冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

悪神の情報

僕が広めることを許可した情報をデーブンは荷物運び情報ギルドを通して小出しにし、国へも認めてもらうように動き出した。
みんなが活用できる魔王本人の情報以外は広めてもらっている。

そのことで帝国や冒険者ギルドでも変化が起き、積極的に戦闘力の高い者を集め、強い魔物の討伐を始めた。
数が思ったより多くないことが周知された結果だ。

僕たちも時々デーブンがつかんだ情報を基に国をまたいで移動している。
ある時は四天王の部下の討伐。
ある時は魔物の集団。
そして初めて四天王を名乗る魔物とも戦った。

思ったより強かった四天王だが、僕たちが戦って感じた戦闘力はSランク冒険者や勇者が集団で戦うと倒せる程度と感じた。
特に僕の作った装備品を装備した勇者は余裕だろう。
これである程度勇者がいるあたりは安全になった。

そんなことを続け四天王を名乗る魔物を四人以上倒していたが、魔王の居場所はつかめない。
いくら広い世界とはいえ、姿もわからないとはいえ何もつかめないのは能力が高いのか?

何かすっきりしないまま魔物の討伐を中心に日常を過ごしていた。

~~~~~

ある時神殿が目に入った。

そう言えば最近神に祈りをささげていないと神の姿を思い出し、自作の神像に祈りをささげた。

すると今回も真っ白な部屋に招待されたようで景色が変わっていた。

そこではおなじみの才能の神がおり、最近の調子を聞かれたあと悪神の話になった。

なんでも悪神は神の世界でも禁忌にあたることをしたことにより、ようやく神の間での罰を受けたそうだ。
これで僕たちが済む地上には干渉できなくなり、関わっていた魔王の強化もこれ以上はできないそうだ。

他にも色々と地上を混乱させることを仕組んでおり、それは他の神が力を合わせて正常な方向に軌道修正したと教えられた。

くわしい内容は教えてもらえないようだが、あとは僕たち地上にいる者がどう行動するかにかかっている。
魔王を倒すもよし、魔王を改心させるも良し。進められないが魔王と一緒に歩むことも一つの選択肢になる。
悪神からの干渉が切れている魔王であれば才能の神たちはこれ以上僕たちに情報提供したりし協力はしないそうだ。

そのことを伝えられてよかったと僕たちは真っ白な空間からも解いたところへ戻された。

~~~~~

「ラウール? 今の話を聞いてどう思う? なぜ悪神の干渉がなくなったからどうでもいいと言う考えになるの?」

「うーん、どんな考えなんだろう? 僕もわからないな・・・。誰か神の言葉の意味が分かる?」

・・・・
・・・・

「我は思う。きっと魔王も魔物と一緒でこの世界の生き物。だから、悪いことをしないのであればあとは我たちがどうするか考えるだけ!」

内容は同じだがふむ。

「悪神のたくらみをすべて聞いたわけでも予想できたわけでもないけど、悪神が企んでいたこの世界の方向は世界が滅亡する可能性があった。その誘導がないのであれば、小さいところでは盗賊みたいなのが悪いことをしているのと同じ?」

「我はそう思う。盗賊も魔物も悪い貴族も、自分がしたいことを考えて大小関係なく行動する。戦争でも大勢の人が死ぬ。それでも神は介入しない。」

「あー、自分たちの事は自分たちで解決しろと。今回神が変な介入をしたから、そこだけは神で解決したけど、それ以上を決めるのはこの世界の人だと?」

「我感じるのは、神はこの世界を大切にしているから争いはなくなってほしい。だけどすべての争いをなくすのは無理。争いはどちらも正しいと思って動いている事が多い。」

「そうだね。戦争とかも勝てば官軍、勝ったところが正しいだものね。」

「我は今回もそれだと思う。問題を起こしたのは神。そこを解決したのだからあとは自分たちが正しいと思う行動をしろと。その結果も自分たちが選択したからだと。」

「ようは任せたってことだね。」

「ラウール? 私にはわからないわ・・・。」

「僕も話していてよくわからないけど、自分たちで考えなければいけない事だけはわかったよ。」



そんなわかったようなわからないような会話をしていたが、今でも魔王ではなく魔王の配下の行動で被害が出ている。
魔王本人はどうしているのか分からないが、今のところ四天王は直接魔物を指揮して攻撃してきている。
魔王の完全体になるまでと言っているが、それは本当に魔王の考えなのか?

あの農夫の姿をした魔王の教育係は魔王を守るために行動しそうだったが・・・。

これ以上の事は魔王本人か、魔王に近い魔物と話さないとわからないなら、しばらくは強い魔物を倒すことに集中しようか?

情報の流出をできるだけ避けている魔物の今の行動は、他の者はどう思っているかわからないが、僕にとっては上手い戦略だと思う。

魔王はダンジョンを中心に行動していると農夫の魔物が言っていたから、ダンジョン巡りをしてみようか本気で考えるラウールだった。

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