夢を見て時を翔る職人

神威フェイ

第二話「私と父と兄を捨てた者」

「マァ坊!!」
「しっかりしなさいマァ坊、、、!!」




私はすぐにわかった、、、

(この声で、、、)

(親父を、、、!)

(親父をその呼ぶ奴は、、、!!!)

私はその声に視線を向け、咄嗟に殴りかかろうとした。

「テメェ!!」

殴りかかろうとした途端
私は後ろからはがいじめされた。

「ケイっ!!」

「落ち着けっ!!!」

私を止めたのは7つ歳が上の兄だった。

私は振り解こうともがいた。

「なんでテメェが居んだよっ!!」

「なんでそうやって親父を気安く呼べるんだよ!!!」

「俺たち家族を捨てた癖に!!」

私は怒りに満ちて洗いざらい叫んだ。


私が取り乱して叫んでいる相手は、、、


そう、、、


私が2歳半の頃にいなくなった母だ。


私はまだもがいている。


「俺は今でもアンタが憎い、、!!!」


「今すぐにでもぶっ殺してやるっ!!」


「やめろっ!!」

兄が叫んだ。

「お前の気持ちは痛いほどわかるっ、、、!!」

「だが、親父の前だぞ!!」

「今はやめろ!!」

私は父の前だと言われ、なんとか心を落ち着かせた。

だが、私はいてもたってもいられず、
ICUから飛び出してしまった、、、


どうしても、、、


どうしても捨てきれない怒りがあったからだ、、、


「畜生、、、。」


「畜生っ!!!」


「畜生おおおお!!」

私は気付いたら病院の廊下の壁を殴りながら叫んでいた。

コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品