雪物語

スノウ

第18話 転移と騒ぎと

更新しました。
すこしながいかも...








『...ター...き...ださ...』

『マ...ター...おき...てくだ...い』

『マスター!起きてください!』

頭の中からチノの声が聞こえる。だんだん大きくなっていく声量に睡眠をしていたため手放した意識が戻っていく。

「ん...チノ、おはよう。俺はどれくらい寝てた?」

『1時間くらいですかね。転移魔法できましたよ。それに一応回復魔法も作っておきました。』

「あぁ、ありがとな。確認してみるわ『ステータス』」


【ステータス】
【名前】白銀 雪 【性別】男 【年齢】16
【称号】転移者 女好き メイド好き
【種族】人族
【レベル】78
【体力】2650/48000
【魔力】20000/50000
【攻撃】47000
【防御】45000
【知性】50000
【精神】43000
【俊敏】49000

【魔法】
光雷の魔法Lv.MAX
重力魔法Lv.MAX
創造魔法Lv.6
回復魔法Lv.5
【スキル】
 鑑定極 隠蔽極 殺気 身体強化
【ユニークスキル】
無限収納 言語理解 神剣術 神速 能力値UP極 転移
【究極スキル】
叡智之神 
【加護】
創造神フィーネの加護


「レベルが結構上がってるな。ドラゴンはやっぱりいい経験値になったっぽいな!それに転移も回復魔法もできてるしナイスすぎ!縮地も進化して神速になってるしな!チノ、転移魔法について話してくれ。おおよその能力はわかってるつもりだがもしかしたら違うかもしれないし。」

『はい、転移は瞬時に目的のところに移動することが出来る今は失われたスキルですね。今のこの世の中に転移を使用できる者はいないと思われます。確定ではありませんが。そして転移の最大の欠点は1度訪れた所にしか転移ができないってことでしょうね。消費魔力に関してはなぜだか分かりませんがマスターは無償で使用できるようです。』

「ほえ〜、じゃあこれはル〇ラだな!魔力無しで移動とか最強じゃん。暗殺者になったら伝説になりそう。」

『絶対にやめてください。』

「う、嘘だって!怒んないでよ?冗談だよ?」

『笑えない冗談ですね。次言ったら協力しません』

「ごめんって!そんなことより回復魔法使って傷治したいんだが?めちゃくちゃ痛い。」

『イメージですね。マスターの想像力と魔力量なら詠唱なんてしなくてもできますよ。想像したあと完全回復パーフェクトヒールと言ってみれば治ると思います。』

「そんな雑でいいのね...。......ん、イメージ完了。『完全回復パーフェクトヒール』」

するとさっきまで身体中にあった擦り傷、左肩脱臼、左鎖骨の骨折とありとあらゆる傷が完治した。少し前までだるく歩くことも辛かった雪だが完治した途端だるさも消え、歩くことが苦ではなくなった。

「すっげぇ〜!日本じゃこんな怪我したらどれだけ辛いか...それがこの世界だと一瞬で治るとかマジですごいな。異世界様々!フィーネありがとう!」

『はぁ...良かったですねマスター。完全回復なんて聖国のトップでも使えるか使えないかですよ。あまり使用しないで下さいね。』

「りょーかい!次ピンチになったら魔法も使うから今日みたいなことにはならないと思う。多分...。」

『マスター、戻らなくていいんですか?帰らないとグロリアが心配してしまいますよ?まさか今日すぐにドラゴン討伐しに行くとは思ってなかったでしょうし。』

「それもそうだな。じゃあ帰るか!王都に入る前の近くの森に転移しよう。『転移』」

雪は頭の中に王都からすぐ近くの森をイメージした。何回も訪れているからすぐにイメージすることが出来た。転移、と唱えると身体が少し浮いた気がした。目を開けるとそこは森の中、周りが木々で囲まれていた。

「すげーなぁ転移、よぉーし!ギルドにでも寄ってから宿に帰りますか」

雪は森をぬけ少し歩く。するといつも見ている景色に変わった。門兵に身分証も見せ、王都に入り、串焼きを1本食いながらギルドに向かった。
ギルドに入るといい時間なのだろう、今日一日の依頼を終えた冒険者が多くいた。雪も依頼報告の為に列に並んだ。

