冬フェンリルの愛子となった私が、絶望から癒されていく話
3:衣装チェンジ(冬毛というか)
おはよう、もふもふ。
なんて素敵な目覚めでしょう。
真っ白な毛皮に埋もれて、ああダメだ、また寝そう…………
<おはよう。エル>
…………さっむーーい!
フェンリルが話しかけてきたら、凍るような冷たい風が吹き付けてきたぁ!
震えながらモゾモゾと毛皮に埋もれる。
<オイ、くすぐったい>
フェンリルが笑っていると、体が揺れる。
うっ、ゆりかご効果でまた眠くぅ……でも、寒いんだよね……
「あなたが吐く息、妙に寒いの!」
<ああ、すまない。だけど私の息のせいだけではないぞ。周りを見てみろ>
周り?
……うっわぁーー。
辺り一面、雪化粧。ええええ!?
妙にまぶしいと思ったのは、太陽が雪を照らしていた光の反射みたいだ。
寒いのはズバリ外気のせい?
でもこんなに雪が積もっているなんて……私がこの世界に来た時は、地面は乾いていて、
スーツ姿でもまるで寒くなかったんだけど。
「私、冬まで寝てた……?」
<はははは!  そのようなことはない。わずか3日だ>
寝すぎ。
まあ思ったよりは短かったけど、私の体どうなってるの?  白くなってる。ええい、そうじゃなーい!
頭の上に違和感。
んんん?
手を伸ばすと…………あの……もふっと……獣の耳……嘘でしょ!?
慌てて顔の横をさすると、こっちにも耳が。四つ耳ーー!?
「あの、あのっ!  これ、なに!?  知ってるよね!?」
<耳>
「だよね!  だけどちっがぁーう!」
身動きすると、バラバラとまわりに真珠が散らばり、目が点になる。
……ああ、私の涙か!
「散らばっちゃった。これ、どうしたらいい?」
<首飾りにでもするか?>
「あ、そういうこともできるの?」
<雪妖精たちよ>
フェンリルがふーっと息を吐くと、キラキラと雪が舞い、雪の結晶の魔法陣が現れた。
魔法陣からは……えーと、雪色の妖精があーらわーれたー。
ぐいっと意識を持って行かれた。冬問題はまたあとだ。
<<<フェンリル様>>>
優雅にお辞儀をする。
うわぁ可愛いー……!  ドールみたいだ。発想が貧相でごめん。
<真珠を集めて、私の愛娘のアクセサリーを作ってくれ>
<<<分かりました>>>
私の周りで妖精が飛び回る。
真珠を集めると、
<<<メイク・スノージュエル>>>
雪色のなんか、キラキラの紐を出現させて、空中で真珠にからめて編み上げていく。
お、お見事ーー!
私の頭に首飾りくるくる巻いて、首の後ろのつなぎ目に……リップ音。キスされた?  わーお。
<<<冬姫様、ごきげんよう>>>
妖精たちの優雅なお辞儀。
そして光に溶けるように消えてしまった。
……夢?  ではないよね。首をさぐると、真珠のネックレスがあるもん。
<よく似合う>
「あ、ありがとう。ていうか、耳について」
<生えたのだな。完全にフェンリルの愛娘となったのだ。オマエの心が寄り添った証。フフフ、嬉しいぞ>
「ちょっと待ってぇ……えっと……尻尾は?」
<そのうち生えてくるのではないか?  こうして寄り添っていれば>
うわ!  もふ!  フェンリルの頬の柔らかい毛に埋もれた。
耳が四つって。おかしくない?  いや聞こえやすいけど。
「生えちゃったもんは仕方がないんだね!?  まあいいや!!!!」
<元気がいいな>
深く考えるのをやめた。
フェンリルが顔を逸らしてふっと吹き出すと、吐息が大地を凍らせる。
……あああ、冬景色について聞こうと思ったけど、これ、100パーセントこのフェンリルのせいだよねぇ?
答え分かっちゃったなー。
確認だけしておこう。
「季節を冬にしたよね?」
<いかにも>
「寒くてこのベッド状態から動けないよー」
<ッンン……!>
あれ?
なんか顔をしかめて妙な咳払いをして……悩んでる?
