マギカドールと一緒に異世界生活
プロローグその1
俺の人生は碌な物ではなかった。いいや、この言い方では他人に責任転嫁をしているだけだ。正確には碌な人生を送ろうとしなかっただ。
こんな事を言っていたら責任逃れで自殺したとかじゃあない。普通に生活を送っていたら、殺人事件に巻き込まれて殺されてしまったのだ。うん、これは仕方ないな。だって、仕事で会社が所有している屋外にある倉庫の整理をしに中に入ったら、倉庫内に逃亡中の殺人犯が隠れててそいつにいきなり背後から刃物で刺されたんだから、どうやって逃げろというのだ。
そんな俺は今
「はぁ、転生ですか…」
「う、うむ。正確には転移という事になるじゃろうな」
「で、でも、5歳位の肉体に魂を転移させますから、転生みたいな感じでも間違いではありませんね」
只々広大に広がる真っ白な世界に、俺を含めて3人の人物が居た。1人は当然俺、後の2人は若い女性で自分を女神と名乗る人物、もう1人は男性の老人で女性と同じで自分を男神と名乗る人物。そんなある意味カオスな世界で俺たちは小さなちゃぶ台を囲み茶を啜り、俺は今の状況の説明を受けていた。
「でも、本当に良いんでしょうか?」
「な、何がじゃ?」
「俺は、知っての通り碌な人生を送りませんでした。多くの人達、特に両親に多大な迷惑を掛け、そして最後には両親よりも先に死んでしまうという、最も酷い親不孝をしました。そんな俺が、新しい生を貰って良いのかなって。何だか、絶対にやってはいけない順番飛ばしをしている。そんな気になっちゃって」
「確かに、お主は碌な人生を歩んで来なかったかもしれない」
「ですが、どんな人でも生きる権利を持っています。そこに善人も悪人も関係ありません。ですから、貴方も生きて良いんです。それくらいの権利は貴方にもあるんです」
「まあ、ぶっちゃけるとお主より酷い人生を送って来た人間は多く居るし、それと同じくらい今でも酷い人生を送っている人間は多く居る。そう自分の人生という歴史を悪く言う物ではない」
「もう、自分を許してあげても良いのではありませんか?」
「はい、ありがとうございます…」
俺は神様達の言葉に涙を流した。生きていた当時、母親に見限られ父親はこんな俺なんかと一緒に居てくれて助けてくれた。
けれど、それは母に見限られた俺を同情と親としての役割だからという事らしい。当然だろう。俺も自分の事をずっと許せなかった。いや、誰よりも大っ嫌いだ。俺の人生は責任転嫁して逃げるか、欲望を貪って欲求を満たすかのどちらかだった。
そんな自分を許せなくて、でもやっぱり自分を変える事が出来なくて、自分で自分を憎んでいた。だけど、今彼等に俺は許された様なそんな気がした。
俺は今まで生きてちゃいけない、そんな事を考えていた。誰かが許してくれても、絶対に俺自身は俺の事を許してはいけないと、まるで念仏でも唱える様に自分に言い聞かせてきた。
でも、彼等の言葉に救われた気がした。心が軽くなり、今までの自分を少しは許してやっても良いのかもしれない。そんな風に思える様になってきた。そして俺の眼からは自然と涙が溢れてきて少しの間声を押し殺しながら泣いたのだった。
「お見苦しい所をお見せしました」
「何、気にせんでえぇ。儂等にとってお主等は等しく子供の様なものじゃ」
「ふふ、良かった。貴方も他の方と変わりなさそうで」
「え?」
「ここに来た方は、最初は大なり小なり動揺する物です。でも、貴方ったらまるで悟りでも開いたかの様に冷静何ですもん。こちらが驚きましたわ。でも、ちゃんと人間みたいで安心しました」
正直、何処か皮肉じみているが恐らく本音なのだろう。だって、2人とも凄く嬉しそうというか、凄くホッとした顔をしているんだもの。すると、女神様がポンと手を叩いた。
「それじゃぁ改めて自己紹介をしましょうか、私は貴方が転移するアースランドの神カトレーナです」
「儂は、地球の神オーディナルじゃ」
「俺は知っての通り、フリーターの四宮寿明です」
お互いに頭を下げると「それでは」とカトレーナ様が話を進めた。