「次の方どうぞー」

「マリア、ただいま。ドラゴン狩ってきたよ!」

「ユキさん!おかえりなさ...え?ドラゴンを狩ってきた?え?」

「うん、狩ってきたよ。ほら、俺の服見てよ。すごいボロボロでしょ?危なくやられる所だったよ!あはは!」

雪は笑いながらマリアに言う。マリア本人は口を開けてポカーンとしていた。

「マ、マリア?狩ってきたドラゴンどこに置けばいい?結構大きいからさ」

「...。ユキさん!本当にドラゴン狩って来たんですか!?嘘はダメですよ!!ここから往復2日から3日はかかるのに今日一日で終わるわけないですよ!」

「あはは...マリア、これなら信じてくれるかな?」

雪は無限収納からさっき死闘を繰り広げたドラゴンの鱗を数枚マリアに渡して見せた。

「ほ、本物です。これは間違いなく本物のドラゴンの鱗です...。で、では訓練所の所でドラゴンを見ましょう。」

マリアは雪にそういうと、訓練所の方に2人で向かった。

「ではユキさん、ここにドラゴンを置いてもらっても大丈夫ですよ。」

「うん、ありがとう!...よし、せーの!」

ドンッ!!と大きい音を上げて砂埃を上げながら訓練所に大きなドラゴンが現れた。周りにいた冒険者にマリアも口を開けて固まっていた。

「こいつだよ、アルフ山のてっぺんにいたドラゴン。普通に強かったね!アルフ山登ってた冒険者数人いたけどあれぐらいのレベルなら全滅してたと思うよ。俺がいたからドラゴンと対峙することは無かったけどね」

「グ、グリーンドラゴン!?!?ユキさん!本当にグリーンドラゴンなんですか?!私は今すぐにギルマスに報告に行きます!」

マリアは驚いた表情でギルマスに報告しに行った






無限収納から椅子を出し座っていた雪はぼーっとしていた。すると奥から騒がしい声が聞こえてきた。

「ユキくん!君はまたやらかしたのかい?」

「ナクター...やらかしたってなんだ?何もしてないぞ?ただ朝にアルフにいるドラゴンの話を聞いて狩って来ただけだろうが」

「いや、色々言いたいことあるんだけどね...。とりあえずドラゴンの件は本当なんだね...。しかもここまで綺麗なドラゴン今まで見たことがないよ...
身体と頭が離れてるが断面はすごく綺麗。凄いね。これはどうするつもり?」

「あぁ、とりあえずギルドに売りてぇな」

「ちょっとこれだけ綺麗なドラゴンうちでは買い取れないな...お金が足りないよ...。あっ!じゃあさ!オークションに出してみればいいんじゃないかな?2日後にでかいオークションがあるらしいんだよ!」

「ほう、なるほどな!それいいな!ナクター、お前にしてはいいことを言う、あとは任せたぞ」

「ねぇ!僕一応ギルドマスターなの!わかる?君くらいだよそこまで舐めた態度とるの!
まぁ、オークションのことは任せて!そして明日またギルドにきて!話があります!必ず来てね!」

「うぇ〜めんどくさい...。昼頃に顔を出す。それでいいか?あと、ドラゴンの鱗少し貰ってくぞ」

「うん、OK大丈夫だよ!ドラゴンの鱗もユキくんのだし好きにして!」

雪はグリーンドラゴンから鱗を数枚採った。近くで見ると鱗1枚1枚光っており高価な事が見ただけでわかった。手にもつと鱗1枚であるはずのない重さも感じ防具にしたらいいんだろうなっと感じた。
採った鱗を数枚無限収納にしまい、右の掌にも鱗が数枚。それを持ちながらマリアに近づいていく。

「マリア、ドラゴンの事で頭がいっぱいでそれどころじゃないかもだけど、多分...俺のことすごく心配してくれたよね?ごめんね?無理しちゃった。マリアに無理しないでって言われたのに...。だからこれ貰ってくれないかな?」

雪は右の掌にある鱗を数枚マリアに渡した。マリアは雪の顔を見て、目に涙をためていた。

「ユ、ユキさん...貰えません...。こんな高価なもの...それに私はユキさんが無事に帰ってきてくれたことが凄く嬉しいんです!本当に心配したんですから!!!ひぐっ...うぅ...。」

