冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ

sazae9

冒険者ギルドで低ランク依頼を受ける

依頼票を確認しているラウール達。クロウも目の前の依頼票を見ている。
小声でクロウに読めるのか確認すると、文字も読めるそうだ・・・。
文字の意味も理解しており、どんな魔物だよ、とラウールは突っ込みそうになった。


「サクラ、今回は簡単な依頼を受けて、近くに来た魔物を倒してみようか?」


「そうね、ただ外に行くのも面白くないし、久しぶりに冒険者活動しよっか。」


2人は冒険者活動もすることにして、目の前の依頼票を確認した。
【薬草の素材採取:このような草を求む】
目の前には草の絵が描かれた依頼票が張ってあった。


「これにしてみようかサクラ? Fランク依頼だけど。しばらく残っている感じのものだし。」


「そうね。報酬が少ないのかな? 確かに少し古そうね。じゃあこれにしよ。」


そう言ってみんなで受付に戻った。
先ほどの男はもうおらず、他の受付の列に並んだ。
そして順番が来て、冒険者プレートを見せて依頼を受ける。
受付の人は高ランク者がなんで?とびっくりしていたが、誰も受けていなそうだからと言って受理してもらった。


~~~~~~~~


みんなで街の外に出た。
依頼の薬草はもう少し海側の、砂浜の手前くらいにあるようで、距離も近かった。
しかし、道を離れるため、魔物の気配を感じた。


ラウールとサクラは、気配で大体の魔物の強さの目星をつけ、魔物がいる方向に進んで行った。


そして目の前にはゴブリン3匹が現れた。
今までひと思いにとどめを刺すことにしていたが、今回だけクロウの為に・・・、ごめん!


「クロウ? クロウは何ができる?」


クロウは首をコテッとかしげた。


「我、魔法は使える。くちばしや爪でも戦える。目の前のゴブリン? 倒せるよ。」


ラウールはよくわからない。
倒せる?倒せるのか?
試させていいのか?


「じゃあ、2匹を押さえておくから、1匹をお願い。」


そうラウールが言うと、クロウから魔力を感じた。
その魔力はなんと隠蔽されているようだ。
そして、ラウールにはわかる。
サクラの顔を見るとサクラも気づいている。
魔力の高まりを更に感じるとクロウが詠唱を始めた?


「我願う 我に従う神々の力よ 我の内なる力よ 願いは殲滅 我から出でる力 風の力 行け・・・『ちょっとまった!』」


ラウールは止めてしまった。
その魔力量はやばい!
このあたりの地形が変わる予感がした。


「クロウ! 爪で頼むよ。」


そう言うとゴブリンの目の前にすでにクロウがいた。
そして、羽ばたき、ゴブリンの目の前で停止したと思った瞬間・・・、ゴブリンが切り裂かれていた。


ラウールは目が飛び出しそうだった・・・。
何この生き物・・・。
って僕の従魔、僕の仲間・・・。
何このパーティー、強すぎない?


「我倒した! ほめてラウール!」


驚きながらもラウールは必死に気持ちの揺れを隠しほめた。
クロウは羽ばたいたり回ったりと嬉しそうだった。


「ラウール? こっちのゴブリン2匹は倒しておいたけど、まだやる?」


「・・・もう魔物はいいかな?」


そう言って気持ちを切り替えて、薬草探しを始めた。


「ラウール、我見つけた。これは? あってる?」


クロウが見つけた薬草は・・・、合っていた。


何このチートな従魔は。
魔力を込めすぎた?
もしかして従魔の孵化は、魔力量が関係する?
そして、魔力を注ぐ時間、冒険者ギルドに予想を伝えてみようかな?


「ラウール? これで依頼は終わったけど、一回冒険者ギルドに戻る?」


「そうだね。今回はもどろっか。なんか疲れた・・・。」


~~~~~~~


ラウール達は冒険者ギルドに戻った。
そして、依頼達成報告をした。


そこに、従魔登録をした受付の男が現れた。


「どうだった、従魔の実力は?」


「僕が思っていたよりも強かったですね。ゴブリンは敵ではなく、見た目からは想像もできないと思いますよ。」


「そんな大きさでやるじゃないか! ただの小さな鳥に見えるんだがな。」


「ま~見た目はそうですね。ところでまた出てきたあなたは誰ですか?」


目の前の男は驚いている。
「知ってて並んだんでないのか!? 俺はここのギルマスだ!」


ラウールは驚いた。この街でもギルマスの顔を知ってしまった。
「そうなんですね。よろしくお願いします。」


「もう少し反応をだな・・・、俺はギルマスだ!」


その言葉を聞いて大げさに驚いた風に見せて反応した。
「はは~! ギルマス様。これはご無礼を~!」


「なんだそのわざとらしさは・・・。」


めんどくさくなってきた。


「僕はラウール。しばらくの間? よろしくギルマス。」


「もっという事はないか~。俺はズハサンと言う。よろしくな。今は大きなことはないが、お前がいる時に何かあったら頼むよ。」


「いや~、たぶんダンジョンに挑むSランク冒険者がいるから、僕なんて出番はないですよ。それに、大きなことなんて、そんなに簡単に起きませんよ~。」


「まあな、そんないつも事件が起きたら大変だ。しかし、Sランク達はみんなダンジョンに行っていると、依頼を受けることが出来ない。そして、ダンジョンから帰ってくると解散して、他の都市に行くものもいる。さてここにはどんなSランクが残るでしょうか?」


「・・・のこるのでしょうか! っって、そうですね・・・。できるところは協力しますよ。」


「そう言ってもらえると助かる。宿だけ後で教えてくれ。そして移動するときは報告してくれよ。何かあった時に無駄な時間はとりたくないから。」


ここでギルマスとやり取りをしていても何もないので、宿はわかばという事を伝えて立ち去った。
ギルマスは、Sランクだったらもっといい宿に泊まることが出来るのにな~と言っていたが、ラウール達が気に入っているからしょうがなかった。


ラウールは高い宿など気を使って泊まれないと思っていた。


ひと段落したけど、もう少しクロウの能力を確認しないといけないと、ラウールは考えていた。



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