リンドウ

翠 心【すい こころ】

15歳の少女、殺し屋。

「Hello, Fran. Is your job going well?」(やあ、フラン。仕事は順調かい?)

「Well, it's very good. Ends this week.」(えぇ、とっても順調。今週中にでも終わらせるわ)

電話先の上司、ズドラチカにそう返事をした。

「…Sorry. My husband is calling me」(ごめんなさい。夫が私を呼んでいるわ)

そう言って電話を着ると同時にリビングから夫の声が聞こえる。

「Fran, come here.」(フラン、こっちにおいで)

「Ok.」

今日で終わらせるわ。こんな偽の夫婦なんかごめんだもの。

私はブラウスを脱ぎながら夫に近づいた。テロ組織の幹部の男。私は男の顔に滑らせる。初めて見た時はびっくりしたわ。もっと強面の人だと思っていたのだもの。男の手が私の腰に回った時、私は背面からナイフを突き立てた。

「Goodbye, dear one」(さようなら、愛しい人。)

男の耳元でそう囁いて、乱暴にナイフを抜いた。

男は私を抱きしめながら死んでいった。


男に布団をかぶせてあげて、床の血をふいたら、自分の荷物をまとめて、ズドラチカの元へ向かう。

正確には、ズドラチカと「Gentian」の、本部へ向かう。

爪の血が落ちなくて、マニキュアみたいになった。


15歳の少女の爪は、飾られていない。

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