<服を変えたらいい>
「えっ。買いに行くの?」
それとも葉っぱを組み合わせてミノムシ蓑……とか?  野生的だ。
でもここ獣たちが多い森林地帯だし、そんな提案もありえそうな気も。
<エルが今着ている服は、フェンリルにとっての毛皮として馴染んでいるだろう。夏毛と冬毛のように変化させられるはずだ>
「これ私の毛皮になっちゃったの!?  皮膚の一部みたいな?  スーツだよ!?」
<スーツという服なのか。まあ気にするな、やってみろ>
とりあえずのゴーサイン。説明はとくになし、感覚でゴー。
……どうしよう、こういうのすごく苦手なんだけど。
だっていつも失敗をしないように、数パターンのプレゼン資料を作って、その中から上司に判断を仰いで、難癖のような注文に合わせて作り直し…………
うるせぇここは会社じゃないんだよ!!!!
自分にキレた。
この勢いが大切な気がする、今しかない。やったろう。ゴー!
<失敗を恐れるな>
絶妙なタイミングでフェンリルから助言があったから、ビクッとした。
えっ!?  心の中でも読んでたような……いやいやどうせ私が失言したんだろうなー。
だって衝動のままバンザイしちゃってるし。
なんだこの腕。愉快でいいな。よっしゃ。
<半獣人となったエルは生まれたての赤子のようなものだからな>
「なるほど、だから泣き声よろしく感情を声に出しちゃっても仕方ないってことなのね……」
ダメな部分を確定された。
よーし、それでいいやー。
自分のダメさが甘〜く許された。あらゆる意味で泣きそう。フェンリルが柔らかな眼差しで私の行動を促す。
「感覚」
<そう。いっそ一緒に変化してみようか?  私もそろそろ冬毛になろうと思っていたところだ。
私と愛娘は魔力が同調するから、変化しやすいはず>
「手助けありがとうございます!!  ……完璧に獣みたいになっちゃうってことはないかなぁ……?」
<オマエに限っては、それはないだろう>
フェンリルがウインクしてきた。
器用だなー!
<自分の毛皮がどう変化するのかイメージしながら、復唱しなさい。
”夏には純白、冬には白銀の聖なる衣。冬の祝福を、女王である魔狼フェンリルが望む。テイストチェンジ>
「ーーテイストチェンジ」
えーと、ああもう、もこもこコートにするつもりだったのに女王様みたいな服しかイメージできなぁい……!  寒そうじゃーん!?  ど、どうしよう、すでにスーツが変化し始めているのに……っ!
いやいや、素材感を変えればいいのではっ!?
ヒート○ックドレスみたいに!
上着が透明になり、上品なマントのように広がって私を包んだ。スーツは白銀に輝く膝丈ドレスに。雪の結晶や氷が装飾としてきらめく。
はちゃめちゃにメルヘンーー!!
でも今の容姿なら、凄く似合ってるんじゃないの……?  もう22歳で魔法少女みたいなことやらかしちゃったけど許して。
ヒートテック化させたからか、一見薄着なのに身体がポカポカ温かい。私、ナイス!
<なんなんだ、そのペラペラの服は……?  まるで姫のドレスのようではないか>
「ん?  姫?  やめてよ恥ずかしいなぁ……はは、ははは……私だって、まさかこんな風になるとは」
<イメージしたのはエルだろうに。寒いままだろう、風邪をひきそうで心配だ>
「ぜーんぜん!  この素材、あったかいんだよ」
<そうなのか?>
「そう。それよりもね?」
私の目は今、きっと、ギラギラ輝いていることだろう。
目の前にモフっっっモフっっっの、ボリューミー白銀毛皮ベッドがーーー!
「素晴らしい毛並みだねー!」
<そうだろう>
とくいげに鼻を鳴らすフェンリル。あっ、なんだか仕草が少しヒトくさい。
出会った頃よりも、瞳にも温かみを感じた。
「撫でたーーい!」
モフっっっと埋もれて、わさわさと手を動かすと、ほああああーーーー……!!  なんという、なんという天国!!  手が昇天しそうな極極極上感触ぅ……!
<まったく、この愛娘は。なあ、撫でるのが上手いな?>
「えっ、本当?  撫で続けてもいい……?」
<ああ>
えへへ。私、すんごい緩んだ顔になってると思う〜!
