冒険者パーティー【黒猫】の気まぐれ
勇者のお披露目
あれから数日後、王宮ではなくファンフート・テザンの城で勇者のお披露目をすることになった。
勇者はみんなから見えるように高いところに立つという事だ。
そのため今日は多くの人がファンフートの城の前で待っている。
人が多すぎて勇者からはわからないかもしれない。
それでも一度今回のチャンスを生かそうと、ラウールとサクラも人々の中にいた。
「すごい人ねラウール。やっぱり勇者っていう存在は重要なのね。」
「そうだねサクラ。伝説上の人物になっているからね。今まで召喚されたであろう人物は、繁栄ももたらしていたし、サクラがもしかしてと思われた時でも狙われるくらいだしね。」
「でもこれじゃあ相手からは見えないかもね?」
「ま~この黒髪にかけてみよっか。」
そういって今回の主役たちが出て来るのを待った。
しばらくして予告された時間が来たところで、1人の身なりのいい人物が登場した。
その男は30歳半ばくらいの、だらしなくはないが、引き締まってもいない体で、190㎝はありそうな身長だった。短い金髪の髪は丁寧にまとめられている。
「ようこそ庶民よ! 今日はこのファンフート・テザン、テザンが、このファンフートが召喚に成功した勇者を紹介しよう!!
「「「「ファ~~~~!!」」」」
この男がファンフート?見た目からはろくでなしには見えないが・・・。
「静まり給え! いつの時代も勇者は繁栄をもたらした。そう、今回は魔王の出現もない時代に召喚できた勇者だ!!」
「「「「ファ~~~~~!!」」」」
「おほん!! それはすなわち、被害がなく、繁栄だけをもたらす存在だ!!」
「「「「ファ~~~~!!」」」」
「そう、このファンフートがこの国に繁栄をもたらす!! 教皇ではなく、この私が!!」
「「「「・・・・ぁ~。」」」」
「んんっ! うん、それでは紹介しよう、これが私の勇者たちだ!!」
「「「「うお~~~!!!」」」」
近くのいい男がきらめく鎧と大剣を装備し前に出て来る。
黒髪の女が赤く鮮やかな色のローブを身にまとい、宝石の付いた杖を持ち前に出て来る。
貴重そうな素材の軽鎧を着て、左右の腰に片手剣を身に着け、男の子が前に出て来る。
「「「「うおお~~~~!!」」」」
「諸君!これから一言ずつ勇者に挨拶をしてもらう。しかと聞け!!」
体格のいい勇者が
「俺はファンフート様の勇者。ダイチ!ファンフート様に忠誠を誓う!」
黒髪の女が
「私はヒミカ!ファンフート様の勇者。私の魔法で、ファンフート様を守護する!」
最後に軽鎧の男の子は
「俺はグンジョウ!ファンフート様の勇者!俺からは逃げられないぜ!!」
「「「「おおおおおぉ~~~!!!」」」」
城の前は民衆の叫び声であふれかえった。
そして勇者と2人は目が合うことはなかった。
その後もファンフートの演説が続き、勇者は堂々とその後ろに立ち、大歓声を受けていた。
ファンフートは国と言うよりも、自分自身の勇者だと強調している。
そして、それに従う勇者も戸惑いもなく受け入れている様子だ。
一通りのお披露目が終わり、勇者もファンフートも城の中に戻っていった。
しばらくは喧騒が続いていたが、民衆も帰路についている。
そして聞こえてくる話は、ろくでなしと言う割には好意的な感想が多かった。
勇者がこの国にいることで、国に繁栄がもたらされると信じているようだ。
~~~~~~~~~~
ラウールとサクラも城から離れて、冒険者ギルドにいた。
早めの夕食を摂りながら、話し合いをしていた。
「これだと、特に僕たちが介入しなくてもよさそうかなサクラ?」
「そうねラウール。今のところはそんな印象ね。けどもう少しだけ様子を見てみたいな。」
「そう?サクラがそう言うなら付き合うけど。後はどうやって様子を見る?」
「ん~、勇者って言われても私たちと同じところから来ているなら、冒険者ギルドには来ると思うの。だから少しの間、冒険者ギルドに通いたいな。もしかしたら、勇者が行くところの情報が、事前に入るかもしれないし。」
「そうか~。同じ考えを持っている人が3人のうち1人でもいたら来るかもね。そうかそうか、そうだね。」
周りには聞こえない程度の声で2人は話をしていた。
ここで介入しないのであれば、今度こそは旅に出ようとラウールは思っていた。
サクラもここでの心配事がなくなった方が、先に進むのにためらいもなくなると思っていた。
そんな時、思い通りの展開が目の前で繰り広げられていた。
偉そうな身なりのいい男が、受付に向かって怒鳴っている姿があった。
「なぜできない! ただ明日の昼頃に勇者様を拍手で迎えるだけだろ。冒険者ギルドで冒険者に登録したいと勇者様が言っているんだ!それくらいできるだろ!!」
「どんな身分の方でも、特別扱いはできません。冒険者ギルドの規則です。」
「いやいやいや、この国の為になる者だよ?少しは融通を聞かせてもいいではないか!!」
不毛な争いが続いているが、ギルマスが出るまでもなく、受付の人がピシャリとシャットアウトしていた。
「思った通りの展開だねサクラ、よっ預言者! さすがサクラっ! よっ悪魔!」
「も~、余計なものまでつけなくていいの。でも明日の昼頃に来るのは確定なようね。チャンスだねラウール。私たちも少し早く来て待ってみよう!」
2人は明日の昼頃に冒険者ギルドに来ることを決定した。
勇者はみんなから見えるように高いところに立つという事だ。
そのため今日は多くの人がファンフートの城の前で待っている。
人が多すぎて勇者からはわからないかもしれない。
それでも一度今回のチャンスを生かそうと、ラウールとサクラも人々の中にいた。
「すごい人ねラウール。やっぱり勇者っていう存在は重要なのね。」
「そうだねサクラ。伝説上の人物になっているからね。今まで召喚されたであろう人物は、繁栄ももたらしていたし、サクラがもしかしてと思われた時でも狙われるくらいだしね。」
「でもこれじゃあ相手からは見えないかもね?」
「ま~この黒髪にかけてみよっか。」
そういって今回の主役たちが出て来るのを待った。
しばらくして予告された時間が来たところで、1人の身なりのいい人物が登場した。
その男は30歳半ばくらいの、だらしなくはないが、引き締まってもいない体で、190㎝はありそうな身長だった。短い金髪の髪は丁寧にまとめられている。
「ようこそ庶民よ! 今日はこのファンフート・テザン、テザンが、このファンフートが召喚に成功した勇者を紹介しよう!!
