雪物語

スノウ

第20話 オークション

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昨日、マリアからギルドカードを更新してもらい宿屋に向かった。グロリアにギルドカードを見せると俺以上に喜んでいた。その夜も豪華なご飯を出してもらいめちゃくちゃ満足した一日になった。
そして次の日、時刻は9時頃。今日は昼からオークションがあるからナクターに言われた通り時間前にギルドに向かわないといけない。
すでに朝食を終えた雪はベッドの上でゴロゴロしていた。

「そういえばさ、俺って防具とか何も作ってないけど大丈夫なのかな?刀1本と魔法でこれまでやってきたけどさすがになんか装備品あった方がいいよね?」

『はい、マスターはやっと気づかれたのですね。早急に自分に合うような装備品を作るか買うかをした方がいいと思いますよ。』

「待ち合わせの時間までまだあるから創造魔法で作ろうか。コートとブーツでいいかな。中に着るのは店で売ってるやつでいいし、久しぶりに創造魔法で作りますか!」

2時間後

【装備名】神白のコート
【ランク】S
【ステータス】
サイズ調整 自動浄化 温度調整 ステータス小UP
【説明】
白銀雪によって造られたコート。
神の神々しい白さを体現したような真っ白なコート


【装備品】神白のブーツ
【ランク】S
【ステータス】
サイズ調整 自動浄化 ステータス小UP 疲労軽減
【説明】
白銀雪によって造られたブーツ
神の神々しい白さを体現したような真っ白なブーツ


「よーし!いいねぇ!俺の好きな白、そして中に着る服は黒。厨二心がくすぐられる!」

雪は装備品をしまい、作る時に出た汗を流しに風呂に向かった。
風呂をあがって用意を終えると、いい時間になったので宿屋を出た。もちろん作った装備品を装備して。1回に降りた時初めて見る雪の格好にグロリアは固まっていた。どうした?と聞いたら「とても似合ってる!王子様みたい!」なんて言われて背中が少し痒くなった。

ナクターと約束した時間に間に合い、ギルド前で待っていた。何故かすごい視線を向けられていた。嫌になるような視線ではないのだが、何とも落ち着かない気持ちになる。

(なんでこんなに見られてるんだ?なんか着いてるか?)

『マスター、多分ですがグロリアが言っていたようにどこかの王子に見えるのではないのでしょうか?神々しい白さの装備とマスターの顔です。そう思うのも不思議ではないかと思います。』

(俺が王子に見れるねぇ、まぁ、悪くない気分だね。中に入ってマリアと話そうかな。ナクター遅いし)

視線を向けられるのが嫌になったのか、雪はギルド内に入っていった。中に入ると静かになって、ざわざわし始めた。

「お、おい!Sランク冒険者ユキさんじゃねーか!」

「なんて神々しいんだ...さすが最年少最短でSランクになっただけのことはある...」

「なんてカッコイイ格好なの...私告白しようかしら...。」

「あなたは何を言っているの?身の程を分け前なさい。私の方が可愛いんだから私が告白をします。」

などと、色々な声が聞こえる。

(すごいなぁ、めちゃくちゃ注目されてしまったなぁ)

マリアの方に向かうとマリアと目が合った。近くに行くにつれマリアの顔が赤くなっていった。

「こんにちは、マリア。今日頑も張っているね」

「...。」

「マリア?」

「はぅ...ユキさん...その格好かっこよすぎます...。」

「うえ!?そんな真っ直ぐ言われると恥ずかしいよ...。でもありがとうね。マリアにそう言われると嬉しいよ!ところでナクターはどこにいるのかな?待ち合わせをしたんだけど全然出てこないんだ」

「はぅ......。はっ!ギルドマスターですね!早速確認してきますね!」

マリアは固まっていたが、数秒すると話の内容を理解したのか慌ててナクターのことを確認しに行った。数分もしないうち上から大きな音を立ててナクターが降りてきた。

「ごめんユキくん!仕事に集中したらいつの間にか時間が過ぎてた!本当にごめん!今から案内するから向かおう!」

「お、おう、仕事大変そうだな。その、なんだ頑張れよ...。」

「うん、ありがとう!じゃあ早速案内するよ!」

ギルドをでてナクターの案内で商業エリアの方に向かう。歩くこと15分、大きな声屋敷が目の前にあった。

「ここがオークション会場だよ!今日は目玉のがたくさんあるから貴族とかのお偉いさんが沢山来ているらしいよ!ドラゴンの値段は相当なものになるとみた!」

「ここがオークション会場か、俺はどうしたらいいんだ?」

「うん、今から僕とユキくんは会場に入って受付で確認。そのあとは多分VIP席に案内されると思うよ!」

「りょうかいだ。じゃあ向かうか。」

ナクターは「うん!」と大きく言って会場に向かった。中は一言で言うなら豪華。貴族連中が沢山来るだけあって本当に豪華だった。赤、金の色がメインに使われている。
受付を終えると担当者がでてきて挨拶をしてくれた。