心地よくて優しくて、にやけちゃうよね。
フェンリルはとても満足そうに口角を上げた。
なんて素敵な目覚めでしょう。
真っ白な毛皮に埋もれて、ああダメだ、また寝そう…………
<おはよう。エル>
…………さっむーーい!
フェンリルが話しかけてきたら、凍るような冷たい風が吹き付けてきたぁ!
震えながらモゾモゾと毛皮に埋もれる。
<オイ、くすぐったい>
フェンリルが笑っていると、体が揺れる。
うっ、ゆりかご効果でまた眠くぅ……でも、寒いんだよね……
「あなたが吐く息、妙に寒いの!」
<ああ、すまない。だけど私の息のせいだけではないぞ。周りを見てみろ>
周り?
……うっわぁーー。
辺り一面、雪化粧。ええええ!?
妙にまぶしいと思ったのは、太陽が雪を照らしていた光の反射みたいだ。
寒いのはズバリ外気のせい?
でもこんなに雪が積もっているなんて……私がこの世界に来た時は、地面は乾いていて、
スーツ姿でもまるで寒くなかったんだけど。
「私、冬まで寝てた……?」
<はははは!  そのようなことはない。わずか3日だ>
寝すぎ。
まあ思ったよりは短かったけど、私の体どうなってるの?  白くなってる。ええい、そうじゃなーい!
頭の上に違和感。
んんん?
手を伸ばすと…………あの……もふっと……獣の耳……嘘でしょ!?
慌てて顔の横をさすると、こっちにも耳が。四つ耳ーー!?
「あの、あのっ!  これ、なに!?  知ってるよね!?」
<耳>
「だよね!  だけどちっがぁーう!」
身動きすると、バラバラとまわりに真珠が散らばり、目が点になる。
……ああ、私の涙か!
「散らばっちゃった。これ、どうしたらいい?」
<首飾りにでもするか?>
「あ、そういうこともできるの?」
<雪妖精たちよ>
フェンリルがふーっと息を吐くと、キラキラと雪が舞い、雪の結晶の魔法陣が現れた。
魔法陣からは……えーと、雪色の妖精があーらわーれたー。
ぐいっと意識を持って行かれた。冬問題はまたあとだ。
<<<フェンリル様>>>
優雅にお辞儀をする。
うわぁ可愛いー……!  ドールみたいだ。発想が貧相でごめん。
<真珠を集めて、私の愛娘のアクセサリーを作ってくれ>
<<<分かりました>>>
私の周りで妖精が飛び回る。
真珠を集めると、
<<<メイク・スノージュエル>>>
雪色のなんか、キラキラの紐を出現させて、空中で真珠にからめて編み上げていく。
お、お見事ーー!
私の頭に首飾りくるくる巻いて、首の後ろのつなぎ目に……リップ音。キスされた?  わーお。
<<<冬姫様、ごきげんよう>>>
妖精たちの優雅なお辞儀。
そして光に溶けるように消えてしまった。
……夢?  ではないよね。首をさぐると、真珠のネックレスがあるもん。
<よく似合う>
「あ、ありがとう。ていうか、耳について」
<生えたのだな。完全にフェンリルの愛娘となったのだ。オマエの心が寄り添った証。フフフ、嬉しいぞ>
「ちょっと待ってぇ……えっと……尻尾は?」
<そのうち生えてくるのではないか?  こうして寄り添っていれば>
うわ!  もふ!  フェンリルの頬の柔らかい毛に埋もれた。
耳が四つって。おかしくない?  いや聞こえやすいけど。
「生えちゃったもんは仕方がないんだね!?  まあいいや!!!!」
<元気がいいな>
深く考えるのをやめた。
フェンリルが顔を逸らしてふっと吹き出すと、吐息が大地を凍らせる。
……あああ、冬景色について聞こうと思ったけど、これ、100パーセントこのフェンリルのせいだよねぇ?
答え分かっちゃったなー。
確認だけしておこう。
「季節を冬にしたよね?」
<いかにも>
「寒くてこのベッド状態から動けないよー」
<ッンン……!>
あれ?
なんか顔をしかめて妙な咳払いをして……悩んでる?
