異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

46.更に内側の町

門番の兵士が城壁の上に居る兵士へ手で合図をする
すると、巨大な金属製の門扉がゴゴゴという音と共に重々しく開いていく
その先にあったのは城…ではなかった

門の先には牧場の様な芝生に馬が多数放し飼いされている
その近くには住居や倉庫の様な物、それから多数の鎧を着た人達が剣や槍を振っている
どうやら王国の兵士の育成所のようね
その横を馬車は進んでいく

「なんか雰囲気が変わったね〜」
「一気に街の騒々しさが無くなったわね」
「クレスト王国の王城周辺には貴族たちの住居や高級宿、それから他国の富裕層をもてなす為の施設なとがあると聞いたことがある」

確かにしばらく行くと建築物の雰囲気が変わり
一軒一軒が大きく広い土地を有している
その建物達はそれはそれは立派でザ・カネモチと言う空気感を漂わせている
それぞれ整理された庭を持ち、噴水や像などのオブジェ、木々の形や花壇の花々
お互いを意識した様なそれらはまるで景観の美しさを競い合っているようね

この辺りには道端などに木材でできた屋台の様な物はなく
これといって買い物をする様な所は無いように見える
さっきの門扉をくぐる前と変わらないのは魔素を放つ水晶玉があちこちにある、という事位かしら?

こんなにも貴族が居るのかと少し興味深く見ていると
家紋のような紋様を門のどこかに並べている家とそうではない建物があるわね?

「紋様のある家と無い家で何かあるのかしら?」
「いや、俺もそこまでは…」
「ならば、私が答えましょう。クレスト王国では、国王より実績を残した家やより親しい臣下に王自らそれぞれの家に家紋を与える風習があります。家紋のある家はそれにより爵位を与えられ貴族として奉られるのです」
「つまり家紋が無い建物は富裕層の家あるいは娯楽施設などと思っていればいいんですか?」
「そういうことになります」

自信満々と言わんばかりにラトルの言葉を食い気味に胸を張りながらミーリャ姫が答えてくれた

さてさて、ここまで街の様子を見てきたわけだけど
そろそろお城の方を見てみましょうか

外観は石を積み立てた様なものでできており、全体的に白を基調としている
そして頂上はつみきの家のてっぺんに三角形の物を置いたみたいに三角錐状になっている

メインとなる城の周りには数本の見張り塔らしきものが見える
見張り塔の頂上は黒に近い紺色が塗られている、ちょっと不気味さを感じさせるのは私だけかしら?
所々窓のようにかまぼこ型にくり抜かれた所は木製の戸があてられているが、今は開け放たれている

私達の居た世界からするとヨーロッパ風のお城ね
女の子達の憧れの城と言えばある程度想像できる形の
その構造を見るに戦闘向きではなく美しさをメインに建造されたのかしらね
こういう所に住むのは1度は憧れるんじゃないかしら?

「ここからは歩いて玉座の間までお越しいただきたい」
「分かりました」
「ケンタウロス達はこちらへ」

馬車は最後の門前で止まり
ケノス、ウロスと別れ兵士に連れられる
私達はいよいよ、お城の内部へ入る

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