「初めましてユキ様、私はここの案内兼受付をしておりますネイルと申します。この度はセインスオークションに出品して頂きありがとうございます。出品していただけたものを確認した時は大変驚きました。ささ、立ってるのもあれなのでVIP席にご案内させていただきます。」

「うん、よろしくね。ナクターは見ていくのか?」

「ううん、僕はここまで!本当は見ていきたいんだけどね、仕事が沢山あるから...あはは...」

「そ、そうか、なんか悪かった。案内ありがとな。」

「うん、またねユキくん!バイバイ!」

悲しそうな顔をしてナクターは帰っていった。可哀想に、ギルドマスターなんかやってるから...。
まぁ、俺には関係ないか

「じゃあネイルさん案内よろしくお願いします」

「はい、かしこまりました。」

ネイルに案内されたが何故か2階に上がった。不思議に感じていると大きな扉が開けられ、そこに案内された。

「ここがVIP席です。こちらは身分の高い人、もしくは有名な方が入ることが出来るエリアです。ユキ様はSランク冒険者でドラゴンスレイヤーですのでこのエリアにはいる権利があります。周りは貴族の方が多いですが臆せずいつも通りの態度でいてくれて構いません。では、私はこれで案内を終わらせていただきます。」

「うん、ありがとう。」

そう言うと踵を返しネイルはさった。薄暗いその部屋には見るからに身分が高いであろう人達がいた。雪が入ると雪のことを観察するようにみていた。

「あ、あれは今噂のSランク冒険者ユキではないか!?」

「なんと!?あの若さでSランク!?計り知れんな...。」

「私の領に囲い込むか...」

「んまぁ!なんて神々しいのかしら!どこかの王子と間違えてしまいました!」

「私23歳だけどあの方に婿に来て欲しいですわ、お父様話をかけてくださいませんか?」

(ここはギルドよりも欲望にまみれた奴が多いな...。貴族らしいといえば貴族らしいが、怒りよりも呆れの方が強いな)

そんなことを思っていると1人の丸く太った貴族がこちらに寄ってきた。

「おい、噂のSランク冒険者で間違いないか?名をなんという。」

「あ?おいおい、名前知りてーならてめぇから名乗れ。貴族だからって俺はペコペコしねーぞ?」

「な!!貴様!不敬罪で捕らえるぞ!名はなんという!」

「だからお前から言えよ、3度目はないぞお前から名乗れ。」

「もうよい!こやつを捕らえろ!!牢にぶち込んでおけ!!」

丸く太った貴族の後ろから続々と護衛騎士があつまってくる。10名くらいが雪を拘束しようと向かってきた。

「はぁ、どこにこれだけの人数がいたんだ?って感じだな。眠っときなさいな。雷鳴」

ピシャアッと雷の音がなり一瞬で貴族含む護衛騎士が倒れた。

(初めて全体攻撃系の雷魔法を使ったがイメージ通りできて良かった。にしても、VIP席のみんな静かになってしまったか...。仕方ない、少し声を出して安静させよう。)

「皆さん、お騒がせしてしまい申し訳ございません。このうるさい豚共を黙らせましたので引き続きオークションを楽しもうではございませんか!お詫びと言ってはなんですがここでの飲み食いの料金は私が持ちます。どうかこれで許してはくれないでしょうか?」

雪はVIP席全体に通る声で破壊力満点の笑顔に乗せて言った。すると...

「それはありがたい!少しでもオークションの方に金を使いたいから助かる!」

「本当にどこかの王子なのではないか?雰囲気と言い一つ一つの所作、平民ではありえぬ。」

「はぅ、かっこよすぎますわ...是非ともお名前をお聞きしたいですわ...」

等の声が聞こえる、これ以上騒ぎにならなくて済みそうで雪は少し安心した。
扉の近くにいたオークション会場の護衛の人に「この豚が寝てしまったので騎士と一緒にどこかに捨ててください。」と言うと護衛は苦笑い気味に「かしこまりました」と言って豚どもを運んでいった。

色々なことが起こり、ひと段落した頃、ステージに1人の男が歩いてきた。中央まで歩くとスポットライトが当たり、マイクを持ち話をし始めた。

「この度はセインスオークションに足を運んで下さり誠にありがとうございます!長らくお待たせしましたが今からオークションを開始させていただきます!今日は出品された品がどれも貴重!最後に出す商品はここ数年出品される事がなかったであろう商品です!是非ともお楽しみください!」

司会者が話を終えるとそれを聞いていた客は「おおおおおお!!」と楽しみなのであろう声を上げていた。雪はどんな物が出品されるのか楽しみでワクワクしていた。何かいいのがあれば買うつもりでいる雪は目を輝かせてみていた。

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