マリアは緊張の糸が切れたのか泣いてしまった。
雪はマリアの肩に手を乗せ、雪の胸の方にマリアの頭を寄せて頭をゆっくり撫でた。

「ごめんね心配させて、この鱗は貰ってくれると嬉しいな。心配かけちゃったしね。売ってもいいし何か武器や防具作ってくれてもいいよ。」

「...はい...ではお言葉に甘えて...いただきます...。」

雪はマリアが鱗を貰ってくれることを聞いて「うん!ありがとう」といってマリアの頭を撫でた。マリアの顔はトマトのように真っ赤になっていたが離れる素振りを見せなかった。ていうか雪が離さなかった。

「落ち着いた?俺は今日はもう帰るけど明日も来るからね?その時はいつも見たく可愛い笑顔で出迎えてくれると嬉しいな。」

「はぅ...は、はい、分かりました!今日はお疲れ様でした!!」

顔を赤くし目をトロンとさせてマリアは雪を見ながら言った。

「じゃあ俺はこれで帰る。ナクター明日また来るからその時に、あとは任せた」

「はーい、任されました。明日は色々聞くからね!覚悟してね!!」

雪はその言葉を背中で受け取り、ギルドをあとにした。ドラゴンとの戦闘に疲れているのか早足で宿に向かった。

ーーーーーーーー

宿屋につき、扉を開ける。
するとグロリアが来てくれた。

「ユキくん!おかえりなさい!ドラゴンの件どうでしたか?」

「フッフッフッ!グロリアよ、これを受けとれぇい!!」

雪は無限収納から鱗を数枚だし、グロリアの手に出した。

「え!?!?ユキくん!?これは!?もしかしてドラゴンの鱗!?」

「そう、ドラゴンの鱗!狩ってきたぞ!約束してろ?鱗をあげるってな。」

「本当に狩って来たんですか!?ユキくんは化け物ですか?ソロで討伐って規格外すぎるよ...。」

「化け物って...ひどい言われようだな。普通に苦戦したよ。ドラゴン強かったしね!それよりご飯が食べたい!!おいしいご飯を頼むよ!!」

「かしこまりました!今日はサービスしますよ!すごく美味しいご飯を用意しますね!!」

グロリアにこれでもかと言うくらいめちゃくちゃ豪華なご飯を出してもらった。1人で食いきれないのでグロリアも一緒に食べようと言い、2人で楽しい話をしながらご飯を平らげた。
今日の疲れもあったのかご飯を食べて風呂に入りベッドに横になるとすぐにまぶたが重くなりそのまま眠ってしまった。
目を覚ますと太陽の光がカーテンから漏れでていて、眩しくて起きた。

身体を起こして、背伸びをする。パキパキと身体の中から音が聞こえる。この音はなかなか心地よい。
そんなことを思っているとドアから音が

コンコンッ

多分グロリアだ。いつも起こしてもらってるからね。

「ユキくん〜起きてる?お客様が来ているよ!入っていい?」

「あぁ、いいぞ、入ってきなぁ〜」

「ユキくんおはよう!寝癖がすごいよ?」

「あぁ、おはよう。今起きたばかりだからね。で、隣にいる人が客か?」

「初めまして、アンファング王国騎士団副団長のオルクと申します。国王陛下からこの招待状を渡して欲しいとの事なのでお届けに参りました。」

「あぁ〜グレイグがそんなこと言ってたな。うん、ありがとう!では招待状頂くね。あとこれあげる」

雪はオルクから招待状を受け取り、チップ代として大銀貨を5枚渡した。

「ユキ様!頂けません。私たちは王の命令できたのです。当たり前のことをしているので頂けません。」

「いいよいいよ、受け取って。俺の気持ちだから!ね?だめ?」

「分かりました。これはありがたくいただきます。ユキ様はお強くてしかも器も大きいとは...敵いませんね。」

「大したことじゃないよ。招待状ありがとね!」

一通りの会話を終えるとオルクは帰っていった。時刻は10時、グロリアはまだ俺の部屋にいた。

「グロリア、今から飯は大丈夫か?」

「大丈夫ですよ!今用意しますのでできたら呼びますね!」

いつも通りグロリアに朝飯の用意をしてもらい部屋でごろごろする、数十分後ご飯ができたとグロリアから呼ばれ1階に降りる。昨日の残った材料なのか朝はいつもより豪華だった。全て平らげ軽く風呂に入り、ギルドに向かう用意をし始める。

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