感情を覚えた令嬢

パンデミック

令嬢と婚約者

幼い頃から王妃にになるために育てられた令嬢。



王妃は感情を出してはいけない、王妃になるのだからこうしなさい、ああしなさい、呪いのようにずっと言われ続けていた言葉。



その言葉がこびり付いて離れない。



令嬢は勤勉で、そしてとても美しかった。



カラスの羽のように黒く艶やかな髪、アメジストをはめ込んだ様に美しい目。



本当に天使のように美しかった。



ただその目は何も写すことは無かった。



令嬢は家族に愛されて育ってきた。



ただ愛の形がいつの間にか歪んでいってしまった。



優しく暖かかった愛情が強く押し付けるだけの愛情になった。

 
 
ただ苦しかった、逃げたかった、王妃になるために失くした感情が本当になくなってしまったのだ。



令嬢が婚約者に初めて会った時、一目惚れだった。



溶けた金色が糸になったかのような金髪、空を吸い込んだような碧眼、令嬢は婚約者に恋をした。



婚約者も令嬢に歩み寄った、優しく、ゆっくりと。



喜んだ時に少しだけ上がる口角がとても可愛かった。



婚約者と令嬢はしっかりとした関係を保ち続けた。



周りの人間に何を言われようと、2人はしっかりとした距離を保ち続けた。



数年がたったある年、令嬢と婚約者は学園に通うようになる。

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