「トシアキさんは転移先であるアースランドでどんな事を行ってみたいですか?」
「やりたい事…どんな事が出来るんですか?」
「どんな事でも出来る。と、言いたいところじゃが、アースランドは所謂ファンタジーな世界じゃからな」
「何でもは出来る訳じゃないですけど、トシアキさんがやりたいと思った事をやったら良いんですよ。もちろん、あちらの世界にもルールや法律がありますから、それさえ守ってもらえれば大丈夫ですから」
俺はしばらく考え込んだ。それで、ふと声に出た言葉があった。
「魔法。魔法が使いたい!」
「なるほど、魔法ですか。では、魔法で何がしたいですか?」
どんな事、正直考えてなかった。ただ漠然と使ってみたいと思っただけだから。それじゃあ、1つずつ考えてみよう。
それじゃあまずは、俺は魔法を使って冒険がしたいか?→YES
次、魔法を使って誰かを傷つけたいか?→NO
次、魔法を調べてみたいか?→YES
次、魔法で何か作ってみたいか?→YES
次、魔法で何が造りたい?→…
その問いに即答は出来なかったが、1つ思い浮かんだ事がある。それは、昔見たアニメだった。
「魔法の研究をして魔法を極めたり、新しい魔法を作ったりしたいですし、後は魔法を使ってロボットみたいなの造りたいです!」
「ロボットか?」
「ロボットっと言うか人形言うか何ですけど、ちゃんと感情がある物を造りたいんです!」
「魔法の研究か。ならば、全属性の魔法適正と耐性を与えてはどうじゃ?器用貧乏になってしまうという欠点はあるが、戦いに使いたいわけじゃあないなら気にならんじゃろ」
「魔法でロボットが造りたいなら、その手の専門的知識が必要ですよね。そういった知識が手に入るスキルがあったかしら」
2人は俺の事についてあーだこーだと話し合ってくれた。もちろん、俺も話に加わりこんなのがいいんじゃないか?あんなのがあればいいんじゃないか?と意見していた。
そして、スキル等の事に話が纏まると次は転移後の話になった。転移後の話は、スキルの事よりも早く纏まった。転移後は、どの転移者も1人で人気の無い場所に転移する為、俺は産まれた直後に両親は死亡し、祖父母に育てられたが5歳 (転移直後の年)に死亡した。という設定になった。ちなみに両親の死亡理由は知らず、祖父母は急死したという事になった。
「ところで、何で俺だったんですか?」
「ん?どういう事じゃ?」
「いや、さっきの順番飛ばしじゃないですけど、俺以外にも亡くなった方はたくさん居るわけじゃあないですか。それなのに、何で俺なのかな?っと思って」
「フフフ、別に貴方が特別だという訳ではないんですよ」
「じゃあ何で?」
「簡単に言えばくじ引きみたいなもんじゃよ。どの世界のどの星にも魔力が満ちておるんじゃが、アースランドの魔力は枯渇仕掛けておっての、それを定期的に地球から人の魂と一緒に魔力を送っておるのじゃ」
「何で魔力だけを送らないんですか?」
「送らないんじゃなくて送れないんです。地球のある世界とアースランドの世界には分厚い壁の様な物があり、魔力だけだとそれを破る事は出来ません。なので私たちが地球人をあちらに送る際に、出来る穴に魔力をを通しアースランドの魔力を補充するんです」
「星から魔力が無くなると魔獣や魔法が無くなってしまうんじゃよ」
その後も色々茶を啜りながら色々な話を聞いていると、身体が光を放ちだした。そしてゆっくりゆっくりと体が宙に浮かびはじめた。俺が困惑していると、2人は嬉しそうで寂しそうな顔をしていた。
「どうやら、時間が来たようじゃの」
「安心して、私は何時でも貴方の事を見守りオーディナルに共有するから」
「それと、あまり畏まらんでも良い。これからはお前さんとして正直に生きていくと良い」
「…はい!いや、分かったよオーディナル、カトレーナ!」
「街に行ったら協会に寄ってみるといい!神託のスキルがあれば、儂等と少しだけ話が出来るだろうからのぅ」
「ああ、分かったそうする!」
徐々に意識が薄れてきた。まるで眠くなる時の感覚に近かった。最後には寝落ちでもする様に意識が消えていった。
