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冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

重量級の突進

目的地についた僕たちは、馬車から降りて戦いの準備を始めた。

我々荷物運び情報ギルド員は倒された魔物を邪魔にならないように回収する事だ。
弱い魔物は倒すように言われているので、配布されたマジックバックを下げ、武器も持っている。

もちろん本気装備からかなり落ちた装備となっていてみんなが短剣と、珍しく革の鎧を着け強くないアピールをした。

「じゃあ行こう! 俺たちが見てるけど、危ない時は声を出して。直ぐに助けるから!」

ダイヤ伯爵の合図で先に進んだ。

・・・・
・・・・

魔物が集まっているのが見え、僕たちは予想していたが、冒険者が呟いた。

「ちょっと俺らじゃ無理・・・。」

目の前には確かに動物型の魔物がいた。
ただ、その他の魔物の数、大型魔物の大きさが凄かった。

鼠型の魔物が無数にいる。
一匹ずつならここにいる誰もが苦戦もしないだろう。

猪型、犀型の魔物も低ランクで、この魔物たちだけなら倒せただろう。

最後にあの巨大な象型の魔物はヤバイ・・・。
一匹だけランクが違う。
初見だが、Sランクはあるのではないか?

この集団に挑むのか? 
ダイヤ伯爵は感知が苦手なのか?
それとも自分がいるから余裕なのか?

その答えも直ぐに聞こえてきた。
「あれ、報告と違う・・・。ボアの集団って聞いてたけど・・・。ねえ、ダイツク?」

人族の女がダイヤ伯爵に声をかけている。

「俺も気配が多いとは思ったけど、予想外! けど大丈夫! 俺たちで大半を倒して帳尻を合わせよう!」

そう言うと目の前の魔物に雷が降り注いだ。


お、おう。
なんとなく誤魔化した?

しかし強い魔法だな~。
ダンジョンを周回する前の僕たちくらい?
魔法特化かな。
武器も杖みたいだし。

おっ、魔物にも動きがあったな。

僕が戦場を眺めていると、魔物の後方から結界魔法を唱え出てくる者がいた。

「ようやく気づいたか。その見た目は、ダイヤ伯爵だな。」

そう言いながら、蜥蜴人間?
三mの蜥蜴が二足歩行している。
二足歩行のためか、手足が長い。

「誰だ! 俺の知り合いに蜥蜴はいないぞ!」

ダイヤ伯爵も律儀に返事をしている。

そんなダイヤ伯爵に先程の雷で倒された鼠型以外、猪型と犀型の魔物が突進してきた。
更に最後方で一番大きな象型も狙いをつけるように観察している。

「はーー!! 城壁!」

ダイヤ伯爵は目の前に丈夫な壁を出現させたが、完成する前に何匹かが駆け抜けた。

「くっ、ダイツクは正面のあいつをお願い! みんな! 壁に阻まれなかった魔物を倒すよ!」

ダイヤ伯爵は人族の女が魔物に切りかかった姿を確認し、壁を越えた。

それから一歩遅れ、騎士や冒険者も攻撃を始める。

壁より僕たち側は大丈夫そうだけど、蜥蜴人間に向かったダイヤ伯爵は大丈夫かな?
僕たちも傍に来た魔物をチマチマと攻撃している。

できる限りの苦戦して見えるように、荷物運び情報ギルド員に被害がないようにフォローしながら戦っている。

そんな戦いを続けていると、ダイヤ伯爵が魔法で作った壁が壊された。

轟音と共にこちら側に来たのは象型の魔物だった。ついでにダイヤ伯爵も吹き飛ばされながら・・・。

「ダイツク! 大丈夫!」
人族の女がダイヤ伯爵に駆け寄った。

「だい・じょうぶ・・・。ちょっと痛かったけど、防御魔法を使ってる・・・。しかし、あの蜥蜴は今まで出会った中で一番強いぞ! Sランクの魔物、それ以上か!?」

そこまで強いかな?
Sランクの中の上くらいじゃない?

「おうラウール! 俺がやるか?!」

「ん~、ヤマトが出るほどかな? ん~じゃあ、あの象型にしておく? てか・・・」

「それでもいいぞ!」

ヤマトは返事を最後まで聞かず移動した。
手加減って言いたかったんだけど・・・。

嬉々として象型の魔物に近付くと、威圧を送り挑発し始めた。

挑発を受けた象型の魔物も後ろ足で砂を何度か蹴りあげると、ヤマトに突進した。

ドシーン!

