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シスコンの兄、ブラコンの妹、学園に通う!?~国王に協調性を身に付けろとか言われて学園に通うことになりました~

白い彼岸花

6話

「じゃあ、行くか紫苑。」

 いつも通りに俺が敵に突っ込みに行こうとすると、紫苑がそれを止めた。

「まって、お兄ちゃん……。私、試してみたいことがあって、だから今回は私がやってもいい……?」

不安そうに聞く紫苑に

「にいちゃんが、お前のやりたいことをダメだって言ったことないだろ?」

 そう言い、俺は紫苑の頭を撫でる。妹には、好きなことをさせてやるのも兄の仕事と言うわけだ。

「あ、でも千冬様に怪我だけはさせないように注意しろよ。俺達が傷つけた、なんてて知ったら、あの老害た……老人達になに言われるか分かったもんじゃない。」

「わかった……。なるべくそうならないように頑張る。」

そこは、嘘でも”りょーかい”って、兄ちゃんは言ってほしかったよ。

 紫苑は一歩前にでると
「創造(クリエイト)……。」
と、呟いた。

 その瞬間、白い薔薇が辺りに咲き乱れ、パキパキパキという音と共に、周辺が凍りついた。
草も木も凍り、スパイダーも動かなくなっていた。

「ん……実験、成功……。」

 すぐに、ああ、そういうことか。と理解した。

                       ・・・・・・・・
辺りが一面凍りついている中、千冬様の周りだけは凍っていなかった。

 丸い円で囲むように千冬様の足元だけは変わらずに草が茂っている。

 紫苑は満足そうに頷くと、指をならした。

そのとたん、凍っていたスパイダー達はパリンッという音をたて、砕け、それと同時に、白い薔薇が花弁を撒き散らし、凍っていた周辺がもとに戻る。

それだけで、すべてが終わった……。

「ふぅ。お兄ちゃん、任務も終わったし……そろそろ、帰ろ?」

「そうだな。んじゃ、帰るか。」


 はぁ。やっと帰れる。
俺達が来た道を戻ろうとしたとき千冬様がそれを止めた。

「ちょっと待て!!お前達は”色なし”のはずだろう!?なんで能力が使えるんだ!?」

色なし……。

 この世界には能力があり、能力を使うと体の一部の色が変化するため、使える者は『色の能力者』と呼ばれている。

 色を持っていない者は『色なし』と呼ばれ、能力を使うことはできない。

そして、俺も紫苑も『色なし』だ。

「私達は、イレギュラー……。」

「つまり色を持ってなくても能力が使える異端者だ。だから、能力が使える。」

 そう言い捨て、帰ろうとしたときに、ふとさっきの言葉を思い出した。

「そういえば、なんでお互いにそんなに信用できるのか。だったな?お前の質問。」

 いきなり話題を振られ、一瞬なんの話をしているのかわからなかったのか千冬様は少し考え、思い出したのか「ああ。」と頷いた。

「その答えは、 お互いがお互いを理解し、認めあっているからだ。お互いに理解してるからこそ、俺は紫苑が裏切らないと断言できるし、紫苑も俺のことを信用できる。じゃあな、千冬様。」

俺は千冬様に軽く手を振ると、そのまま紫苑と手を繋いで帰った。

                     ■

「任務御苦労じゃった。千冬殿。」

 千冬は任務が終わり、真っ先に国王へ報告をしに行った。
玉座に国王が座っている。

いつもと違うのは、いつも国王の隣にいる護衛が今日はいないことだろうか……。

「はっ。今回五十人いた兵は三十七人が任務で死亡しました。私の力不足のせいです。申し訳ございません。」

「うむ。気にすることはない。頭を上げよ。貴公がモンスターを倒してくれたおかげでこれからは皆安全にあの森へと入ることができる。それよりも、あの二人はどうじゃった?」

「あの二人……ですか?」

ーー誰のことだろうか。

わからず、オロオロしてしまうと、国王がふぉっふぉっふぉと笑った。

「咲夜と紫苑のことじゃ。問題などは起こさなかったか?」

 なんで国王があの二人を気にかけているのかは分からないが、協力しなかったり、弁当を食べていたりなどは問題に入るのだろうか。

 少し考えたが、別に言わなくてもいいかなと思った。

「問題……などはありませんでしたが、こちらに協力することもありませんでした。」

 そもそも、千冬がお前達の力など貸りない。と言ったことが主な原因だとは思うがそれでもあんなに苦戦していたら、手の一つでも貸してくれても良かったような気もする。

「しかし、最後にスパイダーの赤ちゃんを倒してくれはしました。私一人では逃してしまっていたかもしれません。その点に関しては感謝しています。」

 千冬がそういうと、国王の顔がパァッと明るくなった。

「そうかそうか!あの二人も最後だけは力を力を貸したか。」

「国王。失礼なことをお聞きしますが、何故あの二人のことをそれほど気にかけるのでしょうか?」

 どうしてそんなにあの兄弟を気にしているのか気になり、千冬がそう聞くと国王は恥ずかしそうに頭を掻き、

「実は、あの二人は小さい頃に両親を殺されていてな。そんなその子らを、わしが引き取ったんじゃ。無論、秘密裏にな。」

と、子供っぽく笑った。

「そうなんですか。それで……。」

 それで、あの二人のことを気にしていたのか。まるで、子供の成長を見ている親みたいだ。

「しかし、やはり協調性はゼロか。」

悲しそうに俯く国王を見て、千冬は慌てて言い換えた。

「いえっ。えっと、そんなことはなく、確かに戦闘中に離れた場所で弁当を食べていたりはしてましたが、協調性がないなんてことは……。」

言って全くカバーできていないことに気付いた。

「ふぉっふぉっふぉ。別にいいんじゃよ。」

「うぅ……。すいません。」

「それよりも、少し策があってな。」

「策……ですか?」

「ふむ。策じゃ。」

そう言って国王は薄っすらと笑みを浮かべた。

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