こんな事を言っていたら責任逃れで自殺したとかじゃあない。普通に生活を送っていたら、殺人事件に巻き込まれて殺されてしまったのだ。うん、これは仕方ないな。だって、仕事で会社が所有している屋外にある倉庫の整理をしに中に入ったら、倉庫内に逃亡中の殺人犯が隠れててそいつにいきなり背後から刃物で刺されたんだから、どうやって逃げろというのだ。
そんな俺は今
「はぁ、転生ですか…」
「う、うむ。正確には転移という事になるじゃろうな」
「で、でも、5歳位の肉体に魂を転移させますから、転生みたいな感じでも間違いではありませんね」
只々広大に広がる真っ白な世界に、俺を含めて3人の人物が居た。1人は当然俺、後の2人は若い女性で自分を女神と名乗る人物、もう1人は男性の老人で女性と同じで自分を男神と名乗る人物。そんなある意味カオスな世界で俺たちは小さなちゃぶ台を囲み茶を啜り、俺は今の状況の説明を受けていた。
「でも、本当に良いんでしょうか?」
「な、何がじゃ?」
「俺は、知っての通り碌な人生を送りませんでした。多くの人達、特に両親に多大な迷惑を掛け、そして最後には両親よりも先に死んでしまうという、最も酷い親不孝をしました。そんな俺が、新しい生を貰って良いのかなって。何だか、絶対にやってはいけない順番飛ばしをしている。そんな気になっちゃって」
「確かに、お主は碌な人生を歩んで来なかったかもしれない」
「ですが、どんな人でも生きる権利を持っています。そこに善人も悪人も関係ありません。ですから、貴方も生きて良いんです。それくらいの権利は貴方にもあるんです」
「まあ、ぶっちゃけるとお主より酷い人生を送って来た人間は多く居るし、それと同じくらい今でも酷い人生を送っている人間は多く居る。そう自分の人生という歴史を悪く言う物ではない」
「もう、自分を許してあげても良いのではありませんか?」
「はい、ありがとうございます…」
俺は神様達の言葉に涙を流した。生きていた当時、母親に見限られ父親はこんな俺なんかと一緒に居てくれて助けてくれた。
けれど、それは母に見限られた俺を同情と親としての役割だからという事らしい。当然だろう。俺も自分の事をずっと許せなかった。いや、誰よりも大っ嫌いだ。俺の人生は責任転嫁して逃げるか、欲望を貪って欲求を満たすかのどちらかだった。
そんな自分を許せなくて、でもやっぱり自分を変える事が出来なくて、自分で自分を憎んでいた。だけど、今彼等に俺は許された様なそんな気がした。
俺は今まで生きてちゃいけない、そんな事を考えていた。誰かが許してくれても、絶対に俺自身は俺の事を許してはいけないと、まるで念仏でも唱える様に自分に言い聞かせてきた。
でも、彼等の言葉に救われた気がした。心が軽くなり、今までの自分を少しは許してやっても良いのかもしれない。そんな風に思える様になってきた。そして俺の眼からは自然と涙が溢れてきて少しの間声を押し殺しながら泣いたのだった。
「お見苦しい所をお見せしました」
「何、気にせんでえぇ。儂等にとってお主等は等しく子供の様なものじゃ」
「ふふ、良かった。貴方も他の方と変わりなさそうで」
「え?」
「ここに来た方は、最初は大なり小なり動揺する物です。でも、貴方ったらまるで悟りでも開いたかの様に冷静何ですもん。こちらが驚きましたわ。でも、ちゃんと人間みたいで安心しました」
正直、何処か皮肉じみているが恐らく本音なのだろう。だって、2人とも凄く嬉しそうというか、凄くホッとした顔をしているんだもの。すると、女神様がポンと手を叩いた。
「それじゃぁ改めて自己紹介をしましょうか、私は貴方が転移するアースランドの神カトレーナです」
「儂は、地球の神オーディナルじゃ」
「俺は知っての通り、フリーターの四宮寿明です」
お互いに頭を下げると「それでは」とカトレーナ様が話を進めた。
「トシアキさんは転移先であるアースランドでどんな事を行ってみたいですか?」
「やりたい事…どんな事が出来るんですか?」
