異世界に召喚されて魔族になりました

ルルーチルニド

9,これが私の種族

「私が気絶してからどれくらい時間がたったの?」
「1日くらいですね」
「今はご主人様に剣が刺さった日の次の日の夜です」
「貴方達はいつからそばに居たの?」
「ご主人様がこの世界に来てからずっとです」
「ずっと…?」
「ご主人様が魔素を認知しなければ見れないのです」

そう言う事だったの…
ん?

「魔素を認知?」
「はい、おめでとうございますご主人様!」
「ようやく魔素を認知、扱う事が出来るようになりましたよ!」
「ありがとう」

試しに光の玉を作ってみる
手のひらを合わせて水を掬うように丸めて
その中に明るく光る玉をイメージ

私の身体の中の何かと周りの空気中にある何かが呼応して手のひらに集まる感覚があった
これが魔素なのね
その集まった魔素が今度は光を帯びて私の居る小さな空間が照らされた


見ない方が良かったよかもしれない
いや、目で見えなくても視えていた
辺り一面に無造作に捨てられた元奴隷達の死体が…

「案外簡単にできるのね」
「おめでとうございますご主人様!」
「はあ…この目で見えなければあやふやなままで終われたのに…」
「これは元奴隷達の死骸ですね」

言わなくてもいいのよそういう事は

さて…
まずは状況を整理しましょう
まずは自分の事から

魔素を認知、それから扱えるようになれたわ
魔法も簡単な物なら使えるようになれたというわけね
それから種族特有の行動ができるようになった

変身、自身の姿を動物に変えることができるわね
それから霧になって移動して元に戻れる
暗視に超音波を利用して周辺の地理を把握することができる
翼を出したり収納したりできるわ、コウモリを連想させる翼ね

つまり…何が言いたいかというと
私はどうやら『吸血鬼』らしいわ

これで自分の確認は終わりね
あとは

「_________っ!!」
「ご主人様の声…いい…」
「綺麗…」

どこか幸せそうなコウモリ二匹はおいておくわ
超音波を出し周囲の地図をあらかた把握した
よかった、風香達とはそれほど離れていないようね
ここからではこの城の出口までは把握しきれないか…
それは移動しながら確認するとしましょう

ある程度の状況は把握できたわね
いい加減に身体に刺さってる剣を取っておかないと

私は霧化して剣をすり抜けるように外しついでに隷属の首輪も外した
そしてその首輪に多量の魔素を送り込んでみる

すると
小さな爆発音と共に首輪は煙を吐いた

「なるほど、他者からの過剰魔素によって簡単に壊れるのね」
「それに隷属の首輪に魔素を送れるのは首輪によって隷属させられてない者ですよ」
「あらそうなの」

博識なのね
この世界に住んでいたらわかるものなのかしらね?

「だいたいの事は知ってますので私達に聞いてください」
「…、Hey ziri ここからの脱出方法」
「じぃーり?何を仰ってるんです?」
「さすがに脱出方法とかは分かりかねます」
「意地悪言ってごめんなさいね」
「いえいえ!こちらこそ役に立てずすみません」

なんでも知ってる訳ではないみたいね

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