異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

42.誤解

地図も手に入ったことだし
これで目的地クレスト王国へ行けるわね
だいぶ日も暮れてきてそろそろ野宿できる場所を探さなきゃね

「あとはあたしらに任せなっ!」
「頼むぜケノス!ウロス!」
「おうよ!」
「ね〜、ここから王国までどれくらいなの?」
「んーっと…」「だいたい2日だな」
「お願いしますわね、そろそろ王国から捜索隊が出てるとは思いますけど…」
「捜索隊と合流出来たらいいわね」

ようやく王国に行けるわね
王国に着いたら一休みしたいわね
そろそろこのボロボロの制服も変えたいし
冒険者ギルドで色々と情報も集めないとね
それから休める場所も確保しなくちゃ

「ねっ?リンリン」
「ん?」
「あー!話聞いてなかったでしょ!!また考え事してるぅ〜」
「ごめんごめん、それで?何の話?」
「王国に行ったら一緒に街をまわろって」
「いいわね、服も汚れてるし買い直しましょう」
「うん!」

満足そうに頷いて幸せそう微笑む風香を見てるとどことなく心が落ち着くわね
色々とめんどくさい事がこれから待っているわけだけども
風香となら乗り越えていける気がするわ

「なんだ?」

ウロスが呟いた後に私の馬車はゆっくりと止まる
スピードが落ち始めた時に皆それぞれ武器に手をやり
いつでも戦えるように身構える

「そこの馬車!止まれ!!」

若い男の声が響く
前方に目をやると3つの馬車で私達の進行を妨げるように通せんぼしている
そして更に囲むように全身に銀色の鎧を纏った兵士が複数人展開していた

「検問だ!荷車と人員を確認させろ!」
「ここいらで検問なんて珍しいな」
運び屋ケンタウロスは黙っていろ」
「へいへい」
「気をつけろ!乗っているのは魔族だぞ!!」

一瞬兵士達が身構え警戒したような気がした
馬車の近くに数人が寄ってきて武器を突きつけ私達を急がせる
そして更に馬車を囲むように鎧の兵士達が武器を構えて警戒している

「全員武器を持たずに降りろ!」
「さっさとしろ!」
「ここは言う通りにした方がいいな…」

ラトルが説得するように呟いたが

「ミーリャ姫に向かって何たる物言いですか!」
「ち、ちょっとサリアっ?!」

サリアさんが戦闘態勢で勢いよく立ち上がった…
兵士達は1人の少女を見てどよめいた

「ミーリャ姫様!!」「ご無事で何よりです!」「やはり誘拐されていたのですね!」

ここまでは良かった…

「こいつらが誘拐したんだな!取り押さえろ!!!」
「姫様を取り戻すぞ!!」

1人の兵士バカの言葉で一斉に襲いかかってきた
絶体絶命かと思われた
が、襲ってきた兵士達が次々に投げ返されていく

「クレスト王国の兵士達よ、落ち着きなさい」
「っ…サリアどの?!」
「この者たちはミーリャ姫を守るために尽力した旅のものです。姫を守って下さった方々になんという無礼を働くのですか」
「っ?!」
「こ、これは失礼いたしました!!」

とりあえず誤解は解けたみたいね
一時はどうなるかと思ったわ…

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