「どんな事でも出来る。と、言いたいところじゃが、アースランドは所謂ファンタジーな世界じゃからな」
「何でもは出来る訳じゃないですけど、トシアキさんがやりたいと思った事をやったら良いんですよ。もちろん、あちらの世界にもルールや法律がありますから、それさえ守ってもらえれば大丈夫ですから」
俺はしばらく考え込んだ。それで、ふと声に出た言葉があった。
「魔法。魔法が使いたい!」
「なるほど、魔法ですか。では、魔法で何がしたいですか?」
どんな事、正直考えてなかった。ただ漠然と使ってみたいと思っただけだから。それじゃあ、1つずつ考えてみよう。
それじゃあまずは、俺は魔法を使って冒険がしたいか?→YES
次、魔法を使って誰かを傷つけたいか?→NO
次、魔法を調べてみたいか?→YES
次、魔法で何か作ってみたいか?→YES
次、魔法で何が造りたい?→…
その問いに即答は出来なかったが、1つ思い浮かんだ事がある。それは、昔見たアニメだった。
「魔法の研究をして魔法を極めたり、新しい魔法を作ったりしたいですし、後は魔法を使ってロボットみたいなの造りたいです!」
「ロボットか?」
「ロボットっと言うか人形言うか何ですけど、ちゃんと感情がある物を造りたいんです!」
「魔法の研究か。ならば、全属性の魔法適正と耐性を与えてはどうじゃ?器用貧乏になってしまうという欠点はあるが、戦いに使いたいわけじゃあないなら気にならんじゃろ」
「魔法でロボットが造りたいなら、その手の専門的知識が必要ですよね。そういった知識が手に入るスキルがあったかしら」
2人は俺の事についてあーだこーだと話し合ってくれた。もちろん、俺も話に加わりこんなのがいいんじゃないか?あんなのがあればいいんじゃないか?と意見していた。
そして、スキル等の事に話が纏まると次は転移後の話になった。転移後の話は、スキルの事よりも早く纏まった。転移後は、どの転移者も1人で人気の無い場所に転移する為、俺は産まれた直後に両親は死亡し、祖父母に育てられたが5歳 (転移直後の年)に死亡した。という設定になった。ちなみに両親の死亡理由は知らず、祖父母は急死したという事になった。
「ところで、何で俺だったんですか?」
「ん?どういう事じゃ?」
「いや、さっきの順番飛ばしじゃないですけど、俺以外にも亡くなった方はたくさん居るわけじゃあないですか。それなのに、何で俺なのかな?っと思って」
「フフフ、別に貴方が特別だという訳ではないんですよ」
「じゃあ何で?」
「簡単に言えばくじ引きみたいなもんじゃよ。どの世界のどの星にも魔力が満ちておるんじゃが、アースランドの魔力は枯渇仕掛けておっての、それを定期的に地球から人の魂と一緒に魔力を送っておるのじゃ」
「何で魔力だけを送らないんですか?」
「送らないんじゃなくて送れないんです。地球のある世界とアースランドの世界には分厚い壁の様な物があり、魔力だけだとそれを破る事は出来ません。なので私たちが地球人をあちらに送る際に、出来る穴に魔力をを通しアースランドの魔力を補充するんです」
「星から魔力が無くなると魔獣や魔法が無くなってしまうんじゃよ」
その後も色々茶を啜りながら色々な話を聞いていると、身体が光を放ちだした。そしてゆっくりゆっくりと体が宙に浮かびはじめた。俺が困惑していると、2人は嬉しそうで寂しそうな顔をしていた。
「どうやら、時間が来たようじゃの」
「安心して、私は何時でも貴方の事を見守りオーディナルに共有するから」
「それと、あまり畏まらんでも良い。これからはお前さんとして正直に生きていくと良い」
「…はい!いや、分かったよオーディナル、カトレーナ!」
「街に行ったら協会に寄ってみるといい!神託のスキルがあれば、儂等と少しだけ話が出来るだろうからのぅ」
「ああ、分かったそうする!」
徐々に意識が薄れてきた。まるで眠くなる時の感覚に近かった。最後には寝落ちでもする様に意識が消えていった。
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