と凄まじい衝突音。
ヤマトがいた場所に響く音。
その場所を確認してみると・・・。


・・・・
・・・・

ヤマトが片手で象型の魔物の頭を押さえていた。

頭で弾こうとしただろう魔物も驚いている。
ついでにこの場にいる全ての生き物の動きも止まっている・・・。

ヤマト・・・、目立つでしょ・・・。

「は? 猫の獣人? 荷物運び情報ギルド員だろ? は? 何微動だにしませんでしたがって顔をしている・・・。」

ダイヤ伯爵がみんなの思いを代弁するように呟いた。

そんなことは関係のないヤマトは、象型の魔物の首を短い剣、そう首回りより短い短剣で切り落とした。

は~、もう無理か・・・。

帝国に邪魔にされたら逃げよっと。
念話でみんなにも確認をとっておいた。
いざとなったら逃げると。

「じゃあこの名探偵サクラもやっちゃうね。これで事件は解決よ!」

サクラは目の前の壁を風の魔法で粉砕し、砂ぼこりが舞っているうちに蜥蜴人間以外を氷の魔法で動けなくした。

「謎はこの蜥蜴に聞いたら解決ね!」

と蜥蜴人間も土魔法で拘束した。

何も推理していない・・・、全て力業、いつからこんなに脳筋に・・・。

シーンと静まり返る戦場。
目を見開いてサクラを見るダイヤ伯爵。

ダイヤ伯爵が見るサクラは風でフードが脱げ、しっかりと顔が出ている。

蜥蜴人間も口をパクパクさせ、言葉が出てこない。
しょうがない、僕も覚悟を決めたからには動くか。

「ねえ蜥蜴さん。あなたは四天王関係者?」

四天王と聞こえたのかダイヤ伯爵もこちらに反応した。

「おい! そこの荷物運び情報ギルド員。さすがに四天王はないだろ!」

突っ込みが聞こえてきたが、僕は話を続けた。

「僕は四天王のうちの一人、土の将軍の部下、黒の部隊の部隊長と会ったことがあるんだけど? その姿は、青の部隊とか?」

「おい! 四天王はいるのか!」

ダイヤ伯爵はまだ信じていない。

「くっ、どこからその情報を・・・。そうだ、私は青の部隊の部隊長だ・・・。」

「ラウール! 私の役割をとらないで!」

サクラは無視するとして。

「あたった! 適当に言っただけなんだけどね青は。四天王って存在があることは聞いたから本当に知ってたんだよ。」

「おい! 俺の話も聞いてくれ! 四天王はいるのか!」

・・・・
・・・・

ダイヤ伯爵が僕や蜥蜴人間に問いかけてきたが、どちらもなかなか返事をしなかった。
しかし先に蜥蜴人間が口を開いた。

「私がこの話をするのは一つは村を壊滅させてからの予定だったんだがな。そう、私は魔王様の配下の四天王の部下。間違って魔王様が発見されては困るから、完全体になるまでこの国を混乱させる目的で現れた。これは他の国でも順次行動が開始される。私は無様にもここでとらわれたが、他の部隊を止めることが出来るかな?」

ほう、聞いた話もあるが、世界中に散っているのか。
それに村を襲う。
全ての村を救うには戦力を分けないといけないな。
管轄する貴族にもよるが、見捨てられる命もあるか・・・。

「貴様! させん! そんなことはさせん! おい、荷物運び情報ギルド員の君! そいつを俺にくれ。報酬は弾む・・・。頼む・・・・。」

ダイヤ伯爵が土下座に近くなった。
ここで断ることは、出来ないんだろうな・・・。

「わかりました。そちらで上手く拘束してくださいね? こんなんでもSランクの魔物並みには強いですからね。」

「ありがたい! しかし、そんな強い魔物をこんなに簡単に拘束する君たちは? あそこでせっかく大物を倒したのに誰も見ていないというように落ち込んでいる獣人も、そしてそこの黒髪の女性も・・・。」

色々な質問があったが、まずは魔物を倒しきり、素材を回収させてもらった。
居心地の悪い視線を浴びたが、ヤマトのあの寂しさよりはましかな?と考えていた。

何よりうまく誤魔化せるか不安なラウールだった。

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