異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

20,名付け

「じゃあ、早いこと行くわよ」

「っと、その前に」

ラトルは短剣を取り出しゴブリンの体の一部を切り取って袋に詰めている

「何してるの?」
「魔物の体の一部をギルドで鑑定してもらうと報酬が貰えるんだよ」
「なるほどね〜」

一通り回収し終わると私達は街へ向かって進み始める
初っ端からゴブリンと戦闘になったけど無事に切り抜けられて良かったわ

「どういうルートで行くの?」
「そうだなぁ…ケンタウロス運搬とかと遭遇出来れば早いんだけどな」
「そう簡単に遭遇は厳しいんじゃないかしら?」
「だよな、だとしたら川沿いを進んで行くか。食料も水もある程度確保しながらの移動になるだろうし」
「サバイバル技術ってやつだね!」

サバイバルの基本ね
水と食料を確保出来ることはかなりの強みね
火は魔法で何とかなってもその2つはどうにもならないしね

道中、しばらく静かだった私の眷族達が近くを飛び回りつつチラチラ私を見つめてくる
何か言いたそうね…

「…何か用かしら?」
「あっ、えと…あの」

もじもじしてる、気がするわ

「ご、ご主人様!!」
「なによ?」
「その…良ければそろそろ…」
「「私達に名前をください!!」」

あ〜
そう言えばずっとコウモリって呼んでたかしら?
コウモリじゃだめなのかしら?

名付けって難しいのよね
でも、2匹とも同じだと確かに判別付きにくいのもわかるわ

「わかったわ、ちょっと待って」
「やっっったぁ!」
「私達にも名前が!!」

2匹とも羽を大きくばたつかせてクルクル回りあってる
凄い喜びようね

コウモリから取って名付けようかしら
コウ、モリ…
流石に酷すぎるかしらね

「センスとかは期待しないでね」
「はい!」
「でもコウとモリとかは嫌ですよ?」
「分かってるわよ」

心を読むんじゃないわよ…
コリとウリ
これはいけるんじゃない?

「これは?コリ、ウリ」
「っ!!」

一瞬の沈黙…
ダメだったかしら?

「「いいですね!!」」
「気に入ってもらえて良かったわ」

羽をパタパタさせながら激しく飛び回っている
喜んでもらえて良かったわ

「凛様の眷族として、コリ」
「同じく凛様の眷族として、ウリ」
「「ここに名前を頂戴致しました!!」」

その刹那、コリ、ウリと何か深い繋がりを感じた気がしたわ
名付けのせいなのかしらね?

そうこうしている内にソナルは傾き空は茜色に染ってきた

「そろそろ野宿の準備をするか」
「そうね」
「あたしらは燃えるものを探してくるよ」
「ついでに食料になる動物も狩って来て」
「コンビニみたいに気軽に言ってくれるなよな!」
「出来ればでいいわよ」
「ったく…」

文句を言いながらも武器を持っていくのね

「俺はテントを貼る」
「お願いするわ、風香は水を組んでおいてね」
「はーい」
「どこに行くんだ?」
「罠よ、昔見た本の見よう見まねでやってみるわ」

まずは地形を把握しなくちゃね
超音波を利用して周りを把握する


近くに人型の何かが数体居るわね
警戒するに越したことはないわね

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