<服を変えたらいい>
「えっ。買いに行くの?」
それとも葉っぱを組み合わせてミノムシ蓑……とか?  野生的だ。
でもここ獣たちが多い森林地帯だし、そんな提案もありえそうな気も。
<エルが今着ている服は、フェンリルにとっての毛皮として馴染んでいるだろう。夏毛と冬毛のように変化させられるはずだ>
「これ私の毛皮になっちゃったの!?  皮膚の一部みたいな?  スーツだよ!?」
<スーツという服なのか。まあ気にするな、やってみろ>
とりあえずのゴーサイン。説明はとくになし、感覚でゴー。
……どうしよう、こういうのすごく苦手なんだけど。
だっていつも失敗をしないように、数パターンのプレゼン資料を作って、その中から上司に判断を仰いで、難癖のような注文に合わせて作り直し…………
うるせぇここは会社じゃないんだよ!!!!
自分にキレた。
この勢いが大切な気がする、今しかない。やったろう。ゴー!
<失敗を恐れるな>
絶妙なタイミングでフェンリルから助言があったから、ビクッとした。
えっ!?  心の中でも読んでたような……いやいやどうせ私が失言したんだろうなー。
だって衝動のままバンザイしちゃってるし。
なんだこの腕。愉快でいいな。よっしゃ。
<半獣人となったエルは生まれたての赤子のようなものだからな>
「なるほど、だから泣き声よろしく感情を声に出しちゃっても仕方ないってことなのね……」
ダメな部分を確定された。
よーし、それでいいやー。
自分のダメさが甘〜く許された。あらゆる意味で泣きそう。フェンリルが柔らかな眼差しで私の行動を促す。
「感覚」
<そう。いっそ一緒に変化してみようか?  私もそろそろ冬毛になろうと思っていたところだ。
私と愛娘は魔力が同調するから、変化しやすいはず>
「手助けありがとうございます!!  ……完璧に獣みたいになっちゃうってことはないかなぁ……?」
<オマエに限っては、それはないだろう>
フェンリルがウインクしてきた。
器用だなー!
<自分の毛皮がどう変化するのかイメージしながら、復唱しなさい。
”夏には純白、冬には白銀の聖なる衣。冬の祝福を、女王である魔狼フェンリルが望む。テイストチェンジ>
「ーーテイストチェンジ」
えーと、ああもう、もこもこコートにするつもりだったのに女王様みたいな服しかイメージできなぁい……!  寒そうじゃーん!?  ど、どうしよう、すでにスーツが変化し始めているのに……っ!
いやいや、素材感を変えればいいのではっ!?
ヒート○ックドレスみたいに!
上着が透明になり、上品なマントのように広がって私を包んだ。スーツは白銀に輝く膝丈ドレスに。雪の結晶や氷が装飾としてきらめく。
はちゃめちゃにメルヘンーー!!
でも今の容姿なら、凄く似合ってるんじゃないの……?  もう22歳で魔法少女みたいなことやらかしちゃったけど許して。
ヒートテック化させたからか、一見薄着なのに身体がポカポカ温かい。私、ナイス!
<なんなんだ、そのペラペラの服は……?  まるで姫のドレスのようではないか>
「ん?  姫?  やめてよ恥ずかしいなぁ……はは、ははは……私だって、まさかこんな風になるとは」
<イメージしたのはエルだろうに。寒いままだろう、風邪をひきそうで心配だ>
「ぜーんぜん!  この素材、あったかいんだよ」
<そうなのか?>
「そう。それよりもね?」
私の目は今、きっと、ギラギラ輝いていることだろう。
目の前にモフっっっモフっっっの、ボリューミー白銀毛皮ベッドがーーー!
「素晴らしい毛並みだねー!」
<そうだろう>
とくいげに鼻を鳴らすフェンリル。あっ、なんだか仕草が少しヒトくさい。
出会った頃よりも、瞳にも温かみを感じた。
「撫でたーーい!」
モフっっっと埋もれて、わさわさと手を動かすと、ほああああーーーー……!!  なんという、なんという天国!!  手が昇天しそうな極極極上感触ぅ……!
<まったく、この愛娘は。なあ、撫でるのが上手いな?>
「えっ、本当?  撫で続けてもいい……?」
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えへへ。私、すんごい緩んだ顔になってると思う〜!
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