疲れ様と言われて…。寝たのか!?」

 ベッドの上で、頭を抱えて丸くなる悠也。
 年齢は分からないが、恐らくは年下である少女の胸で眠るなど、恥以外の何ものでも無い。

「く、くそぅ。とんだ恥を晒しちまった。次に圭吾に会ったら、なんて言われるんだろうか…。」

 圭吾にからかわれる未来を想像し、項垂れる悠也の耳に、『ピコン』という音が聞こえる。
 音の方を見ると、彼の携帯が、枕元に置いてあるのが見えた。

「俺の携帯か。今は…8月3日、13時30分…。あ!バイトの時間!」

 シフトを、12時から入れているのを思い出した悠也は、慌てて着信履歴を見る。しかし、履歴には何も無く、代わりにチャットアプリの方に、シフト担当の矢口やぐちから連絡が来ていた。
 慌てて開くが、その文面を見て、悠也は気の抜けた声を出してしまう。

「へ?」

『おはようございます、神田悠也さん。昨日は大変お疲れ様でした。強盗を見事に倒して、従業員とお客様を救ってくれたそうですね。店舗にも被害はありませんでした。
 と、このように大活躍してくれたので、暫く休養を取るようにと、店長から通達がありましたので、これから先の、1週間は、お休みにしておきました。
 お給料に関しては、入っていれば貰えた金額プラス、それに数万円足した報奨金が、本社から悠也さんの口座に振り込まれることになるので、ご安心して下さい。
 1週間後、復帰がまだ出来そうになかったら、連絡をして頂ければ、休みにさせていただきますので、遠慮なく言ってください。』

 全て読み終えた悠也は、『はぁ…』とため息をつく。

「1週間休みって、暇すぎん?」

 しかし、喜んで働くような勤勉者でもないので、謹んで好意を受け取るのだが。
 ベッドの上で伸びをしつつ、悠也はチャットアプリをスライドする。

「うわぁ…。母さんから、着信がめっちゃ入ってる…。95件って…。」

 その件数の多さに、ドン引きしながら、悠也は母の神田由紀ゆきと連絡を取ろうと、コールしてみる。
 すると、コール音が1回鳴った後、通話が直ぐに繋がる。

「あ、もしもし、母さ『もしもし!?ゆうちゃん!?大丈夫なの!?』ん。うるせぇ…。」

 大声を耳元で受けた悠也は、片目を瞑りながら、携帯を耳から離す。

「あー、母さん?ちょっと落ち着いてくれない?」

『これが落ち着いて居られますか!息子が、無断で外泊をしたのよ!?反抗期が一切無いから油断していたわ!』

「いや、あのさ、俺は別に、何か不満があって、連絡も無しに外泊したんじゃないぞ?」

『え?そうなの?なら最初からそう言ってよ!』

「いや、母さんが人の話も聞かずに、ベラベラと一方的に騒いでただけだろ?」

 異様にエキサイトしている自身の母に、うんざりとしながら、悠也はため息をつく。

『それで、一体どうしたのよ?何処に居るの?昨日は強盗をぶっ殺した後、親族を名乗るヤツらが、ゆうちゃんを誘拐したって所までは、聞いてるんだけど。』

 とんでもない誤情報に、悠也は大声で訂正を入れる。

「いや、殺してねぇよ!つか誘拐って何やねん!誘拐されてるなら、何で今アンタと通話出来るんだよ!」

『あら、殺してないの?ゆうちゃんの事だから、後腐れなく、きっちりトドメを刺しているものだと。』

「確かに、報復が怖いから、どうせならトドメを刺しても良かったかな…って良くねぇ!過剰防衛でしょっぴかれるわ!」

 どこまでもマイペースな母に、段々頭が痛くなってくる悠也。

「はぁ。俺の今の状況を伝えるから、耳をかっぽじって、良く聞いてくれ。昨日、緊張の糸が切れたのか、強盗を倒した後、そのまま眠っちまったみたいだ。で、その後の記憶は一切なく、さっきまでぐっすり眠っていた。」

『ふむふむ。』

「で、目が覚めたら、ベッドに寝かせられてて…あれ?服が変わってる。」

 改めて自分の格好を見て、バイト用の制服・ジーパンから、ラフな寝巻きになっている事に気が付いた。

「ま、まぁ良いか。で、俺が寝てた部屋は、異様に高級感溢れる部屋で、近くに人の気配はなく、生活音も…しないな。けど、掃除はされてるみたいで、部屋は綺麗だ。」

 周囲を見渡し、悠也は部屋の隅々まで細かく観察する。

『高級感溢れる部屋ねぇ…。ゆうちゃん、地図アプリで位置情報は分からないの?』

 そんな悠也に、実に簡単な解決法を提案する由紀。

「あぁ!その手があったか!ちょい待って。」

 普段なら直ぐに思い付きそうなものだが、すっかり気が動転していて、正常な思考力を取り戻せていなかったのだろう。
 
「えっと、現在位置は…。うちの市の郊外だな。家から車で15分ってところだ。あ、位置情報を送信するから、迎えを頼める?」

『えぇ!勿論!私に無断でゆうちゃんを連れ去った野郎共のツラを拝んでやりたいし、直ぐに行くわね!』

 直ぐに、『プツッ』と通話が切れる音がする。

「さて、ここは一体、誰の家なんだろうか?」

 地図上では、特に何かの施設という情報も無かったので、誰かの家だと考えるのが自然なのだが、1つ、疑問があった。

「こんな豪勢な家、この辺りにあったか?」

 少なくとも、ここ1年より前に、この辺りに人が住んでいるような家は無かった筈なので、首を傾げる悠也。
 そんな彼の視界に、とある物が入ってくるのだった。

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