「「「「ファ~~~~!!」」」」
この男がファンフート?見た目からはろくでなしには見えないが・・・。
「静まり給え! いつの時代も勇者は繁栄をもたらした。そう、今回は魔王の出現もない時代に召喚できた勇者だ!!」
「「「「ファ~~~~~!!」」」」
「おほん!! それはすなわち、被害がなく、繁栄だけをもたらす存在だ!!」
「「「「ファ~~~~!!」」」」
「そう、このファンフートがこの国に繁栄をもたらす!! 教皇ではなく、この私が!!」
「「「「・・・・ぁ~。」」」」
「んんっ! うん、それでは紹介しよう、これが私の勇者たちだ!!」
「「「「うお~~~!!!」」」」
近くのいい男がきらめく鎧と大剣を装備し前に出て来る。
黒髪の女が赤く鮮やかな色のローブを身にまとい、宝石の付いた杖を持ち前に出て来る。
貴重そうな素材の軽鎧を着て、左右の腰に片手剣を身に着け、男の子が前に出て来る。
「「「「うおお~~~~!!」」」」
「諸君!これから一言ずつ勇者に挨拶をしてもらう。しかと聞け!!」
体格のいい勇者が
「俺はファンフート様の勇者。ダイチ!ファンフート様に忠誠を誓う!」
黒髪の女が
「私はヒミカ!ファンフート様の勇者。私の魔法で、ファンフート様を守護する!」
最後に軽鎧の男の子は
「俺はグンジョウ!ファンフート様の勇者!俺からは逃げられないぜ!!」
「「「「おおおおおぉ~~~!!!」」」」
城の前は民衆の叫び声であふれかえった。
そして勇者と2人は目が合うことはなかった。
その後もファンフートの演説が続き、勇者は堂々とその後ろに立ち、大歓声を受けていた。
ファンフートは国と言うよりも、自分自身の勇者だと強調している。
そして、それに従う勇者も戸惑いもなく受け入れている様子だ。
一通りのお披露目が終わり、勇者もファンフートも城の中に戻っていった。
しばらくは喧騒が続いていたが、民衆も帰路についている。
そして聞こえてくる話は、ろくでなしと言う割には好意的な感想が多かった。
勇者がこの国にいることで、国に繁栄がもたらされると信じているようだ。
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ラウールとサクラも城から離れて、冒険者ギルドにいた。
早めの夕食を摂りながら、話し合いをしていた。
「これだと、特に僕たちが介入しなくてもよさそうかなサクラ?」
「そうねラウール。今のところはそんな印象ね。けどもう少しだけ様子を見てみたいな。」
「そう?サクラがそう言うなら付き合うけど。後はどうやって様子を見る?」
「ん~、勇者って言われても私たちと同じところから来ているなら、冒険者ギルドには来ると思うの。だから少しの間、冒険者ギルドに通いたいな。もしかしたら、勇者が行くところの情報が、事前に入るかもしれないし。」
「そうか~。同じ考えを持っている人が3人のうち1人でもいたら来るかもね。そうかそうか、そうだね。」
周りには聞こえない程度の声で2人は話をしていた。
ここで介入しないのであれば、今度こそは旅に出ようとラウールは思っていた。
サクラもここでの心配事がなくなった方が、先に進むのにためらいもなくなると思っていた。
そんな時、思い通りの展開が目の前で繰り広げられていた。
偉そうな身なりのいい男が、受付に向かって怒鳴っている姿があった。
「なぜできない! ただ明日の昼頃に勇者様を拍手で迎えるだけだろ。冒険者ギルドで冒険者に登録したいと勇者様が言っているんだ!それくらいできるだろ!!」
「どんな身分の方でも、特別扱いはできません。冒険者ギルドの規則です。」
「いやいやいや、この国の為になる者だよ?少しは融通を聞かせてもいいではないか!!」
不毛な争いが続いているが、ギルマスが出るまでもなく、受付の人がピシャリとシャットアウトしていた。
「思った通りの展開だねサクラ、よっ預言者! さすがサクラっ! よっ悪魔!」
「も~、余計なものまでつけなくていいの。でも明日の昼頃に来るのは確定なようね。チャンスだねラウール。私たちも少し早く来て待ってみよう!」
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